君と、最高の思い出を……   作:おみのSS部屋

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Op.9(終) 終点

最終日、鳥取から僕らは特急はまかぜに乗って城崎温泉に向かう予定だった。

しかし、強風のため、特急はまかぜは豊岡始発になってしまっていた。

だから、普通列車で向かうしかない。

5時半過ぎに出る列車で向かう予定だったが……

 

「おおお!危ない危ない」

 

朝起きたのは5時15分だった。

疲れからか、起きる時間が遅くなってしまった。

危うく乗り過ごすところだったが何とか用意して、鳥取駅に着いたはいいものの……

 

「え?運休?」

 

「あら……」

 

なんと、この日、山陰本線が始発から11時まで運休とのことだった。

僕は時刻表を広げ、一生懸命考える。

どうすれば早く着けるのか……その経路を懸命に……

そして、考えた末、1つの答えが出た。

 

「マネージャーさん、どうしますか?」

 

「姫路に行こう」

 

「えっ?姫路?」

 

僕が下した決断。それは……

 

「特急スーパーはくと2号で鳥取から一気に姫路に向かって、そこから播但線、山陰本線で城崎温泉に行こう」

 

そのようなルートを選択した。

しかし、このプランだと、普通列車に3本乗らないといけない。

そして、駅員さんに聞いたところ、かにカニはまかぜは走らないとのこと。

しかも特急はまかぜ1号の始発は遅い。

 

そんなことはどうでもいい。

今はとにかく姫路へ向かう。ただそれだけだった。

そしてスーパーはくとは鳥取を時刻通りに発車した。

智頭から智頭急行線に入る。

 

「す、すごい早いですね……」

 

「智頭急行線は高速化されているから飛ばすよ」

 

美晴さんもその速さに驚いていた。

驚くのも無理はない。

このスーパーはくとに使われている車両は気動車。

でも、馬力は電車なんじゃないかと思うくらいすごい。

だから早く走れる。

それに……

 

「このスーパーはくとは制御付き振り子車両って言ってカーブに合わせて車両も傾くから、揺れが少なく、カーブでも早く走れるんだ」

 

「それが、高速化に繋がってるのですね……」

 

美晴さんもちょっと感心していた。

他にも、智頭急行が早い要因の1つとしては、トンネルを多く通しているから、勾配が少ないというのもある。

 

そんなスーパーはくとは智頭急行を飛ばしに飛ばし、上郡へ。

上郡を発車したら姫路はもう目の前。

姫路に到着した。

この時、僕の体にどっと疲れがやってきた。

そして、天気はあいにくの雨だった。

それに、風も強い。

この天気であそこに行くのも……どうかと思ってしまう。

 

「マネージャーさん、どうしますか?」

 

美晴さんが心配そうに僕に尋ねる。

その瞬間、僕のスマホが手から落ちた。

 

「美晴さん、帰ろう」

 

静かに、そう呟いた。

そう呟くと、美晴さんを連れて、姫路駅を出て、みどりの窓口へ。

そこで……

 

「払い戻しします」

 

払い戻したのは、城崎温泉から京都までのグリーン券。

これを、ここで払い戻したということは、今日城崎温泉に行くのを諦めたということ。

こんな天気じゃどうしようもないことと、長時間滞在したい。

時間を気にすることなく、ゆっくりしていたい。

それが故の決断だった。

この決断をした瞬間、正直心の中では辛かった。

美晴さんと一番一緒に行きたい場所。それが、城崎温泉であったから。

 

2人で姫路から大阪に帰る。

その道中では、何も話さなかった。

美晴さんが心配そうに僕を見つめていた。

家に着いて、僕はすぐに寝た。

涙が零れ落ちていた。

それは、美晴さんを城崎温泉に連れて行けなかったことが起因していた。

僕も行きたかった……一緒に……あの景色を見たかった……

僕はそのままそっと美晴さんの誕生日プレゼントが入っていた小さな箱を小物入れに閉まった。

それが、この旅の終着点だった。




皆さんこんにちは。おみです。
この度は「君と、最高の思い出を…… Op.9」を読んでいただきありがとうございます。
このシリーズ最終話、みなさんいかがでしたか?
本当に行きたかった場所なので行けなかったの本当に辛かったです……
またいつか行きたいよぉ……
動画編集してたら今すぐにでも行きたい欲が出てきましたが、学畜で忙しいので結局行くのは夏休みになりそうなんですけどね……
うぅ……はやく夏休みになってくれ……
そのために学畜頑張ってます笑
さて、このシリーズはこれにて完結しました。ありがとうございました。
次回からは本編「最愛のあなたが、いない日々」を順次更新していきますので、そちらも是非読んでくださると嬉しいです。
次回更新は6月12日(土)の予定ですので皆さんお楽しみに!
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