霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

ベースは今どんよりとした空気が流れている。例の洞窟に奈央の遺体が流れ着いていたのだ。もっと早く探しに行けば奈央は助かったかもしれない。そんな後悔がある。すると難しい顔で考えていた滝川が真砂子を見る。

 

「……真砂子ちゃんや」

「はい?」

「奈央さんを降ろせるかい?」

 

奈央の霊を降霊させるようだった。

 

「…やってみても、よろしゅうございますわ」

 

こうして一同は奈央の霊を降霊させることにした。麻衣が「家族の誰かに知らせた方がよくない?」と聞いたが今回だけはダメ。吉見家には憑依された人がいた、もしくはまだいる。記憶がないのに自分が殺した、なんて誰も知りたくないないからだ。

準備の整った机を皆で囲む。用意された蝋燭とお線香に火が付けられ、部屋の明かりが落とされる。座椅子に座った真砂子が数珠で祈る。

 

(来た)

 

肖は霊の気配を感じ取った。

 

「弓弦。奈央さん?」

 

肖が小さい声で聞くと弓弦は頷いた。弓弦の様子を見た滝川は「奈央さんそこにいますか」と真砂子の中にいる奈央に確認する。

 

「……はい」

 

応えた。

 

 

「何故亡くなったのかわかりますか」

「…海に……落ちました……。茶室の…庭にいて…海を見ていて……突き落とされました…」

 

誤って落ちたんではなく誰かに突き落とされた。それを聞いて麻衣は俯く。

 

ぎゅ

 

しゅるり

 

「肖…弓弦ちゃん」

 

肖が麻衣の手を握り、弓弦は首に巻き付いたのだ。そうしている内に奈央はあることを言う

 

「あそこへは家族しか行きません…。わたしを突き落としたのが家族なら…知りたくありません…」

 

「そんな…」

「やっぱりか」

 

本当に操られた誰かに突き落とされてしまったのだ。すると奈央が苦しみだした。

滝川の問に、誰かが引っ張ると答えた奈央。

 

「引っ張る?」

「これは…何?怖い願いだから引っ張らないで。怖い。そっちには行きたくない…やめて…化け物…!」

 

そう言って奈央は真砂子から出て行った。

 

翌日、安原が来た。

 

「やっぱぼーさんが呼んだのって、安原さんだったんだー。」

「すみません、安原さん。ぼーさんが無理言って」

 

沖縄でバイト(リゾートホテルのボーイ)をしている時にあの無茶な電話が来たのだ。

 

「ぼーさん。流石に沖縄に居る人に無茶言ったらダメでしょ」

 

肖の言葉に弓弦もじと―――…と滝川を見る。流石に滝川も無茶言ったと自覚したのか「う…だってよー」と小さい声で言った。

 

「それで?僕は何をすればいいんですか?」

「俺達はここから動けない。少年は外で情報を集めてもらいたいんだ。」

「はぁ、なるほど。探偵をやればいいんですね。でも、どういう性質の情報を?」

「詳しいことは今から説明するが…そう言や、少年。安政年間ってのは何年ぐらいだ?」

 

その問いにヴラド事件のようにさらりと答えた。

 

「安政の大獄が一八五八年ですよね、そのくらいじゃないでしょうか。」

「ま、そういう種類の情報だ。」

「了解しました。」

 

こうして安原は調査に出かけた。

 

「なんか手掛かり見つかるといいねー。」

「うん。手がかりと言えば夢見た?」

 

肖の問いに麻衣は「見た!」と言った。

 

「奈央さんの霊が何回もあの洞窟に入る夢。」

「胎内めぐりしてたんだ」

「あ、やっぱりわかった?」

 

暗いトンネルを母の胎内に見立てる。そのトンネルを抜けて外に出るともう一度生まれたことになるのだ。

 

「にしても奈央さんって「胎内めぐり」ってよく知ってるね。私みたいに家が寺じゃないのに」

「あーそういえば」

 

肖は実家が寺なので知っているが奈央は違う。なぜ彼女は胎内めぐりを知っているのか謎だ。

 

 

ズオオオォ―――ゴ…ゴゴ

 

ベース内は物凄い音(ジョン曰く恐竜の寝息)が響いていた。昨夜のデータをチェックしていたらどのカメラにも入っていたのだ。

 

ジリリリリリッ

「え、火事!?」

 

すぐさま滝川が立ち上がり、廊下に飛び出した。

 

「ぼーさん!母屋が・・・!」

 

麻衣の視線の先には煙の上がる母屋の屋根。母屋には吉見家の人がいる。急ぐと彰文が座布団を叩いて消そうとしていた。やえと子供たちは避難しているそうだ。

 

プシュウウウウ

 

「あ、消えるの速いわね!」

 

以前は霊による発火だったため全然消えなかったが今回は早く消すことが出来そうだ。

 

「気配からして霊の発火じゃないみたい!はい、ぼーさん消火器追加!」

「おう!」

 

肖は消火器を滝川に渡す。消火器を受け取った滝川は消火剤を一気にかけた。

 

「ふー…」

「お、終わった」

「皆さんありがとうございます」

 

消し止められたのだが一難去ってまた一難が起こった。包丁を持った和泰がベースに現れた。しかもナルが寝ている部屋の襖を引き裂き始めたのだ。なのでリン、滝川、ジョン、麻衣は和泰を追いかけ、肖達はまた襲われない様にベースを守ることになった。

 

「うわ…襖が」

 

ズタズタにされた襖を見て綾子は青ざめる。

 

「麻衣達大丈夫かしら」

「……うん軽傷ですんでほしいね」

「(コクコク)」

 

襖の様子を見て真砂子、肖、弓弦は麻衣達を心配する。しばらくして麻衣達が戻ってきた。………和泰はいなかった。麻衣曰く奈央を突き落とし、車に細工した等は全部和泰がやったこと。和泰に憑依していた霊の目的は分からない。

 

「死が」

 

そういって海に飛び込んで……和泰は亡くなったそうだ。

 

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