霊狩中毒   作:WATAHUWA

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「ったくう。あたしがあのときどんだけアセったと思ってんだよ。人の弱みを利用しやがって」

「でもリンさんに怪我させたからカメラが壊れても壊れてなくてもナルの事だから手伝わせてたよ」

 

ぶーぶー不満を言う麻衣。そんな麻衣に肖は言い、弓弦も「ありえる」と言う感じに頷く。確かにあの時リンをケガさせてしまった。だからカメラが破損してても破損しなくてもナルの事だから手伝わせていただろう。

 

「ゔ~~…確かに」

 

麻衣はしぶしぶ理解してくれた。

 

「おいどうだ除霊とやらはすんだか」

 

遭いたくない先生トップ3に入るだろう嫌味な松山に遭ってしまった。麻衣も当然、心の中で(げっ松山)と嫌がる。

 

「今朝また火事があったそうだな。除霊なんかできてないんじゃないのか?だいたい幽霊なんてもともといないんだよ。ありもしないものをでっちあげて詐欺のようなまねをして、どうせ金儲けが目的なんだろう?」

厭味ったらしく言う松山に肖と麻衣はさっさと去ろうと思った。こんな奴に構っているヒマなんてない。「仕事中なので」と頭を下げて去ろうとした時だ。

 

「幽霊だなんだとバカな迷信に振り回される奴がどうなるか教えてやろうか!うちの学校にもいたんだよ。オカルトだかにかぶれて悲惨な末路をたどった奴が!」

 

間違いなく坂内の事だ

 

「……それは、坂内くんのことでしょうか」

「意外ですね。坂内くんのことを覚えているなんて」

「なんだ、知ってるのか?ああならないように気をつけるんだな。奴もあの世で後悔してるだろうよ!」

 

 

松山は言ってはいけないことを言ってしまった。

 

「……つまり、先生は。坂内くんが死んでしまったことが、残念ではないんですね」

「ホント最低な方ですね」

 

「なにい?誰がそんなことを言った!?」

「そういう風にしか聞こえませんでしたけど!」

「私も聞こえました!間違いなく生徒は当然。坂内くんの遺族から訴えられますね!私たちが証人になります!ねえ麻衣!」

「おう!裁判になったら絶対に勝ってやる!」

 

肖と麻衣の言葉に松山は「は!証拠もなしに」と嘲笑う。ただし

 

「生徒の方々は間違いなく私たちの言葉を信じてくれますよ」

「そーそ!松山先生よりは断然こっちが上です!」

 

生徒の話を信じず犬扱いする教師とちゃんと信じて調べてくれる調査員。生徒だったら調査員を選ぶのは間違いなしだ。そう言い合っているとだ。

 

「きゃあああっ!!」

 

ガシャンという音と悲鳴が廊下に響き渡る。

 

「なっ、なんだ!?」

 

麻衣と肖はすぐその場所へ向かった。その教室へ到着すると滝川達も来てくれた。

 

「おう、麻衣、肖」

「なにがあった」

「わかんない。あたしたちも今来たとこ」

「あっ、麻衣。そんな不用心に開けたら……」

 

麻衣が教室の扉を開く。そこにいたのは黒い犬だった。しかし最初に見た犬ではないと勘違いしてしまう程、デカくなっている。肖たちはそれを見て言葉を失う。ひしひしと嫌な気配が伝わってくる。あれは、生きているものじゃない。犬は口に咥えていた椅子を生徒に投げつけ、こちらを見やる。犬がこちらに一歩足を踏み出した。肖は弓を出す。祓われると思ったのか黒犬は消えた。

 

「先生……松山先生。救急車を呼んでください。怪我をした生徒がいます」

「あ、ああ……」

 

珍しく言う事を聞いた松山は救急車を呼ぶために廊下を走って行った。

 

「……ねえ。今のって、この間のと同じ犬だよね……?」

「……なんだ、あのデカさ」

「……強くなっているんじゃないか?」

 

その時、真砂子がしゃがみ込んだ。そして彼女を心配して駆け寄った麻衣や肖までも。3人は見てしまった。坂内が黒い影に飲み込まれてしまった光景を。

 

「麻衣さんが見た夢の通りです。ここでは霊が共食いをしています。坂内さんも……吸収されました」

 

霊の共食い。少しずつ強くなっていく霊。ナルは除霊は待ったほうが良いと言った。すると安原が現れた。何かを掴んだらしい。安原は話し始める。ヲリキリ様の発生ルートを調べたそうだ。ルートは二つ。一年から聞いたものと美術部から聞いたことだ。実は坂内は美術部だった。

 

「……意味があるにしろないにしろ、ともかくあれは二学期以降、一年生か美術部の間から流行り始めたわけだ。それが学校中に広がって無数の降霊術が行われた。それで呼ばれた霊が」

 

そこまで言って、ナルは口を閉ざした。一度頭を振り、先程言った言葉を否定するかのようにまた話し出す。

 

「……いや、やはりおかしい。どれほどの降霊術を行ったところで何の訓練もしていない素人が、これ程大量の霊を呼べるては思えないな」

「ナル、前に言ったでしょ?「悪気のない邪気」のこと。それと他の何かが混ざって今回の状態になったと思う。」

 

肖の言葉に以前、「悪気のない邪気」について聞かされた安原は「この場所が墓地だったっていうのは関係ないですか?」と聞く。ここには緑陵遺跡と言う奈良時代の墓地があったそうだ。呼び出された霊が逃げられず、さらに「悪気のない邪気」と混ざり、今回の事件が起きた可能性が高い。

 

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