屋敷の扉を開けた時だ。
ぞわ
「「!」」
肖と弓弦に寒気が襲った。
(…ここ……絶対いる)
弓弦も毛が逆立っているから今まで以上に強いようだ。
「ようこそおいでくださいました。私は大橋と申します。」
男性・大橋は自分の事について説明した。
「今回の件については全権を一任されております。私を依頼主と思っていただいて結構です。ところで所長さんは……」
「あ、僕です。所長の渋谷一也と申します」
安原が答える。なかなか様になっていた。そして安原は滝川達、肖達を紹介する。そしてナルの自己紹介。偽名は何かと気になる麻衣。ナルの偽名は…
「鳴海一夫といいます」
あだ名のナルに合わせたようだ。麻衣が(だれさ…)と思った時だ。
「
リンの言葉に肖と弓弦とナル以外が固まった。
「中国の方ですか。」
「もとは香港です。」
『え――――――っ!!?そうなの!?』
驚く麻衣達。しかし肖は「やっぱりそうだったんだ」と納得する。
「え!?肖分かってたの!?」
「リンさん知識が中国だからそうかなって」
以前麻衣とナルとリンに会わせた夢カイを見てリンは夢を買う。そして姿から獏と言い当てた。中国の呪詛である蟲毒も詳しかったし、なによりヲリキリ様だ。
「麻衣はヲリキリ様の呪符について鬼の字で囲ってあったって説明したでしょ。ひいお祖父ちゃんが集めた書物に術に使う紙に鬼と書かれたものは中国式の呪符だってあったの」
実際、中国語で鬼は亡霊と言う意味である。確かに降霊術に使っていた紙に鬼の字が沢山書かれていたら中国人だったら怪しいと気づくだろう。
『な、なるほど』
肖の説明に麻衣達は納得した。そうしているうちに大橋が「どうぞこちらへ」と案内を始めた。
***
こうして一同は霊能者たちがいる食堂に向かった。本当にたくさんに人達が集まっており、そこには同じく依頼を受けていた真砂子もちゃんといた。
「それではまず今回ご助力をお願いした皆様をご紹介いたします。」
大橋は今回集めた者たちの紹介を始めた。
「法専寺ご住持、井村賢照様。防衛大学教授、五十嵐智絵先生と助手の鈴木直子様。
霊能者の原真砂子様。南心霊調査会所長、南麗明様。所員の厚木秀雄様、白石幸恵様、福田三輪様、そのオブザーバーで英国心霊調査協会のオリヴァー・デイヴィス博士。」
オリヴァー・デイヴィス本人が来ていたことに周りはざわつく。渋谷サイキック・リサーチの紹介を終わらせた後、大橋は今後について説明する。
「依頼主である先生のご意向で皆様には調査の間ここに泊まり込んでいただきます。リタイアしてお帰りいただくぶんには構いませんが、それまでは出入りをご遠慮くださいますよう。それではよろしくお願いいたします」
南は自慢げにいろいろ話す。最悪の場合、アレックス・タウナスやユリ・ゲラーに協力してもらうというのだ。渋谷サイキックリサーチはいつものようにベースを用意する。すると大橋が来た。
「部屋はこちらでよろしかったでしょうか」
その問いに安原はお礼を言い、「質問をさせていただいてよろしいでしょうか」と聞いてきた。こういうのはいつもナル自身が聞いてきたので麻衣は心配そうになる
「えー安原さん大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うよ。この場合」
「鳴海君、頼むね」
肖の思っていた通りナルにバトンタッチだった。ナルはいつもの様に依頼内容を確認する。明治時代、元総理大臣の奥さんの祖父、つまり先々代である美山鉦幸がいた。美山鉦幸は慈善病院や孤児院を建てたりし、そしてこの屋敷も建てた。しかし孫娘である元総理大臣の奥さんも、美山鉦幸の息子である先代も住まなかった。
「幽霊が出ると噂がありまして」
そのため忘れ去られた状態だったのだが先々月に少年が、彼を捜索していた消防団の青年が行方不明になったそう。先代は「朽ちるにまかせろ」と遺言を遺した。2人行方不明になると悪いうわさが立つ。かといってこれ以上被害出るも……ということで今回、依頼されたのだ。
「肖、弓弦」
大橋が去った後、ナルは肖と弓弦を呼ぶ。いるかどうかを聞くために。
「いるよ。かなり強い」
弓弦も興奮気味に頷き、真砂子も同意し、さらには血の臭いがすると言った。しかも麻衣も一瞬血の臭いを感じたそう。肖の言う通り、いる。