霊狩中毒   作:WATAHUWA

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麻衣とナルが行方不明。

 

「手分けして探すぞ!俺はジョンとこの棟を探す!真砂子ちゃん、綾子はこの辺りの棟!リンと肖と弓弦はここの棟だ!異常があった場所は当然!人が来ないような場所を探せ!聞き込みも必ずをやれ!」

 

『はい(ええ)!!!』

 

滝川の指示に応える肖たち。肖たちは麻衣とナルを探すためにベースを出た。

 

「あれ?調査員だ」

「すみません。黒服の男子と茶髪の女の子見ました?」

「へ?見て無いよ?」

 

肖たちは聞き込みをしつつ人形があった場所を探す。しかし見つからない。しばらくして

 

「あ、茶髪の女の子だったら外に出てたよ」

「本当ですか!?」

 

ようやく目撃者が見つかった。

 

「外に出て多分向こうの植え込みかな?」

「ありがとうございます!」

 

肖は急いで外に出てその方向へ行く。

 

「あ、ここ」

 

植込みに掘り起こした跡があった。麻衣は間違いなくここに来た。

 

ぐいぐい

 

「弓弦?」

 

弓弦が後ろを示した。そこには「学生会館建設予定地 立入禁止」と書かれたボートとフェンス。監禁するには相応しい場所だった。更にはあの寒気が来た。

 

「麻衣!」

 

肖は急いでフェンスを開ける。少し離れた場所から「百目鬼さん!?」とリンの声が聞こえたが今はそれどころではない。肖は弓矢を用意する。草むらの中にマンホールがあったのでそこへ向かう。その中を覗くとナルと麻衣、あの厭魅がいた。

 

「二人に手を出さないで!」

 

ぱぁん

 

 

厭魅は肖の矢によって消えた。

 

「麻衣!ナル!怪我は!?」

 

マンホールの中に向かって叫ぶ肖。追いついたリンも「ナル いますか?」と確認する。麻衣は腰を抜かしたようだがナルは「早かったな。ロープか梯子がいる。それと、ハンドライトを」と通常運転だ。

 

「肖~ありがと~~!」

「よしよし。よく頑張ったよ。遅くなってごめんね」

「ううん!来てくれただけで十分~~!!」

 

救出された麻衣をあやす肖。肖が厭魅を祓ってくれたので麻衣にとって十分だった。その後、滝川達がそのマンホールを調べた結果、大量の人形が見つかった。しかもその中にはナル曰く自分と麻衣と肖の人形まであったそう。

 

「で?これで呪詛はパアになったわけか?」

「ああ。あとは水に流すか焼き捨てればいい」

「……そやけど、犯人がこれでやめるでしょうか」

「だな。肝心の犯人もわかんねえし」

 

ジョンの言うとおり、この人形を処分してもまた作られてはどうしようもない。

かと言って犯人が見つかったわけでもない。これからのことに頭を悩ませていると、

 

「ナル!?」

 

ナルが椅子から崩れ落ちた。慌ててかけよるが、意識がないのかぐったりとしている。

 

「動かさないでください。救急車を」

 

ナルは救急車で運ばれていった。

 

 

後日、人形をすべて処理した肖たちは入院したナルのお見舞いに来た。

 

「……ちょっと、ほんとにここ?名前出てないわよ」

「リンがそう言ってたろ」

 

名前のない病室にノックして入ると、入院服を着たナルがベッドに座ってファイルを広げていた。顔色は良いほうだから大丈夫の様だ。そして犯人の手掛かりについて想像がついているそう。すると高橋、笠井、産砂がお見舞いに来た。

 

「高橋さん、笠井さん、僕が陰陽師だという話と肖が管狐を使役できる話を聞いた?」

高橋は「なにソレ?」と疑問符を浮かべ、笠井は「聞いたよ」と答える

 

「笠井さん、それを誰かに話した?」

「うん、恵先生に……いけなかった?」

 

笠井は陰陽師がいて、使い魔を使役できる人がいたから信頼する産砂に話したようだ。さらにナルは続ける。しかしなぜか産砂の母校や出身地を聞いた。出身は福島と言った。

 

「ありがとうございました。現在学校で起こっている問題は解決できると思います」

「あの……解決できるって……?」

「事件の様相はわかった。あれは呪詛だ。それも、人形を使った厭魅……ということは、人形を始末すれば終わりだ。あとは犯人に呪詛をやめさせればいい」

「……じゃあなに?あたしをここへ呼んだってことは、つまりあたしが犯人だって言いたいけ!?」

「まさか。笠井さんは犯人ではない。

 

怒る笠井にナルはハッキリと違うと言った。

 

「犯人は……産砂先生です」

 

 

当然、周りは驚いた。確かに産砂は笠井を庇っているためにハブられている。しかし異常現象がよくあるために超心理に詳しい彼女に内緒に相談する人もいるのだ。

 

「……先生以外に考えられないんです。被害者たちは笠井さんの超能力事件の時、ことごとく否定派でした。少なくとも犯人の動機はあの事件に関係あります」

「………あら。でしたら私より笠井さんの方が怪しいのでは?」

 

信頼していた産砂が手のひらを返したのだ。その為笠井はショックを受ける。そしてなぜ産砂がこんなことをする動機はこれ。

 

「話を戻しますが、今から二十年前、来日したユリ・ゲラーは日本にゲラリーニを産み落としました。ゲラーのスプーン曲げを見て、真似した子供たちがスプーン曲げを始めたんです」

 

スプーン曲げを行った幾人からマスコミは注目を集めた。そして

 

「産砂恵もそのうちの一人だった」

 

当然、産砂も力が弱り、超能力が使えなくなった。ペテン師やインチキだと騒がれていく。そしてた笠井がある日、同じくゲラリーニになった。

 

「……私は……できるだけ笠井さんの才能を守ってあげようと思いました。それがいつの間にか周囲から騒がれて……教師まで一緒になって。朝礼で笠井さんを攻撃したその前にも、何度も笠井さんをしかっているんです。私にもなんできちんと指導しないんだ、と」

 

悪意がこもった言霊のせいで、精神的に弱っていき、悔しいあまり、仕返しを含んだ悪戯として呪詛に手を出したのだ。彼女を見て、ナルは滝川に言う。

 

「……ぼーさん、校長に報告を。事件は解決したことと、この人にはカウンセラーが必要だ」

「失礼な。あなたは超真理学者ではないの?なのに私を病人扱いするつもり?」

 

産砂が不愉快そうに歪め、抗議するが、ナルはファイルをパタンと閉じて産砂先生を見た。

 

「……先生は疲れていらっしゃる。休息が必要です。──呪詛には、体力と気力を使いますから」

 

その言葉にはっとし、産砂先生は少し疲れたように微笑んだ。

 

「……そうね。そうかもしれないわ…………」

 

 

湯浅高校の怪奇事件が終わった後、ナルは麻衣にある実験をすることになった。超能力のテストだ。理由は麻衣の勘が鋭すぎる。ミニー事件でも夢で手掛かりを見つけたから。

 

「麻衣は潜在的にセンシティブだ」

「あ、やっぱり」

 

肖が思っていた通り超能力者だった。

 

「え?どういうことだ?」

 

滝川は疑問符を浮かべる。肖は説明する。

 

「麻衣は夢で異常に気付いたからね。だから超能力とか持っているって思っていたの」

 

ナルは「麻衣は害意のあるものに対して、異常なほど敏感だな。自己防衛本能。動物と一緒だ。敵を嗅ぎ分ける」とさらに分かりやすく説明する。しかしそれは失言だった。

 

「…ナル………言うからね。誰が動物だって?異常だって?え?」

「いや…それはものの例えで」

 

やっぱり怒った。

 

「女の子に動物と一緒っていうから」

 

肖はナルに呆れる。

 

「スプーンを曲げるのは異常じゃないの?」

「…なんだって?」

「触っただけでスプーンを曲げてちぎっちゃうのは異常じゃないわけ?」

「なになに?ソレどーゆーことよ」

 

麻衣の話に興味を示す周り。すると珍しくリンが怒鳴る

 

「ナル!そんなことをしたんですか!絶対にやらないと…」

「麻衣!」

「ナル、いいですか!あなたは」

「わかった。いや、分かってる」

「分かってません!」

 

リンに叱られるナル。こうしてみると本当に今年十七歳の少年にしか見えない。常に冷静沈着・クールだから慌てるナルはかなり面白い光景だ。その後、スプーン曲げを見たいと言い出した、滝川と綾子。その言葉通り、ナルはスプーンを曲げるけど…トリックだった。

 

しかし肖はそう思っていない。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「リンさんがすごく怒っていたからナルも力があるってことだよね?」

 

その言葉に遥も頷く。皆に見せたスプーン曲げは確かにトリックだった。しかし麻衣に見せたスプーン曲げは間違いなく超能力。リンが怒った理由もそれだ。

 

「ナルくんは力が強すぎる。だから力を使う事を控えるように言われたんだろうね」

「うん。もしかしてナルが倒れた理由は…」

 

恐らく超能力を酷使したからかもしれない。

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