霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

数日後

 

「肖良かった―――――!!」

「ゔ」

 

麻衣にがしっと抱きつかれ、肖と彼女の髪に隠れている弓弦は苦しい思いをする。

 

「心配かけてごめんね」

「ううん!ホント軽傷ですんでよかったよ!!」

 

そう言っていると担任が現れた。

 

「黒田 谷山 百目鬼 校長室に来なさい」

 

校長室へ呼び出しだった。

 

「肖あたし悪いことした!?遅刻してないよね!?」

「うん。遅刻したのはこの間だからしてない」

 

3人は疑問に思いつつ校長室へ向かった。

 

「失礼しまーす」

 

入ると今回の旧校舎事件の関係者が居た。ナルはカーテンを閉め、点いたり消えたりするライトのスイッチを入れる。

 

「……光にあわせて息をしてください。ゆっくりと、肩の力を抜いて……」

 

ナルに言われ、光に合わせて呼吸をし、肩の力を抜く。

「自分の呼吸が聞こえますか。心の中で呼吸を数えてください」

 

ナルの声が、遠い。

 

「今夜、なにかが起こります。旧校舎の二階にあったイスです。イスが動きます。今夜は旧校舎の実験室の中にあります」

 

(旧校舎の……椅子…?)

 

シャッ

『!?』

「けっこうです」

 

ナルがカーテンを引いたせいで急に室内が明るくなり、思わず目を細める肖たち。

 

「ありがとうございました」

 

ナルが手を置いた、イス。全員の視線が、それに集まった。

 

***

 

今、肖、麻衣、ジョン、そしてナルは旧校舎の実験室にいた。ナルはイスを置き、その周りをチョークで囲む。その後、彼はカメラを設置した。次にやることは……ベニヤ板で実験室の窓をふさぐことだ。本当に隙間なく麻衣は校長室でのことを聞いたのだが、教えてくれなかったので、そのイライラをベニヤ板を打つ釘にぶつけていた。

こうして打ち付けは終わった。

 

「三人でこの板に大きくサインしてくれ。全ての板に文字がかかるように」

 

麻衣とジョン、肖は言われた通りに自分の名前を書いた。

 

ー翌朝ー

 

すりすり

 

「うん。昨日のあれなんだろうね。(ひいお祖父ちゃんは話しを聞いたから解決できたみたいだし。ナルはどうやって解決するつもりだろ)」

 

そうしている内に学校に到着した肖と弓弦は旧校舎へ向かった。

 

「おはよう」

「あ、肖おはよ!助かった―――!!」

 

一体どういうことか。すると肖は気づいた。麻衣と肖が怪我させたリンが居たからだ。麻衣の事だからこの空気に耐えられなかったようだ。

 

「肖、口は固い方か?」

「言うなって言うなら言わない」

「よし」

 

これからあることは緘口令があるほどのようだ。そう考えた肖はリンに近づく。

 

「助手さん」

「Σ肖!?」

 

まさかリンに近づいたことに驚く麻衣。肖はリンに頭を下げる。

 

「あの時は大怪我させてすみませんでした」

 

リンにしっかり謝罪する肖。するとリンは肖にあるものを差し出す。

 

(ハンカチ?スカーフ?)

 

それは蝶の刺繍が施されたハンカチと制服のスカーフだった。

 

「………スカーフは綺麗に洗えましたけど止血に使ったハンカチの血が落ちませんでした。なので似たものを渡します」

「あ。  ありがとうございます。大事に使います」

 

あの時汚れたハンカチの代わりだったようだ。肖はスカーフとハンカチを受け取った。

 

「よ、よかったー。肖大丈夫?」

「うん。お父さんに似ているし」

「え」

 

 

そうしている内に他の関係者が集まった。

 

「んで?今日はなにを見せてくれるって?また恥かく前にやめといたほうがいんじゃねえか?」

「実験の証人になってほしいだけです」

 

滝川の嫌味にも動じることなく、ナルは淡々と言葉を発する。

 

「麻衣、肖、ジョン。昨日サインした紙が破れていないか確認してくれ」

 

指示通りに確認するが、特に破れたりしている様子はない。

 

「ドアのサインは?」

「昨日と同じ」

「変わったことはないよ」

「特に変わったことはないです」

 

3人はしっかり答える。ナルはそのベニヤ板を壊し、中に入ると

 

「……渋谷さん、イスが動いてまっせです」

「そうだな」

 

ジョンの言葉にあっさり答える。特に驚いた様子はない。

「ちょっと、なによソレ!」

 

「おいナルちゃん」

 

慌てて聞くのだが

 

「……ご協力ありがとうございました。僕は本日中に撤退します」

 

実はポルターガイストの半分は人間が犯人である場合がある。半分は悪戯。もう半分は無意識の超能力だ。

 

「本人も無意識のうちにやっていることが多い。なにかの原因でストレスがたまった者が注目してほしい、かまってほしいという無意識の欲求でやる。そういう場合暗示をかけるとその通りのことが起こるんだ」

(そっか。ひいお祖父ちゃんは愚痴を沢山聞いてポルターガイストをやめさせていたんだ)

 

その説明に肖は納得する。そして旧校舎の関係者で注目してほしい人物は

 

「……わ、たし……?」

 

やはり黒田だ。

 

こっちを見てほしい、振り向いてほしいという願望。旧校舎には住む人間は当然いない。

 

「この中でポルターガイストによって注目をあびた者は?該当するのは黒田さんと…麻衣、肖だけになる」

「あたしぃ!?」

「確かにそうなるね」

 

その中で一番あやしいのは黒田だ。霊は居ないとわかったら、権威の失墜、間違いなく黒田は信用をなくす。霊が居てほしい。そんな思いと超能力で出来たのが今回のポルターガイストだった。

 

すると綾子が疑問に思うことを言い始めた。

 

「でもその説からすると彼女のストレスが高まったのは、ナルの地盤沈下説が出たからでしょ?じゃあ、あたしが教室に閉じ込められたのは?彼女が襲われたのは?ビデオが消えていたのは?」

「…説明しようか?」

 

ナルが黒田さんに問うと、彼女は俯いて頷いた。

 

「松崎さんが閉じ込められた件については、これが戸と敷居の間に刺さっていた。

早くに気付いていたんだが、あえて言う必要はないと思っていた」

「釘?…誰かがわざとやったって云うの?誰が…あんたね!?」

「じゃあビデオは?」

「あれは霊障じゃない。故意に消去されたものだ。麻衣が実験室に着いた時には黒田さんがいたらしいから、多分そういうことだろう」

「…ごめんなさい」

 

黒田は小さい声で謝罪する。

 

「黒田さん」

「百目鬼さん」

 

荒療治になったが癖は直っただろう

 

「小指は動く?」

 

黒田は肖に言われた通り小指を動かす

 

「う、動いた。」

「癖が直ったね」

「………そうね」

 

その様子に周りは疑問符を浮かべる。

 

こうしてナルによって、校長には

 

‘旧校舎には戦災の犠牲者を含め、過去に旧校舎で死亡した人々の霊が憑いていた’

‘除霊をしたので工事をして構わないが、これまでの異常事で建物にかなり無理がきている。倒壊の危険性もあるので厳重な注意が必要’

 

と報告することになった。

納得しきれていない人もいたが除霊に関しては全員が協力してやったということにするそうだ。

 

「麻衣、肖、この件については他言無用だぞ」

「分かってるって」

「言わない」

 

すると綾子がナルに言い始めた。ナルが気に入ったようだ。

 

「あんたって結構フェミニストなのね」

「それは、もう」

「ふうん…彼女はいるの?」

「…質問の趣旨を理解いたしかねますが」

「あたし、我慢してあげてもいいわよ、年下でも」

「それは、どうも。お言葉はありがたいのですが、残念です。僕は鏡を見慣れているもので」

 

ナルシスト発言によりこの場に笑い声が響いた。

 

 

調査が終わり、少し時間がたった時だ。旧校舎は崩れ落ちたのだ。生徒たちの間では旧校舎の幽霊の噂が流れ、黒田はすっかり有名人になった。「近くにいる?」という問いには今までの事に反省したのか「今回のせいで見えなくなった」と説明することにしている。

 

ー数日後ー

 

麻衣は元気ない。色々大変だったがなんだかんだで楽しかったので寂しいのだ。

 

「元気ないね麻衣」

「だ、だって」

「そんな麻衣にあることを教えてあげる」

「?」

 

肖は麻衣にあることを教えた。

 

「この世には偶然は無い。あるのは必然だけ。私たちがナル達に出会えたのも必然だったの」

 

「………必然」

「そして私達は彼らと縁が出来た。結ばれた縁は消えない」

 

肖の言葉に思わずゴクリと喉を鳴らす麻衣。すると

 

《1ーF 谷山麻衣さん、百目鬼肖さん至急事務室まで来てください》

 

呼び出しの放送がかかった。

 

「? なんだろ」

「来たんだ」

 

ある人物から電話がかかってきたのだ。

 

「そ、そう!そうです!」

(やっぱりナルだった)

 

麻衣の表情はまさに恋する乙女だ。しかしナルが電話した理由は

 

《ギャラ》

 

ただ麻衣の声が聞きたいじゃなくて事務的な内容だった(汗)。しかし続きがある。なんとバイトのお誘いでもあったんだ。慌ててメモをとった麻衣。そして

 

「やった――――!!肖すごい!!ホントに縁が消えてなかったよ――――――!!」

「よしよし」

 

今度は肖の番だ。

 

「もしもしナル?」

《ああ、聞いていたと思うが、》

「うん。お父さんたちが許可してくれたらね」

《必ず許可をもらえ。》

「わかった。」

 

その後、肖は弓弦も連れていく。留年せずに高校卒業するを条件にバイトの許可をもらったのだった。

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