「ホテルじゃないーっ!?」
綾子とリンが来た。ベースについて早々、綾子の悲鳴じみた叫び声が木霊した。
「こっちはわざわざ東京から3時間もかけてやってきたのよ!?それなのに調査の間中あの暖房なしの壊れた宿直室に泊まれっての!?」
「綾子、うるさい…」
「声を落として…」
麻衣と肖は耳を押さえ、弓弦は肖の服の中に逃げた。
「あんたたちには分かんないでしょうけどね~そりゃきっつい道のりだったわよ」
リンと3時間一緒がきつかったらしい。
「そうなの?私はそう思わないけど」
リンを見て肖は言い、弓弦も「そうそう」とばかりに頷く。
「あんたは父親もあんな感じだから慣れてるの!!」
肖と綾子の言葉にリンは父=自分という方式を作らないでほしいと心の中で思っている。クリスマスでの事情を知っている麻衣と滝川は一生懸命笑うのをこらえていた。
「とにかく、目撃数が多すぎて機材が足りない。明日、原さんと弓弦にも霊視をしてもらって、いるとわかったらぼーさん 松崎さん ジョン 肖の四人で除霊にあたってもらう。あいまいなものについては、僕とリンとで調査を行う。」
ナルは明日の役割を周りに言った。
「麻衣はベースで情報の中継と整理。ただし、なにかあったら報告するように」
「なにかって?」
「第六感のオンナなんだろ?こないだ潜在的なESPとか言われたじゃねえかよ」
「あー、そっか」
疑問符を浮かべる麻衣に滝川は言う。その様子に綾子は小馬鹿にする
「ま、忘れててもしょうがないか。この間の事件は“たまたま”役に立っただけだもんねー」
「そういう誰かさんも“たまには”役に立ってみようよー」
麻衣と綾子はなかなかの雰囲気でにらみ合っていた。その様子に肖は聞く。
「つくづく思うんだけど、どうして巫女さんは場所が都会なのを選ぶの?力に全然合ってないのに」
「し、仕方がないじゃない!来る依頼は都会ばっかなんだから!!」
『?』
安原はここに残って雑用だ。肖と麻衣と共に集音マイクを置いていく。にしても安原はつくづく面白い。麻衣と肖を「親方」や「親分」と呼び、所長であるナルに至っては「大親分」と呼ぶ。当然麻衣は
「あははははははは!!!似合いすぎるよやめてよ――――――!」
思いっきり笑いのツボに刺さった。
「安原さん楽しませるの好きですね」
肖と首に巻き付いている弓弦も笑ってしまう。
「なんですか谷山さん、百目鬼さん、弓弦くん。緊張感ないなぁ」
もしかしてこんな風に笑させてくれるから生徒たちから「生徒会長になってくれ!!」とお願いされていたのかもしれない。談笑しているとだ。
ピク
「!」
「…来た」
弓弦と肖が反応する。
「え?」
「まさか」
安原は疑問符を浮かべ、麻衣は身構える。肖と弓弦は遠くにある曲がり角をじっと見る。気配を感じ取った肖は行動をした
ふわ…
「弓!?」
「肖のお祓い道具なんです!」
きりきり
弓に張られた弦を引っ張る肖。それと同時に気配が曲がり角から出てきた。それを見た弓弦は「今だ!」とつつく。
ぱぁん
弓弦の合図によって放たれた矢は気配を消した。
「もう大丈夫だよ」
「あー良かった」
「はー…お札でするのかと思ったけど弓で祓うんですね」
肖の言葉に胸を撫で下ろす麻衣。安原は弓に興味津々。すると肖と弓弦は2人の後ろを見た。
「え?何かいるの!?」
弓弦は首を振る。肖は「逃げたから大丈夫」と説明した。
ー翌日ー
真砂子とジョンが来た。真砂子の反応は「霊は見えないが存在は感じる」とのこと。そして一つだけ強く感じる霊がいることを説明した。
「男の子です。あたくしと同じ年頃の。学校で辛いことがあったのではないでしょうか。学校に、囚われています」
坂内の事だ。遺書に書かれた通り、この学校生活は本当につらかったようだ。
「リン、昨夜の様子はどうだ」
ナルがリンに声をかける。
リンは朝一から、昨夜の情報の解析を行っている。
「温度が異常に下がった場所が何箇所か。特に低かったのは、3-1の教室、2-4の教室、LL教室です」
「仕事にかかろう。原さんは校内を回って霊のいる場所をチェックしてください。松崎さんは原さんに同行して可能な限り除霊を。肖と弓弦もな。ここには麻衣が残ります。小まめに連絡を入れてください。ここの霊は甘く見ない方がいい。十分に用心を」
「おっけー」
「ぼーさんとジョンは反応があった場所の除霊を頼む。終わったら原さんの指示があった場所に向かってくれ」
「ハイです」
「僕とリンは不透明な場所の調査を続ける。安原さん、手伝ってください」
こうして一同は別行動をとることになった。