霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

夕食後…

 

「まだ空白があるな。」

 

大小合わせて十八ヶ所、小さいものは畳一枚程度、大きいものは数部屋ぶん。

 

「小さいものはともかく、この大きいやつが気になるな。」

 

ベースで計測しなおした平面図を見てナルは考えている。1階、2階に空白が多い。その代わり3階は無い。というより空白に覆いかぶさっている状態。なので支給品コートと謎の文字が書かれたお金があった隠し部屋のような入り口があるみたいだ。

 

ぐい

 

「弓弦?どうしたの?」

『?』

 

弓弦が窓を示す。すると

 

コツン

 

その窓から音が聞こえた。窓を見る肖達。窓の外には人影。霊かと思いきや

 

「まどか!?」

 

そこにいたのはまどかだった。彼女は「こんばんは~」と入ってくる。行方不明の鈴木と少年、青年について調べてくれたようだ。

 

 

「今朝連絡があった鈴木さんのことだけど、この辺のバス、タクシー会社に問い合わせたところ、それらしき人を乗せたり見かけたりした運転手はいないみたい。ヒッチハイクの可能性もなくはないけどやっぱりこの家からでてないんじゃないかな」

 

そして行方不明者の少年はフラフラと友人たちが居る部屋を出てそのまま戻らず、警察が人手を集めて探したが見つかるどころか今度は青年1人が行方不明になったそうだ。

 

ー翌日ー

 

まだ眠いのにドンドン叩く音で肖達は目を覚ました。

 

「ちょっと目を離した隙にいなくなって…もう二時間も探しているのに見つからないんですよ!」

 

今度は南の助手、厚木が行方不明になった。

 

 

「まったく……どうなっとるんだこの家は!!」

 

不機嫌そうに喚く井村に困ったような顔をして沈黙する大橋。南は頭を抱えて俯き、肖達はどうしたものかと視線を交わらせていた。すると五十嵐先生が南に話しかける。

 

「あの……南さん。デイヴィス博士に何とかしていただくわけにはまいりませんの?

博士のご都合が悪いようでしたら誰か他の方に助けていただくようには……」

 

五十嵐先生がそう尋ねれば南は動揺したように目をさ迷わせた。

 

「あ…いや、しかし……皆忙しい方ばかりだし、第一外国にいますから……」

 

肖はじっと南とデイヴィスの小指を見る。思うように動かせてない

 

(……やっぱりウソ)

 

そうしている内に井村の言葉に怒った南はデイヴィスを連れて部屋を出た。

 

 

「…言われてみればあの博士が本物っていう証拠、ないわよね」

 

ベースに戻った後、先ほどの様子に綾子は呟く。そんな言葉に滝川が反論した。

 

「おいおい、なんだよ急に」

「だよね。南さんが言い張ってるだけだもんね」

 

麻衣も綾子の言葉に同意する。当然、文句を言う滝川だが

 

「すごいところ一回も見せてもらっていないもん。それもこんなときにだよ?」

 

警察の捜査協力をしていたデイヴィスが協力しない。麻衣達も嘘臭いと理解している。

 

するとだ。

 

「階段の階数が違う」

 

『え?』

 

ナルが「階段の階数が違う」と言ったのだ。一体どういうことなのかを説明する。

 

「この辺り、行き止まりに辿り着くまでにここと、ここ……合計八箇所の階段があるがよく見ると上り階段の方が下りよりも段数が多い」

 

なので階段を細かく調べた結果

 

「あ!ドアがあります!」

 

装飾と一体化、そしてドアノブが階段近くにあったから気づかなかったのだ。小柄なジョンが入って確かめる。

 

「何か大きな額がかかってます!」

「額?」

「てことは絵ってこと?」

「そうなりますね」

「ジョン!持ってくること出来るか!?」

 

滝川の問いにジョンは「やってみます!」と答える。ゴソゴソと音がする。しばらくして

 

「あ、取れました」

 

やっと壁から取る事ができた。

 

「どうぞ!出せますか?」

「うーん。ギリギリ」

 

階段のせいで扉が小さいので出すのが大変。しばらくして

 

ズボ

 

「お!抜けた。」

「ジョン、登れる?」

「なんとか」

 

麻衣に懐中電灯を渡し、安原に引っ張ってもらう。こうして肖達はやっと絵を見ることにした。

 

「……男の人?」

「なんだか目つき悪いね」

「しかも顔色が悪そうですしねー」

 

肖の言う通り、男性。弓弦は首をかしげ、麻衣と安原は感想を言う。

 

「誰でしょ?この人」

「こうゆーのは後ろに題名とか作者が書かれてんだよ」

 

ジョンの疑問に滝川は教えながら裏返す。

 

「えーと明治…参?……肖読んでー(泣)」

 

少々崩しているから麻衣はよく読めないようだ。

 

「『明治三十二年 三月 自画像 浦戸』ってあるよ」

 

肖の言葉に「うらど?」と麻衣は疑問符を浮かべる。

 

「とりあえずナルに見せるか。あいつなら何か気づきそうだしな」

 

なので肖たちの『浦戸』という人物の自画像をベースに持ってくることにした。

 

「ナル。やっぱり部屋があったぜ」

「何かあったか?」

「入ったジョン曰くこれしかなかったようだ」

 

そう言って例の自画像をナルに見せる。

 

「誰の肖像画だ?」

「裏っかわ見てみ」

 

そう言って裏に書かれていた『明治三十二年 三月 自画像 浦戸』の文字を見せる。

 

「浦戸……『浦』だ」

 

そう言って手にしたのはこの前見つけた紙幣。そこには確かに『浦』という字がある。そして『浦』の左にシミで分かりづらいが『戸』があった。それを見て肖は思い出した

 

「あ!逆だった!」

「え?」

「逆ですの?」

 

真砂子の問いに肖はペンと紙を取り出す。

 

「大昔は横文字は右から左に読む。明治時代も当然右から左に読むから…」

 

そう言って書かれていたことを縦書きに直した。

 

『〇処〇来〇〇は皆死〇〇居る 浦戸に〇さ〇た〇〇聞く 〇げよ』

 

『おお――――』

 

反対に読んだからよくわからなかった。でも今はなんとなくわかる。

 

「多分、こう読むんじゃないかな。『此処に来た者は皆死んで居る』」

「なら最後の一文はこうね。『逃げよ』……これは誰かに宛てたメッセージなんだわ」

「ここに来た人たちは異常に気づいたんだ。だから巫女さんの言う通りメッセージを残した」

 

滝川、綾子、肖は言う。その内容に考えこんでいると、ふいにコンコンという音が聞こえた。

 

「まどか!来るなといったろう」

 

またまどかだった。今度は今回の二人目の行方不明者、厚木とこの屋敷の主だった鉦幸氏についてだ。厚木も鈴木と同じくタクシー等使っていないそうだ。そして鉦幸氏についてだ。

 

昔、製糸工場のある職員が工員の給料をごまかした事件があったらしい。この本人は勿論、同じ工場にいた長男、病院の職員だった三男、皆まとめてクビ。

住んでいた家が美山家の借家で、そこからも追い出し。

 

「そのうえね」

「まだあるのか?!」

「あるのよー。嫁いだらしい娘家族が住んでいた家も鉦幸氏の貸家だったのでこれも追い出し、犯人の親が鉦幸氏の土地の小作人で、この親たちも追い出されたの」

 

その為、語り草になっているそうだ。さらに鉦幸氏は人付き合いが悪くて、当時の猟師たちの間にもこの屋敷は避ける決まりがあったらしい。確かに近づきたくない。なので怪しいことをやっているのでは?という噂もあったほどだ。

 

「それと、息子の宏幸氏なんだけど・・・ちょっと気になることを言ってたらしいの」

「気になること?」

 

今度は息子についてだ

 

──幽霊がでるんだ。幽霊を閉じ込めて出られないようにするためなんだ──

 

「わかるか?浦戸という人物がいると思うんだ」

「浦戸?」

 

首を傾げるまどかに、滝川は先程の肖像画を見せた。

 

「あら、それが鉦幸氏よ」

 

そう告げると、また何かわかったら来るわねと言ってまどかは窓から出ていった浦戸は滝川曰く雅号じゃないかと言った…ちなみに雅号とはペンネームみたいなものである。

 

「『ここに来た者はみな死んでいる』・・・。『ここ』というのは当然この屋敷のことだろう。ここで何があったのか・・・・・」

 

「一つだけ、わかることがありますわ」

「うん」

 

「え?」

 

ナルの疑問にわかることがあると言った真砂子と肖。麻衣の疑問の声に、2人は静かに答えた。

 

「もうお忘れになりましたの?降霊会で霊が言った言葉ですわ。きっとあれはここに来て死んだ人たちの霊なんですわ」

「そして霊たちはミニー事件の様に屋敷に囚われている」

 

 

 

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