霊狩中毒   作:WATAHUWA

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「ねえ肖あんたなら追い出す事出来るんじゃないの?」

「へ?」

「はぁ!?どーゆこと!?」

 

綾子の言葉に麻衣と滝川とリンは肖と弓弦を見る。

 

「だってこの子平手打ちでナルに憑いた狐を少しだけ出したのよ!」

「ウソォ!」

 

綾子の言葉に麻衣は驚く。

 

「肖出来るの!?」

「一応は…ただし本気で祓うならナルを殴らないといけないの。」

 

肖の言葉に弓弦も頷く。肖が平手打ちにしたのはナルのために手加減した結果なのだ。流石にナルが可哀想なので殴って追い出す方法は却下された。明日真砂子とジョンが来るので今日の調査はここまでにして寝ることになった。

 

 

ー翌朝ー

 

真砂子とジョンが来た。

 

「あらナルはどうしたんですの?」

「……あ…ナルはその」

 

真砂子の問いに麻衣は言いづらそう。ナルが憑かれたのだから言いづらいのは無理もない。

 

「麻衣。私が説明しようか?」

「……お願い」

 

なので肖が代わりに説明する。

 

「吉見家の大人たちはもう覚えたよね」

「はい。やえさんとご夫婦。その子供である5人兄妹と」

「長男の奥様と長女の旦那様ですわね」

 

ジョンと真砂子は吉見家の大人たちを簡単に言う。

 

「うん。そして長女・光可さんの夫である栄次郎さんが狐に憑かれたの。その後、追い出したんだけど今度はナルに」

「「えぇ!」」

 

追い出された狐が今度はナルに憑いたことに真砂子とジョンは当然驚く。

 

「…まさか渋谷さんがそんなエライことになってはるとは…」

 

後で霊視した真砂子曰く無色透明でなんの感情は放射されていない空虚な霊と説明する。

 

「なにかが邪魔してるのかもしれませんわ」

 

その説明にリンは考えた。すると彰文が差し入れに来てくれた時だった。

 

「まさか下に降りたんですか?だめですよ、あの石段は危ないんですから」

 

麻衣と彰文の会話に、ビデオを見ていた滝川達もどうした、と振り返った。

 

「麻衣、また?」

「うん…。あたし、またやっちゃったみたい」

 

いつもの夢を見たそうだ。

 

「どんな夢を見たの?」

 

麻衣の見る夢は事件解決の手掛かりになる。肖に言われ、麻衣は説明した。

 

「彰文さんが言っていた洞窟の奥に祠があるの」

「あるんですか?」

 

肖が聞くと彰文は驚いたように「は、はい。あります」と答える。やはりあるようだ。

 

「麻衣続き!」

「う、うん」

 

滝川に言われ、麻衣は続ける。下から人魂が昇っており、降りてみるとさっき言った洞窟がある。その洞窟に魚とかの霊が海から吹き寄せるそうだ。彰文も実際、潮の関係で死体が流れ着いていると説明する。

 

「……行くしかないか」

「うん。麻衣が見た夢だから確認しないと」

「きっと手掛かりがあります」

「か、確認ってええ!?」

 

滝川、肖、ジョンの言葉に彰文は驚く。

 

「麻衣は夢で過去の事を知ることが出来るんです」

「そして今回の夢は洞窟!」

「確認するしかないですね」

 

リンも同意した。

 

「えーやっぱり行くのー」

「当然ですわ。さっさと行ってナルを起す手掛かりを探さないと」

「そんな訳で案内できるかしら」

「はい一応」

 

こうして一同と彰文は手掛かりになる洞窟へ行くことになった。

 

 

「店ができたのはいつごろなんです?」

「曾祖父の代だと聞いています。金沢にあった店をここに移したそうです」

 

かなり昔からあるそうだ。

 

「こういう場所には伝説的な話があるんだけど……彰文さん知っていますか?」

 

肖の問いに彰文は「あります」と答える。

 

一つ目は岬の先にある六つの石……やえも知らないが墓石みたいだからいじくらないんだそう。

 

二つ目は崖下にある覗けば雄瘤(おこぶ)と雌瘤(めこぶ)という注連縄がかけられた二つの岩。ずっと昔に住んでいた姫と恋人である漁師。横恋慕する貴族の男。邪魔をする男は姫を無理矢理嫁に貰おうとしたがやはり姫は嫌がった。なので姫と漁師は駆け落ちしようとするが、その手筈を書いた手紙を男にすりかえられてしまった。それに気付いた姫が慌てて恋人を捜すと、姫に裏切られたと思った漁師が落ち合うはずの場所に来ていた男を殺してしまっていた。

 

「……二人は誤解を解くことが出来たけれどもう遅い。それで、この岬から海に飛び込んでしまうんです。それを哀れに思った神様が二度と引き裂かれることのないように、恋人を雄瘤に、姫を雌瘤に変えたって話です」

 

三つ目は小さな神社にあるトハチ塚。十八と書いて十八(とはち)塚。別名を三六(さんろく)塚。

 

「ねえ弓弦。ここ変わっているね。」

 

肖の言葉に弓弦は頷く。とても良い物ととても悪い物が混ざり合っているような感覚なのだ。しかし外国に行った事がある真砂子は分かった。真砂子曰くアメリカにあるインディアンの霊場に似ているらしい。その後、崖の上から階段で下る道を行き、肖たちは例の洞窟へ足を踏み入れた。

 

「やっぱり麻衣の言う通りだね」

「気配感じる?」

 

肖の言葉に麻衣は聞く。

 

「うん。霊が吸い込まれる感じがする」

 

そう言っていると祠に近づいた滝川が言う。

 

「若ダンナ。中に入ってるこりゃなんだ?」

「流木ですよ。…多分、そうだと思うんですけど、『おこぶさま』っていうんです」

「形が仏像に見えますね」

 

肖の言葉に「その通りです」と彰文は言う。そのポーズをとっているからこうやって祀っているのだろうと、彰文は話した。ベースに戻ると滝川は説明する。漂着物自体をそもそも『えびす』というらしい。特に珍しい形の石、ありがたい形の流木。そういうものは良いことの前触れだということで後生大事に祀ったり。今回のおこぶさまもそれだった。

 

 

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