霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

授業が終わり次第、関係者を呼んでもらおうとお願いしている時だ。

 

「キャ―――――!!」

「なんだ!?」

 

女子の悲鳴が響いた。廊下に出てみると廊下には女子生徒2人が座り込んでいる。片方の女子は怯えながら「……いっ…犬が」と伝える。教室からは何かが壊れる音と悲鳴が聞こえる。中を見ると普通ではない黒い犬がいた。

 

「廊下に戻れ ナル!」

 

滝川とナルは一旦廊下へ下がる。ただし

 

ス…

 

「消えた…………」

呆然とした安原さんの声と教室から出ていた生徒たちの悲鳴、そして教師の困惑した声。机や椅子が散乱する教室や女子生徒の足に噛まれたような傷痕があるので現実だ。

 

「保健室に行こう。立てる?」

「あ、僕が背負います」

 

怪我した生徒を背負った安原をナルが引き留めた。

 

「……安原さん。怪談に関係した生徒を事件ごとに分けて会議室に連れてきてもらえますか」

「わかりました」

 

安原、麻衣、肖は女子生徒を保健室へ連れていく。

 

「ちゃんと手当したから安心してね」

「「「お願いします」」」

 

保健室の先生はちゃんとした性格だった。

 

「保健室の先生は良かったね」

「うん。」

「先生方はアレですからね。保健の先生は人気者ですよ」

 

その後、帰り道に会う生徒たちにナルの伝言を伝えていった。

 

しばらくして

 

 

ざわざわ

 

「うわーこんなに」

「湯浅高ぐらい怪談がありそうだね」

 

廊下にはたくさんの生徒たち。肖の言う通り、怪談の量は湯浅高並みにありそうだ。

安原は生徒たちに言う。

 

「まずは集団不登校の生徒たち来てください」

 

安原に言われ、まず最初に集団不登校の生徒たちがベースに入った。

 

「授業中、自分が吹き込んだテープを再生してたんです。そしたら変な声が聞こえだして………」

 

最初は雑音程度にしか思っていなかったという誰かの話し声……子供がクスクスと笑うような声が聞こえ、不気味に思っていると机の下、膝に手を置いて笑う子供がいたという。

 

「先生に言っても信じてくれなくて………。でも本当にいたんです!!」

 

実際、クラスのほとんどがその声を聞いたり、姿を見たそうだ。でも先生方は信じてくれない。それでいっそうのこと集団不登校になったわけだ。生徒たちは次々と口を開いていった。開かずのロッカー、いつの間にかバラバラになる人体模型、音楽室の物音。焼却炉の蓋を開けるとお爺さんが逆さまに顔を出す。保健室の奥から2番目のベッドにいつの間にか誰かが寝ている。

 

「この辺りは七不思議だよね」

「うん。…でも次からは」

 

「……坂内くんを見たって人がいます。廊下ですれ違ったとか、教室に立ってたとか………」

「さかうち?誰です?」

「九月に亡くなった一年生です」

 

七不思議ではない話が出た。坂内とは去年の秋に亡くなった男子である。遺書には

 

『ぼくは犬ではない』

 

それだけ書いていた。確かに松山たちの生徒たちに対する言動は犬のしつけ。坂内の事を知らない生徒も納得していた。次は集団食中毒。これは安原も関わっている。安原曰く12月生臭い異臭が教室内を漂った。吐き気がするほどの異臭。そのせいで安原を含むクラス半分が倒れたそうだ。体育館の更衣室のボヤの件については必ず12周期で起こる。教師たちは見張ったがそれでもボヤが起こったらしい。とりあえず、まずは安原の教室に行った。

 

「「クサイです(泣)」」

 

「そうですかやっぱり」

 

麻衣と滝川の感想に安原はやっぱりと思っていた。確かにこの異臭だったら具合が悪くなって当たり前だ。しかし肖は全然感じてない。

 

「(私は全然感じない…なら)麻衣、ぼーさん。ちょっと手を出して」

「「?」」

 

肖に言われ、手を出す2人。肖が握手すると

 

「「臭いが消えた――――!!(*´▽`*)」」

 

あの異臭が消えたそうだ。喜ぶ麻衣と滝川。肖が触れただけで異臭が消えた。それを聞いてナルは「ここで何か変なことをしませんでしたか?」と聞く。

 

「降霊術のような」

 

すると教室に居た女子が降霊術じゃないけど《ヲリキリさま》をやったと言った。

どんなものかと聞くと、ヲリキリさまはコックリさんだったのだ。女子たちは狐じゃなくて神様を降ろすと言っているが、

 

「……権現さま、花子さん、キューピッドさん、エンジェルさん。まだ他にも呼び名はあるが、これは全部コックリさんの別名!」

 

滝川の説明に「えーっ!?」と驚いたように声を上げた。

 

「名前が何だろうとやってることは同じ!おもしろ半分に霊をオモチャにしてることになるんだ」

「そんなあ!ヲリキリさまなら神様だから危なくないって………」

「そんなのはデマだ。霊を呼ぶのは素人でもできるが帰すのには訓練がいる。二度とやるな!!」

「それに学校の異常現象の原因はコックリさんの時もあるよ。今回の原因はヲリキリさまかもね」

 

「「え!?」」

 

今回の事件の原因がヲリキリさま。肖の言葉に女子たちは青ざめる。とりあえず調べていくとリキリさまはほとんどの生徒がやっていた。霊能者だったら呼べるがそれ以外は呼べない。科学的に説明すると指がわずかに震え、大勢がやるとその震えが影響し合って10円玉が動くのだ。

 

「肖。学校の異常現象の原因はコックリさんと言ったな」

「そうそう!どういうことなの?」

 

ナルと麻衣の言葉に肖は説明する。

 

「お父さんたちの友達から聞かされた話なんだけど素人がやった降霊術は成功はほとんどないの。成功してもほんのわずか。でもそれじゃあツマラナイ。」

 

肖は真顔で淡々と話す。

 

「だから何人の者が思ったはずだよ。「恐いものがくればいい。変なことが起きればいい。」………そんな生徒たちの「悪気のない邪気」が学校の異常現象の原因になるの」

 

その話に麻衣と滝川と安原はゴクリと喉を鳴らす

 

「つまり今回の事も」

「うん。こんな高校だからね。可能性が高いよ」

 

ナルの言葉に頷く肖。先生たちは生徒たちを犬扱い。生徒たちのストレスはかなりあるだろう。そんな彼らがコックリさんをやったら?かなり大きな「悪気のない邪気」が出来上がる可能性が高い。安原は麻衣に「百目鬼さんって何者なんですか?」と聞く。

 

「肖の実家はお寺でね、肖自身もお祓い出来るし、使い魔も連れてるんですよ!」

「使い魔?」

「そうだ!弓弦の反応はどうなんだ?」

「ゆづる?」

 

滝川の問いに肖はじっと安原を見る。安原は恐ろしいことでも驚いた程度で済んでいる。可愛い弓弦を見ても少し驚く程度。しかも慣れれば興味津々だろう。

 

「安原さん。貴方は驚くのは最初だけ。後は可愛がると思いますので出しますね?」

「?」

 

驚くのは最初だけ。後は可愛がる。その言葉に疑問符を浮かべる

 

「弓弦」

 

しゅるり

 

「わ!」

 

蛇ではない細長い生き物が出てきたことに驚く安原。しかしそれは最初だけ

 

「これはこれは長い狐ですねー。この子が使い魔ですか?」

 

そう言ってよしよし撫でた。

 

「管狐の弓弦です。」

「あ、昔漫画にありましたね!弓弦君、僕は安原です。よろしく」

 

その自己紹介に弓弦は頷く。

 

「さっそくだが弓弦。今回はどう思う?」

 

ナルの問い。弓弦の答えはいる。そして弓弦は肖のカバンの所へ飛んだ。

 

「カバン?」

 

肖がカバンを開くと弓弦はノートを出す。

 

「欲しいの?それじゃあ一枚だけ」

 

肖は一枚だけ破って渡す。すると弓弦はビリビリっと沢山破った。

 

「霊はたくさんいるの?」

 

その問いに弓弦は頷き、破った紙を集めたのだった。

 

 

 

 

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