肖たちがベッドで寝ている時だ。
ゆさゆさ
「んー?弓弦?」
煙管入れで寝ているはずの弓弦が起きていた。そして弓弦は隣を見る
「う…ん…助ケ…死ニタクナ…」
「麻衣!」
麻衣の様子がおかしい。
「麻衣!麻衣起きて!麻衣!!」
起きた肖は急いで起こそうと麻衣を揺さぶる。
「ん~~うるさいわよ~」
「肖どうしたんですの?」
「麻衣の様子がおかしい!!」
「「え」」
眠たげに起きた綾子と真砂子は肖を見る。しかし肖の言葉を聞いて目を見開いた。
「麻衣どうしたのよ!!」
「しっかりしてくださいな!!」
綾子と真砂子も麻衣に声をかけるが、麻衣は起きてくれない。そして
「キャアアアアアアアアアアア」
「麻衣っ!」
悲鳴を上げた。綾子はとっさの判断で麻衣の頬に平手打ちをする。その衝撃と痛みのおかげで我に戻ったのか肖達を見た。
「わあああああ―――ん!!」
肖達が居ることに安心したのか一番近くにいる綾子の抱きついた。
「ど、どうしたのよ」
「よしよし。恐かったね」
麻衣に抱きつかれた綾子は慌て、肖と弓弦は麻衣を安心させるために背中をさする。
ドンドンドン
「おい どうした 大丈夫か!?」
やはり滝川達も麻衣の悲鳴を聞いて部屋に来た。麻衣曰く夢の中で男2人に血だらけのタイル張りの部屋に攫われ、さらに手術台に拘束されたあげく大きな包丁で首を切られたそうだ。恐怖のあまり悲鳴を上げるのは無理もない。
「大丈夫か?」
すると後から来たナルが紅茶を差し出す。
「……うん、大丈夫。……ありがと」
皆と紅茶のおかげで落ち着いたようだ。ただし
「………眠れない」
「だよね」
あの夢を見たなら眠れないのは当然だ。でも明日に備えるために寝不足は流石にダメ。考えた肖はあることを提案する。
「ひいお祖父ちゃんのとこ行ってみる?」
「遥さんのとこ?……うん。緑陵高のお礼もちゃんと言いたいし」
さっきの怖い夢より断然良い。麻衣は肖の提案に乗ることにした。
「それじゃあ前にやったみたいに…」
緑陵高でやったようにする2人。しばらくして眠りについた。
「あれ?ここって…」
麻衣は見上げる。夢の中に入ったのだが肖の家ではなく、どこかの家だった。
「麻衣ちゃんこっち」
「あ、君尋さん!遥さん」
肖の他に三味線を持った君尋とたばこを吹かす遥が居た。
「あ、遥さん!緑陵高の時本当にありがとうございました!!おかげで安原さん達は助かりました!!」
「いやナルくんが方法がある事を覚えていたこともあるし、麻衣ちゃんからちゃんとお礼を貰ったから。美味しかったよ、あの酒」
笑顔で言う遥。肖は言う
「麻衣、ぼーさんすごいね!ひいお祖父ちゃんが認める酒を用意できるなんて」
「え?そうなの?」
「遥さんのお酒はこだわったものばかりだからね。」
すると
びぃ―――――ん
三味線が鳴った。
「肖ちゃん。この子久々に弾いてほしいみたいだよ」
「そうですね。それじゃやろうね。」
肖は猫を相手にしているように三味線に声をかけた後、三味線を持つ。
「ん?ねえ肖。三味線ってなんかいるんじゃなかったっけ。こんな形の」
麻衣は肖が弾く三味線に興味を示したのだが三味線に必要な撥がないことを指摘する。
「この子はとても一途なの」
「他の撥は嫌いなんだよ」
「だから撥を使わない小唄をやるんだよ」
てぃん
てぃん
(へ―――三味線って指でも出来るんだー。……良い音だなー)
指で鳴らす三味線の音。その音を心の中で思っていると
『ありがとう』
「え?」
はっとすると屋敷のベッドの上にいた。
「おはよう麻衣」
同じく起きた肖は言う。
「お、おはよう!ねえ肖なんかあの時声しなかった?」
「声?」
肖は疑問符を浮かべる。
「良い音だなーって思ったらありがとうって」
「ああ。三味線の声だよ」
「え」