そのおかげで走りづらい。綾子はそのせいで転んでしまう。
「あ!」
「巫女さん!」
肖は綾子の服を掴む。
ドン
その衝撃で気絶してしまった。
「……廊下?」
肖が起きるとさっきと変わらないただの廊下。ただし
「巫女さん!」
綾子が居ない。麻衣達もいなかった。
「まさか………弓弦」
不安げに弓弦を呼ぶ肖。すると
しゅるり
「弓弦!」
服から弓弦が出てきた。咄嗟の判断で服に入り込んだようだ。
「あ―――良かった。弓弦怪我してない?」
その問いに弓弦は「大丈夫!」とばかりに頷いた。その様子に安心し、肖は優しく撫でる。
「私たちもリンさんの様に行方不明になったってことだね。巫女さんとは……途中まで一緒だったけど霊が私を嫌がって巫女さんだけ連れて行った。またはあの衝撃で離しちゃったのかな………巫女さん無事だと良いね」
「(コクコク)」
樹の精霊が居る場所だったら綾子は大丈夫。ただしこの場には当然いないので危ないだろう。
「とにかく探そう」
同じ空間に飛ばされたのならリンと綾子と合流できるかもしれない。そう思って肖と弓弦は歩き始めた。
***
くいくい
「うん。1人になってからは霊の気配がよく感じる。」
霊たちがいる空間なのかいつも以上に霊の気配が感じる。ただし祓う力がある肖がその方向へ行こうとすると気配は逃げていく。
「弓弦。霊は子供?」
肖の問いに弓弦は頷く。
「遠足で死んじゃった子たちだね。そして死んだと理解できずにここに来ている」
何気なく外を見る肖。まだ雨が降っている。ある事を思いついた肖はポケットにしまっていた物を出す。
「!」
「うん。鏡聴をするの」
肖の手にあるのは蝶と花の細工が施されたコンパクトミラー。肖がやるのは鏡を使った占い・鏡聴だ。
「後は「兆し」を聞きとれるかどうか」
肖はコンパクトミラーを見て悩む。鏡聴は普通なら陽が出ている時に降る雨、狐の嫁入りの時にやる占いだ。陽の下の雨のチカラで精度を上げ、深くて確かな「兆し」を聞くために。しかし今回のようにただの雨だとどうしても精度が落ち、「兆し」も単語でしか聞こえないし、時間がかかるのである。
「『絶対に大丈夫』ちゃんと聞ける」
無敵の呪文を唱え肖は目を閉じた。
「…………。」
君尋から教わった通り、目を閉じ、耳を澄ませて、何も考えない肖。その様子を弓弦は見守る。
『……夢………』
小さいが聞こえた。
「………弓弦。なんとか聞こえたよ。夢だって」
夢。連想するのは麻衣だ。どうやら麻衣の夢に入れという事だ。