霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

ナルたちがやることは滝川が提案した壁を壊す事。なので怪しいと思われる場所まで来た。

 

「……やーれやれだ。まさかほんとに壁をブチ壊すハメになるとはな」

 

「ぼーさん似合うね、そーゆーカッコ」

「うん。全然違和感ない」

 

髪を括り、軍手をはめてツルハシを肩に担いでいる滝川の姿は麻衣と肖の言う通り、似合うし違和感ない。弓弦も頷く。滝川は本職はミュージシャンなので「ミュージシャンがバイトで資金集めをしている」にしか見えないのだ。

 

「!」

 

すると壁を厚さを調べられる機材を持ったリンが掘れる場所を示した。こうしてナル以外の男性陣による突貫作業が始まる。しばらくして人が入れる大きさになった。中が危なくないか、先行して赤外線カメラを下ろす。画面を見ると何かが写った。…それは…

 

「…何これ。学校の焼却炉みたい」

 

学校の焼却炉なのがあったのだ。男性陣が入る。その焼却炉らしきものの中を確認した時、ジョンが悲鳴を上げた。暫くして出てきた渋谷ナルは警察を呼んだ方がいいと言う。

 

「死体がある」

「死体!?鈴木さん達!?」

 

遺体が見つかったならせめてご家族の下にと思っていた麻衣は慌てて聞く。

 

「鈴木さん達じゃなかった。少年と青年のどちらかだ。とにかく大橋さん達にも連絡するぞ」

 

確かにこれは他の人達にも報告だ。なので大橋達を集めた。

 

「いったいどうしたのですか?今はそれどころではないのに」

 

南は不満気に言う。

 

「そう言わないでください。もしかしたらまた誰かがいなくなったのかもしれないんですよ」

 

五十嵐は不安そうに言った。

 

「と言っても流石に集めて説明をするのもどうかと」

 

井村も南と同意見だ。

 

「皆さんをこの場に集めた理由を言います。先ほど死体が見つかりました」

「……死体…ですか………」

 

冷や汗を流し顔色を悪くさせた大橋が呆然としたように呟いた。流石に文句を言った南と井村も無言になってしまう。

 

「おそらく二月に消えた二人のどちらかだと思います」

「そうですか……し…しかし、警察を呼ぶ件についてはとにかく先生に連絡をとってみますので」

 

流石に依頼人の指示を待たずに警察を呼ぶのはまずいと思ったのか、大橋は急いで依頼人に連絡を取りに部屋から出ていった。

 

「……あの、それはどこですか?」

 

五十嵐がどこに死体があったのかを聞く。

 

五十嵐先生の問いにナルは西側と答える。

 

「素晴らしいわ!博士の予言どおりでしたわね」

 

明るい声で素晴らしいと言う五十嵐。

 

「どういうことなんだろ?」

 

疑問符を浮かべる麻衣。肖は真顔で言う。

 

「どうせ適当に言ったんだよ。デイヴィス博士の能力は念力だからね」

 

そう言っている間にナルは穴でも開けない限り中には入れない場所だったことを説明する。鈴木達が生きていない。行方不明だった者の死体が穴でも開けない限り中には入れない場所で見つかった。なのでやはり井村と南たちは逃げ帰ろうとしていた。

 

「ちょっと待ってください!厚木さんと福田さんを捜してあげないんですか!?」

 

麻衣の言葉に南は少し気まずそうに顔をそらす。

 

「そ…そりゃ、捜して無事な姿が見つかるならそうしますがね。このままじゃ被害者が増えるだけでしょう?」

 

「滝川さん、これを見てもデイヴィス博士が本物って言えるの?」

「ゔ…」

 

肖が言っていると

 

「ワ…ワタシはちがいます。ワタシはデイヴィスちがいます!」

 

五十嵐の必死のお願いが怖くなったのかやっと白状した。

 

「西いったのもウソです。そう言っただけです。南サンが『デイヴィスといえ』といっただけです」

 

肖が思っていた通り適当に言っていた。南は自分の心霊調査会に箔を付けるためにデイヴィスの偽者を用意したってことだ。こうして嘘がバレた南たちは逃げていく。

 

「博士が……ウソ…」

「ま こんなこったろーと思ったわよ」

「なんで分かりやすいウソに騙されるの」

 

ショックのあまりに魂が抜けだす滝川に綾子と肖は呆れる。その一方でデイヴィスが偽者。鈴木を探す事が出来ないとショックを受けている五十嵐にナルは「この家は危険だ、出た方がいい。」と説得する。

 

「僕らも引き上げます」

 

そう言ったナルに麻衣は驚きの声を上げた。

 

「ちょ、ちょっと……。他の失踪した人達はどうするの?ほっぽって帰るつもり!?」

 

ナルは浦戸はどんな危険な物かと説明する。そして倒せる方法はちゃんとある。

 

「一つだけ、ヤツには弱点がある。この家から出ることが出来ないんだ」

 

つまりここを燃やせばいいだけ。さらに自分が依頼を受けた理由を説明する。実は今回の仕事は大橋からの依頼じゃなく、まどかの依頼だから来たのだ。

 

南心霊調査会にいる偽デイヴィス博士を暴いてほしい。ただそれだけである。

 

「……たっ…たばかったな、てめー……!」

「戦略上の秘密というやつだ。この中には腹芸のできない人間がいるだろう」

 

麻衣の文句もバッサリと切り伏せたナル。麻衣はふるふると震えながらも最後の悪あがきとでもいうように開き直った……いや、キレた。

 

「えーーえ!そーですとも!あたしはナルと違って人を騙すのが大っ嫌いだからね!」

 

叫んだ麻衣は五十嵐にぺこりと頭を下げた。

 

「ごめんなさい。あたし、ウソをついてました。うちの所長もニセモノです」

「麻衣!」

 

ナルが非難めいた言葉を上げるが麻衣は聞いたこっちゃない。

 

「ほんとはこいつが渋谷一也なんです」

 

「麻衣らしいわねー」

「うん。でもあいつ等よりは好感持てるよ?」

 

肖の言葉に「確かにそうね」と綾子は納得する。こうしてナル達も帰り支度を始めた。

 

 

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