霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

「会議でそう決まったんだとよ」

「この状態のままほっぽって帰れっての!?」

「でもなあ」

 

なんと校長たちはナル達が中途半端に手を出したから、こんなことになったんだと言ってきたのだ。

 

「だって……あれがいるのに。人魂を喰らって大きくなって、孵化して……。このままほっといたらあれはどうなるの?また残った霊同士が共食いして……。そしたら…そしたらどんどん強くなって、最後に一番強い霊が残っちゃうんじゃないの!?」

 

麻衣が叫ぶように言うと、それまで無視するかのようにだんまりだったナルと肖と弓弦がこちらを向いた。

 

「ねえ麻衣。さっき何て言ったの?」

「え?」

 

肖の問いに疑問符を浮かべる麻衣。ナルは肖の代わりに続ける。

 

「『共食いして一番強い霊が残る』………?」

 

ナルの確認に麻衣は不思議そうにしながらも頷いた。

 

「……なんてことだ。もしかしたらこれは、霊を使った蟲毒だ……!」

「黒犬が巨大化するのは当たり前だ」

 

蟲毒、という単語にパソコン作業をしていたリンも反応した。

 

「蟲毒……って?」

 

それは大量の虫を使った中国の呪詛。作り方は簡単。大量の虫をツボに入れ共食いさせる。

 

「虫の代わりに霊同士が食い合ってるってことか……。タチ悪いな」

「じゃ、じゃあ……このまま共食いして一番強い霊が残ったら、どうなの………?」

 

肖は教えた。

 

「「悪気のない邪気」と混ぜ合わせた霊の蟲毒だから……確実に死者が出る。」

「えぇ!!」

 

その説明に麻衣は青ざめた。

 

一連の話を聞いた滝川が話し始める。

「最強の霊が残ったら、それがとり憑いた学校は食わせてやらなきゃならないんじゃないのか?……その……定期的に人間一人を」

 

その発言に綾子が不謹慎だとでも言うように非難めいた視線を向けたが、滝川は「現実問題だろ」と言い返す。

 

「この場合、主人は誰だ?」

「霊を呼んだ生徒全員だろうな」

「……だ、だめ、そんなの。何とかできないの?だってみんなそんなものだって知らなかったんでしょ!?なのに食われるって………。安原さんだっているんだよ!ねぇ、ナル!」

 

麻衣が縋るような目でナルを見て返事を待つが、ナルは「……僕にはできない」と答えた。

 

「肖!方法は無いの!?」

 

こういう話はとても詳しい肖に聞く。肖の返答は…

 

「土地神さまさえいれば…」

「土地神さま!?」

「お父さんが通ってた高校と違う学校でもエンジェルさんが流行ったの。当然、この高校と同じく異常現象が起きた。でも君尋さんの美味しそうな力に誘われて現れたそ場所を守る土地神さまが「悪気のない邪気」を丸飲みしたから治まったって言ってた」

 

「それじゃあここの土地神さまに頼めば」

「でもいるかどうかもわからないよ」

「………そうだったー」

 

土地神がいるかどうかわからない。確かにできない。するとナルが

 

「リン、どうだ?」

 

パソコン作業をするリンに尋ねた。

 

「蟲毒というのはすでに失われたとされる呪法です。私も今まで蟲毒には出会ったことはありません。」

 

でも蟲毒と決まったわけではない。違う呪詛だったらリンがなんとか出来るはず。なのでギリギリまで調べるために同は校長を説得し、調査を続けることにした。夏休みが終わったころ学校でコックリさんが流行り始め、その後怪談が増えていった。緑陵高校が霊的に閉ざされた場所だったため、呼び出された霊が閉じ込められ、霊同士が食い合って蠱毒の状態になってしまったというのが現在の推測だ。すると麻衣があることを呟く

 

「ねぇ?あたし思うんだけど、やっぱりヲリキリ様って変わってるよね。呪文も変だし」

「地域や地方でやり方が違ったりするじゃない」

「さっき言ったエンジェルさんだって10円玉の代わりにシャーペンだったよ?」

 

麻衣の疑問に綾子と肖は言う。

 

「五十音と数字があって、『はい』『いいえ』があるところまでは普通なのね。

んで、コックリさんだと真ん中に鳥居を描くじゃない?」

 

覗き込んで見れなかった肖と後から来た綾子に麻衣は説明する。ヲリキリ様はその代わりにうにうにした模様を描き、『鬼』って字でぐるっと周りを囲ってあるそうだ。

 

「麻衣!それ本当なの!?」

「どんな模様でしたか?」

 

驚いた肖とリンに引き気味の麻衣は実際にやった安原に聞く。

 

「うーん、僕も一度やっただけだからなあ」

 

安原も詳しく覚えていなかった。そんな彼にリンは聞く。

 

「ヲリキリさまと言っていましたね。それは呪文からきているのではありませんか?

オン ヲリキリテイ メイリテイ メイワヤシマレイ ソワカ」

「それです!」

 

リンはヲリキリ様の呪文は知らないはずなのに一字一句言い間違えずに行ったのだ。

「そして使い終わった紙はどこかへ埋めるとか」

「そうです、一回しか使えないって。使ったら神社に埋めなきゃいけないとかで」

「神社……その紙、手に入りませんか」

「そうですねえ……ちょっと待っててください。近くの生徒に聞いてきます」

 

そう言って安原はベースを出る。

 

「弓弦…間違いなくアレは」

 

肖の言葉に入り口を見ている弓弦は頷く。安原が持ってきた例の紙を見て確信に変わった。

 

「狂わすには四つ辻、殺すには宮の下……これは呪符です。」

「それも、神社の下に埋めてあるからには、人を呪い殺すためのもの。生徒は降霊術じゃなくて呪殺の儀式をしてたの」

 

リンと肖の言葉に麻衣達は目を見開いた。

 

 

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