綾子は埃だらけが嫌なのでシャワーを浴びに、肖はお花を摘みに行った。麻衣と真砂子がいる部屋に戻ろうとした時だ。
「真砂子?」
真砂子が歩いていたのだが様子がおかしい。まるで操られているような
「まさか!」
肖は走った。すると壁から腕が現れ、真砂子の腕を掴む
ガシ
「うー…」
肖は真砂子の腕を掴んだが腕の方が強かった。弓弦は九尾に変身すると腕に咬みつく。そのおかげで肖は引っ張ることができた。しかし
ガシガシ
もう二本腕が現れ真砂子を掴んだ。
(腕を掴めば絶対逃げていく。でも真砂子が間に居るから届かない。弓矢を出したらその隙に真砂子が攫われてしまう…なら)
肖は弓弦の言った。
「弓弦。真砂子は私が『必ず守る』!だからナル達を呼んで!」
それを聞いて弓弦はブンブン首を振る。
「このままじゃ弓弦も捕まっちゃう。大丈夫。私がいるんだから」
弓弦は涙を流しながら放した。そして全速疾走でナル達の下へ走る。
「お願いね」
こうして肖と真砂子は捕まってしまった。
***
「う…」
「真砂子。気が付いた?」
真砂子が起きてくれた。
「ここは?」
「麻衣の夢に出た部屋」
「え!?あたくし達捕まってしまったんですの?」
周りは麻衣の言う通りの場所だった。
「不幸中の幸いは私が居た事。私がいるから襲ってこないの」
「そうだったのですか……あの時廊下に出てなければ」
「今、悔やんでも仕方がない。ナル達が来るのを信じて待つ。それだけだよ」
ナル達が必ず見つけ出してくれるのを信じて待つ。肖と真砂子が出来るのはそれだけだ。しかし真砂子は弱っていく。肖がいるからまだマシとは言え周りは亡くなった人たちの恐ろしい思念。浦戸の手下の男達が殺そうとしているのだ。
「ねえ。私達に近づくとどうなると思う?」
肖は祓う力を出す。そのため思念は消え、男たちは逃げていく。
「肖…」
「真砂子。大丈夫。ナル達がちゃんと見つけてくれる。『絶対に大丈夫』」
『その通りだよ』
「「え?」」
そこにいたのは優しい笑みを浮かべるナルだった。
『肖の言う通り、大丈夫。大丈夫だよ』
「……ナル」
肖とナルの言葉に安心したのか気絶した。
「ありがと。ナルのそっくりさん」
肖の言葉に驚いていたが彼は『どういたしまして』と笑顔で消えていった。
「真砂子!?肖!?」
麻衣の声だ。
「……麻衣」
(幽体離脱)
麻衣はいつもの夢だと思っているようだが違う。幽体離脱で肖と真砂子を探しに来てくれたのだ。
「来てくれてありがと」
2人が生きていることに麻衣は胸を撫で下ろす。そして必死に励ました。真砂子はナルのそっくりさんが来てくれたことを話す。しかしやはり疲れてしまっているせいか死んでいるかもしれないと言い始めた
「真砂子」
肖は真砂子の手を強めにつまむ。
「痛いでしょ。痛いならちゃんと生きているからそう言わないで」
すると麻衣は大事なお守り(両親が生きてた時に住んでいた家の鍵)を真砂子に渡して励ます。そうしている内に時間になってしまったのか消えていく。
「真砂子!肖!あきらめちゃだめだよ!」
「うん。『絶対にあきらめない』」
必死に叫ぶ麻衣に肖は笑顔で応えた。
「………夢だったのでしょうか」
「夢じゃないよ。ほら見て。お守りがある」
肖の言う通り、麻衣のお守りが真砂子の手のひらにあった。
またしばらくして…
「真砂子!肖!」
遠くから麻衣の声が聞こえてきた。その声はだんだん近づいてくる。懐中電灯の灯りも見えたし、弓弦の気配を感じる。そしてとうとう
「肖!?真砂子!?」
見つけてくれた。
ドゴォ
「う…よしよし弓弦。私たちは大丈夫。弓弦たちが来てくれたんだから大丈夫」
嬉しさのあまり体当たりを決めた弓弦を優しく抱きしめる肖。
「…麻衣、怪我をしましたの?」
真砂子が聞く。麻衣の腕が赤いのだ。
たぷん
音が聞こえた。その方向にあったのは大量の血がある湯船。そこから現れたのは浦戸だった。
「麻衣、真言!」
「ナウマクサンマンダバサラダンカン」
肖の指示にすぐに真言を唱える麻衣。その間に肖は弓矢を出す。
「ナウマクサンマンダバサラダンカン!臨兵闘者皆陳烈在前!」
パァン
麻衣の真言と肖の矢を喰らった浦戸は湯船に逃げた。
「真砂子!」
「立って!」
麻衣と肖は真砂子を強引に立たせる。その時
ダン
麻衣が男達の腕に捕まった。
「弓弦。咬みついて!」
弓弦はお返しだとばかりに腕に咬みつく。肖は浦戸に二発目を放った。そうしている内にナル達も来てくれた。弱っている浦戸を見たリンは指笛を吹く。リンの使い魔たちが浦戸を驚かせている内にナル達は逃げ出した。浦戸達も流石の追いかけられない外へ逃げられたお陰で全員座り込む。
「麻衣~……お前、あれほど…一人で行動すんなって………まぁ…お陰で、見つけたけどな。……失踪した連中」
滝川はぐったりしながら教える。あの閉ざされた空間の、二階部分にあったらしい。喉が痛そうだった、と呟いた。そしてその手前の部屋には物凄い数の骨が丁寧に並べてあったそう。
「恐らく…宏幸氏はあれを隠したかったんだろう。とても一人で処分しきれる量じゃなかった」
それを聞いて麻衣は悲しい表情になる。
「…そういえばリンさんや。さっきのありゃなんだ?」
「さっきの?」
麻衣の新しい能力で思い出した滝川はリンの使い魔について聞いた。
「わたしの式です」
「しき?」
「物凄く分かりやすく言うと中国の使い魔」
肖に続いて滝川も説明する。中国の道士には妖怪や霊を自分の支配下に置くことを出来る。そういった使役される霊を式と呼ばれるそうだ
それからは一気に事態は収束した。大橋に空白部分にあったモノ、失踪者が皆亡くなっていたこと、全てを話し、除霊は不可能だと伝え、ナルたち一向は屋敷から撤退した。
数日後、屋敷が炎上したという記事が新聞に載っていた。真相に比べて、とても小さな紙面だった。