霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

吉見家に戻る肖達。しかし滝川と安原が大怪我しているので遅い。一回休ませようとした時だった。

 

ドサ

 

「ナル!?」

 

ナルが倒れたのだ。リンは急いで駆け寄るとあることに気づいた。リンはナルを仰向けにし、胸に耳を当て、両手で押す。

 

「え?…心臓マッサージ?」

 

心臓マッサージ。つまりナルの心臓は動いていないという事。

 

「ちょっと、大丈夫なの?!」

綾子の心配そうな声にリンは答えない。ナルの顔を思い切りひっぱたき、叫んだ。

 

「ナル!息をしなさい!」

「救急車を呼んできます!」

 

ナルが息をしていない。それを聞いたジョンは走る。

 

「ナル!」

 

またリンがナルを顔を平手打ちをする。すると

 

「げほっ」

 

息を吹き返してくれた。その後も呼吸をするナルだが弱弱しい。こうしてナルは駆けつけた救急車に乗せられ病院に運ばれた。

 

 

ー病院ー

 

ナルは回復に向かっているが余病が併発する恐れがあるので経過を少し見守るということで入院。レントゲン撮影から戻ってきた安原は結局肋骨が折れていたらしく、同じく入院決定となった。リンが言うにはナルはよくポルターガイストをよく起こす子供だったらしくリンが気功法を教えたそう。そしてナルの力は強力すぎて体が追い付かないので倒れてしまう。だからリンが使わせない様に監視する役目を受けているのだ。その説明を聞いた麻衣はリンに聞く。

 

「ちゃんと治る?」

「もちろんです」

 

プライドの高いナルだ。何が何だろうと絶対治すようにするだろう。

 

その日の夜

 

「それはすごいなぁ」

「ナル君って命知らずだ。」

「はい。なのでこれから叱りに行くんです」

 

ヒトは祭事は勝手に決め、勝手に変え、勝手に忘れていく。それに付き合わされる神や妖怪にとってたまったものではない。なので溜まったツケは人がいつか払う。今回のナルは神からすればツケを払った状態。それを知っている遥と君尋は今回のナルの行動に呆れている。

 

「それじゃあ私たちも付いて行こう」

「子供を叱るのは大人の役目だからね」

「………大人」

 

君尋の言葉に肖は君尋を見る。君尋は静と同い年なのだが諸事情で時が止まっている。なので外見は肖と同年代なのだ。絶対ナルは機嫌が悪くなると肖は思った。

 

ーナルの夢の中ー

 

「ナル…ナル」

 

「……肖?」

 

夢の中のはずなのに肖の声が聞こえる。ナルが目を開けると肖、遥、君尋がいた。

 

「ここは……それに静さん?」

 

遥の容姿を知らないナルは肖の父と勘違いしている。

 

「この人は百目鬼遥。私のひいお祖父ちゃんだよ」

「あいつとかなり違うのにな」

「え?」

 

肖と君尋の言葉にナルは驚く。だってどう見ても静だから無理もない。

 

「ところでナル。本当に何バカなことをしたの。」

「そうだよ。いくらなんでも命知らずだ。」

「プライドを傷つけられたからと理由で神を除霊はしてはいけないよ」

 

三人の言葉にナルは無言。その様子に肖はため息をつく。

 

「これは雨童女から聞いた話なんだけど」

「あめわらし?」

 

君尋は説明する。

 

「妖怪に聞こえるけど妖怪より格上の存在。分かりやすく言えば旱魃から人を救う神の一種だと思って」

 

実際、旱魃が続いたときに雨を降らせてくれる「雨を呼び人を助ける妖怪」という神聖な「雨神」の一種とされる事もある。(Wikipedia抜粋)

 

「祭事はヒトが執り行うもの。ヒトが決め、朽ちさせていくものなの」

「勝手に決めて、勝手に変えて、勝手に忘れていく。それに振り回される方はたまったものではないんだ。」

 

肖と遥の言葉にナルは「たまったものではないツケはどうするんですか」と聞く。その問いに君尋は答えた。

 

「何時かヒトが払うんだ。そしておこぶ様のツケは吉見家だった。ナルくんはそのツケを代わりに払ったから倒れたんだよ」

「・・・・・・・・」

 

ヒトが払うたまったものではないツケを聞いてナルはしばらく考えてしまう。

 

「それとナル。起きたらちゃんとぼーさん達に謝ってね。ナルのせいで怪我をしたも同然なんだから」

「麻衣ちゃんと真砂子ちゃんにもだよ。彼女たちすごく心配してたんだからね」

「その力も使っちゃ駄目だよ。君のためでもあるし、皆のためにも、君の大事な彼(・)のためにもね」

 

「ハッ」

 

ナルは目を開ける。自分はベッドで寝ており、周りは脈などを調べる機械だらけ。集中治療室だった。でもナルは今はそれどころではない。

 

「なんで遥さんがあいつのことを」

 

遥が知っていたことにただ驚いていた。

 

 

 

半月後…

 

「ゆづるながーい」

「かわいー」

「きつねさんだー」

「管狐だからね。長いし、可愛いし、狐さんだよ」

 

管狐状態の弓弦に興味津々の子供達。ナルが医師の制止を振り切って退院する、ということで皆はその手伝い。安原は未だコルセットをつけているということでお留守番。ジョンはその付き添いで同じく居残り。肖と弓弦は後片付けやなんかで忙しい吉見家の代わりに子供たちの相手をしていた。

 

こうして事件が終わり、一同は帰ることになった

 

「こっちに乗れるのは五人までだからな。二人そっちに乗ることになるが・・・」

 

滝川がさてどうするか、とこちらを見る。人数のおかげでどう乗るか迷っているのだ。

 

「肖、原さん、乗りますか」

 

ナルは肖、真砂子に聞く。

 

「わかった」

「もちろんですわ」

 

ナル、リン、肖、真砂子、弓弦。麻衣、滝川、綾子、ジョン、安原に分かれることになった。

 

「ナルが治って本当に良かったね」

「本当ですわ」

 

ナルが回復して真砂子はご機嫌だ。しばらくすると

 

「あら?道間違えてません?」

「うん。松本の方を通るんだよね?」

(コクコク)

「何やってるんだあいつらは」

 

肖の言う通り、松本の方を通るのだが滝川が運転する車は違う方向へ行くのだ。

 

「鳴らしてみます」

 

運転しているリンがクラクションを鳴らしてみることにした。

 

パ――――っパパパパパパ

 

しかし反応なし。

 

「無視してますわね」

「近道でもあるの?」

「逸れるのは流石にマズイ。付いて行くぞ」

「分かりました」

 

こうして付いて行く肖達。その結果。

 

「ちょっとぉここどこよ!」

「お前が騒ぐからだろーが!あの状況でどうやって標識を見ろってんだ」

 

「「「「・・・・・・・・」」」」

 

綾子が原因だった。安原は地図を引っ張り出す。林道を抜けた先に県道に繋がる道があるということで、そこを進むことになった。

 

「あ、真砂子キャンプ場があるよ」

「まあ。楽しそうですわね」

 

夏にキャンプ。真砂子の言う通り楽しそうだ。そうしている内に

 

「そろそろ出ますよ」

 

舗装されていない山道から普通の道路に出られた。

 

「よかったね」

「本当に一時はどうなるかと思いましたわ」

 

これでやっと帰れるだろう。その時だ。

 

「リン止まれ!」

「「「「!?」」」」

 

キキ――――!

 

ナルの声に急ブレーキをかけるリン。

 

「ナル!いきなり何を!」

 

リンは言うがナルは聞いていない。それどころか車から降りた。リンも後を追いかける。

 

「どういうことですの?」

「とりあえず降りてみよ」

 

肖、真砂子、弓弦も降りることにした。湖を見ているナルとリンは冷静かつ無表情。

 

「リン。キャンプ場に行くぞ」

「わかりました」

 

ナルの言葉にあっさりと応えるリン。一体どういうことなのか。キャンプ場に到着するとナルは説明する。

 

「僕はここに用がある。麻衣たちは東京に帰れ」

「帰れってったって・・・・・」

 

その言葉にリン以外は驚く。

 

「ちょっと待ってよ。ナルたちはいつ戻るわけ?」

「旅行の時みたいに遅いの?」

「わからない」

 

麻衣と肖の問いに分からないと答えるナル。

 

「わからないって・・・・・その間オフィスはどうするの?」

「閉めていい。麻衣と肖も他のバイトを探すんだな」

 

一瞬何を言ってるのかわからなかった。

 

「・・・・・・・・・・え?」

 

「あのオフィスは戻り次第閉鎖する」

 

 

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