霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

 

「麻衣、肖。二手に分かれてテープの回収してくれ」

「わかった」

 

ナルの指示に肖は頷く。しかし麻衣は真夜中の学校を1人で歩くのは嫌なのか「え~」と言う。

 

「回収するなら二手に分かれた方が効率的だぞ?」

「そ、そりゃそーだけどさ(汗)」

 

麻衣の様子を見て肖は言う。

 

「弓弦」

「え?」

 

肖が言うと弓弦は麻衣の首に巻き付いた。

 

「見た目は可愛いけど弓弦もしっかり戦えるから。弓弦がいたら安心でしょ?」

 

弓弦も「任せといて」とばかりに麻衣にすり寄る。

 

「肖~弓弦ちゃ~ん」

 

肖たちがいてよかったと心から思った麻衣であった。こうして2人はテープの回収に行く。

 

「それじゃあ私はあっちからやるね」

「うん。あたし達はこっちに行くから」

 

***

 

カチ

 

肖がカメラのボタンを押すとガコッとテープが出た。

 

「えーと後は麻衣の分だけだね」

 

自分が担当する分はすべて回収した肖。肖はそれを持ってベースへ向かう。そろそろベースだという時だった。

 

「肖!麻衣は見てないか?」

「え?」

 

ナルがいきなりベースから出てきたのだ。後から出てきた滝川と安原が説明した。

 

「実は麻衣が帰ってこないんだ!!」

「百目鬼さん見ていませんか?」

「え?もう帰ってるはずなのに」

 

物凄く嫌な予感がする。ナルたちは急いでカメラが設置されている部屋へ走った。

 

「ん?…燃えてねェか?」

 

最初の生物室なのだが、室内が赤く揺れているのだ。おそらく滝川の言う通り燃えているかもしれない。

 

「まさか!」

 

また例のやつかと思った。その時、

 

ドゴオォン!!

 

『!?』

 

生物室の扉が火炎放射でぶっ飛んだのだ。驚くナル達。そこに居たのは白い九尾の狐だった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「今度は狐かよ!」

 

滝川は急いで真言を唱えようとした時だ。

 

「弓弦!」

「え?」

 

後ろにいる肖が弓弦と呼んだのだ。すると九尾の狐は後ろへ下がる。狐の下に居たのは倒れている麻衣だった。

 

「麻衣、しっかりして!」

 

肖が言うと麻衣は小さく「う…」と声を上げてくれた。それを見たナルは「ぼーさん!保健室へ!」と言う。

 

「わ、わかった」

「保健室はこっちです」

 

安原に案内され、麻衣を抱えた滝川は保健室へ向かった。

 

ー保健室ー

 

「弓弦本当にありがと。弓弦がいなかったら麻衣はどうなってたか」

 

そう言って狐の頭を撫でる肖。弓弦と呼ばれた狐は九本の尻尾を振る。

 

「肖。本当にその狐は弓弦なのか?」

 

ナルの問いに肖は「そうだよ」とあっさり答える。弓弦もコクコクと頷く。その様子に滝川は「ま、マジかよ」と驚く。まさか本当に九尾の狐が弓弦だったとは。すると

 

「ちょっと麻衣大丈夫なの!?」

「しっかりしてくださいな!」

「意識はどうなんどす!?」

 

安原の話を聞いて綾子、真砂子、ジョンが駆けつけてきてくれた。

 

「ホルマリンのせいで気絶しているが…無傷だ」

「そ…そう」

 

気を失っているが無傷。それを聞いて胸を撫で下ろす3人。

 

「ところでこの狐さんは誰ですか?」

「あー。弓弦だとよ」

 

ジョンの問いに滝川が教える。当然、綾子は「弓弦ぅ!?」と驚く

 

「肖。昔、弓弦ちゃんは変化もできると言ってましたけど、このことでしたの?」

「そうだよ」

 

以前、肖から聞かされていたので真砂子はそこまで驚いていない。

 

「…う」

 

麻衣が声を上げた。ナルはのぞき込む

 

「麻衣。……麻衣」

 

麻衣に声をかけるナル。更に「麻衣!」と少し強めに声をかけるとゆっくり目を開けてくれた。

 

 

「気がついたか?」

「!!?」

 

驚きのあまり起き上がる麻衣。そして当然

 

「…ぎぼぢばる゛い゛…」

 

ベッドに倒れこんでしまった。

 

「急に動くからだ。バカ」

「ナルがのぞき込んでたから驚いたんだけど。ねえ?」

 

肖の言葉に弓弦は頷く。そしてずいっと麻衣に近づいた。

 

「あ。大きくなった弓弦ちゃん」

 

麻衣が気絶する前に変化したようだ。自分が弓弦だと気づいてくれたのが嬉しいのかまた尻尾を振る。麻衣は周りを見て保健室だと理解した。

 

「なんだって一人で校内をウロついてたの」

「……だって…ビデオテープ…」

「はあ?テープぅ?ちょっとナル、どういうつもり!?一人でそんなもの取りに行かせるなんて!」

 

それを聞いた綾子は怒った。とりあえず一体なにが起こったのかを聞かれたため麻衣は説明した。

 

「カメラのテープを抜こうとしたけど全然動かないわ懐中電灯が消えるわで、気味が悪いから一旦ベースに戻ろうとしたんだけど、鍵が無いのに扉が開かなくて…そしたら子供の笑い声が聞こえたからその方向を見たら窓に何人か子供が居て。当然この時間に子供は変でしょ?そしたら弓弦ちゃんが大きくなって私を守ろうとしてくれた時、ホルマリンの瓶が割れて気絶したの。後は多分、弓弦ちゃんが守ってくれたんだと思う。」

 

そう説明した後麻衣は「ありがとね」と弓弦の頭を撫でる。とりあえず麻衣は休ませることにし、綾子は麻衣の傍に置き、その他はまた作業に戻った。

 

 

「ところで肖。弓弦は元の姿に戻らねーの?」

 

まだ九尾の姿の弓弦を見て滝川は聞く。滝川の問いに肖は答えた。

 

「私の家や霊山みたいに清浄な所へ行けば普段の姿に戻るよ」

「じゃあここに居る間はその姿って事か」

 

滝川の言葉に弓弦は「そうだよ」と言う感じに頷く。すると

 

「!!」

 

弓弦は何かに反応を示した。

 

「弓弦!?」

「ぼーさん行こ!」

 

肖たちは弓弦の後を追いかける。そこは保健室。

 

「麻衣!?巫女さん!?」

「2人ともどこだ!?」

 

保健室とその天井が下の階へ沈んでいたのだ。滝川はすぐに下りる。しかし瓦礫だらけだから見つからない。

 

「麻衣!」

「え?巫女さん?」

 

麻衣といる筈の綾子がジョンと安原と一緒に来たのだ。すると弓弦も下りて探す。そして

 

ぐい

 

「お!見つけたか……ナル!?」

 

弓弦が引っ張った先に居たのは麻衣となぜかナル。ナル曰く凄い物音が聞こえたため戻ってきたら保健室が沈んでいて何とか無事だった麻衣を助けようとした時、天井が落ちてきたそうだ。

 

「部屋一つ分の床を沈没させるなんて並の霊に出来るこっちゃねぇ」

「つまり・・・相当強力って事ですか?」

 

強力どころか凶悪だった。しかも最悪なことは翌日にも起こった。

 

「か、帰れって……調査の途中なのに?」

 

依頼主からの調査打ち切りの宣告だった。

 

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