Battle Spirits ~The hero of moon right~   作:クロコッペ

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3core ハチマキ少年との出会い。唸れ! 英雄龍ロード・ドラゴン!《後編》

「こいつは……」

 

バローネは桃から現れた竜にどこか既視感を覚えた。そう、このスピリットは今朝ハジメに返したカードだったのだ。

 

「“英雄”という言葉に違《たが》わない良い面構えだ。ターンエンド」

 

[バローネLife]3

[手札]3

[コア]リザーブ〈1〉フィールド〈4〉トラッシュ〈4〉

[スピリット]【ザニーガン】【ホーク・ブレイカー】

 

【第5ターン】

 

「メインステップ! 【英雄龍ロード・ドラゴン】レベル2に! 更にバーストをセット!」

 

ダン! とハジメはディスプレイに裏側のカードを伏せる。もちろんそれが何なのかにはバローネにはわからない。

 

「またバーストか……それで仕掛けてくるか陽昇ハジメ」

 

ハジメのフィールドには4体のスピリットが、対するバローネのフィールドには【ホーク・ブレイカー】と【ザニーガン】のみという、あまりに白のデッキとしては手薄な守りだ。

 

「膳は急げってね、アタックステップ!!」

 

赤のバーストデッキによる。

 

 

破壊が始まった。

 

「【オードラン】でアタック!」

 

黒い翼をパタパタと羽ばたかせ、【オードラン】が突撃する。【オードラン】のBPは1000。

この程度のBPならば【ホーク・ブレイカー】とLv2の【ザニーガン】、どちらでブロックしても返り討ちにできる。

 

「【ホーク・ブレイカー】でブロックする」

 

幼き竜と強者の風格を持つ鷹。勝敗など聞くまでもない。

上空から一気に降下してきた【ホーク・ブレイカー】はその勢いを殺さず、そのまま【オードラン】目がけて突っ込んできた。

脳ある鷹が一瞬だけ見せる爪が幼き竜を確実に捉え、そのまま何メートルにも渡り、地面に擦りつける。

 

直後にフィールドの中腹あたりで小さな爆発が起こる。その爆炎の中から飛び出し高く飛翔する【ホーク・ブレイカー】。

役割を終えた鷹はそのまま主人であるバローネの元へと戻ってきた。

 

「次の【オードラン】でアタック!」

 

「【ザニーガン】でブロック」

 

一瞬の出来事だった。

 

バローネのフィールドから放たれた蒼白い一対の砲弾は、【オードラン】が動き出す隙も与えずに確実にその身体を貫く。近くで仲間を破壊されたのがよほど堪えたのか、【ワン・ケンゴー】は低く唸り声をあげた。

 

「貴様のスピリット2体はどちらも返り討ちときた。そのアタック、意味はあったのか?」

 

「あったさ、少なくとも勝利への道を開いてくれた!!」

 

ハジメは【ワン・ケンゴー】のカードを傾ける。アタックの掛け声と共に大きく唸りをあげて走り出した【ワン・ケンゴー】。

その瞳は消えてった仲間を弔うためにギラギラと光る。

 

「ライフで受けよう」

 

バローネの前には赤い半透明のバリアが展開され、【ワン・ケンゴー】は角でそれを切り裂く。

赤い破片が宙を舞いながらバローネの胸部に衝撃を伝える。

 

[バローネLife]3→2

[コア]リザーブ〈3→4〉

 

ここまでは単純な数で押すだけの何の変哲もない作戦。次に【英雄龍ロード・ドラゴン】でアタックしたとしてもバローネのライフは1にしかできない。

普通ならば相手のターンに備えてブロッカーを残しとくのが常套手段といった所だ。

下手に総アタックをしかけたら今度は自分の方がライフを0にされる危険性がある。

 

しかし――――――――

 

「【英雄龍ロード・ドラゴン】でアタック!」

 

少年は何も臆することなくアタックしてきた。まるで――――――――勝利を確信しているかの様に。

 

「ふっ、面白い……ライフで受けよう」

 

翼を大きくはためかせ、上空からバローネに向けて英雄龍は炎を吐く。2.3個連続して放たれた火球がバローネのライフを削り取った。

 

[バローネLife]2→1

[コア]リザーブ〈4→5〉

 

これでハジメのスピリットのアタック全ては終了した。もうバローネのライフを狙うものはいない。今頃英雄龍も膝をついて疲労している

 

 

 

 

はずだった《・・・・・》。

 

「なっ……」

 

顔をあげたバローネの目に映ったのは。

 

膝をつくことなく。

 

その場に二本の足で地を踏み締めて立っている。

 

真っ赤な英雄(ロードドラゴン)だった。

 

「【英雄龍ロード・ドラゴン】の効果発動! 自分のバーストを破棄することでこのスピリットは回復する!」

 

【英雄龍ロード・ドラゴン】6/3

 

〈1〉Lv1BP4000

 

〈3〉Lv2BP6000

 

〈5〉Lv3BP9000

 

[バースト:自分のライフ減少時]

 

このスピリットカードを召喚する。

 

Lv2・Lv3『このスピリットのバトル時』

 

バトル終了時、自分のフィールドにセットされてあるバースト1枚を破棄することで、このスピリットは回復する。

 

Lv2・Lv3『自分のバースト発動後』

 

発動したカードがコスト5以下の時、BP9000以下の相手のスピリット一体を破壊する。

 

 

ハジメが破棄したのは【覇王爆炎撃】というバースト。

 

英雄龍は懐に納めた鞘から静かに刀を抜く。砥ぎ澄まされた刃がバローネに向けられた。

 

「いけっ! ロードドラゴン!!」

 

英雄龍はバローネとの距離を一気に縮めた。ブロック出来るスピリットがいない時点でバローネがとれる行動は一つ。

 

振りかざされる日本刀の前でバローネは俯いて呟いた。

 

「ライフで……受ける」

 

バローネの残りライフは1なのでこの英雄龍のアタックをライフで受ければ全てが終わる。

向こう側でハジメが『よっしゃ!』とガッツポーズをするのが見えた。恐らくこのコンボで多くの対戦相手を倒してきたのだろう。

 

だが、バローネはライフで受けるしかなくてもまだ負けたつもりはなかった。

 

ギン! とバローネは笑みを浮かべる。バローネがバトル中に笑うというのはテンション最大にがあがった時。

今まで『強さの深み』にはまっていたバローネをバトル中に笑わせることが出来たものなどそうはいない。

逆を言えばバローネを笑わせることが出来た者は、腕を認められたことにもなる。

 

「――――――――が、|その前にフラッシュタイミングでマジックを使う《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》」

 

「なんだって!?」

 

英雄龍が日本刀を振り払おうとした瞬間。辺りが急に霧に包まれる。

そして気がつくと英雄龍の一閃は完全に空を切っていた。

 

いや、|正確には霧の映しだされた虚像を英雄龍は切っていたのである《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。

 

バローネが使っていたのは【ミストカーテン】。スピリット一体を指定し、そのスピリットのアタックではライフを減らす事を不可能にさせてしまう守備用のマジックだ。

 

「だぁ~~~~! これで決まると思ったのにぃ~~!」

 

悔しがって地団駄踏むハジメだが、正真正銘これで本当に全てのスピリットのアタックが終了してしまったので、もうターンエンドするしかなかった。

 

[ハジメLife]3

[手札]3

[コア]リザーブ〈2〉フィールド〈4〉トラッシュ〈0〉

[スピリット]【【ワン・ケンゴー】【英雄龍ロード・ドラゴン】

 

 

【第6ターン】

 

なんとか最後のライフを守りきったバローネだが、先程のターンで【ミストカーテン】を失ったのはそれなりに痛手だった。

せめて使うのだったら最初の英雄龍のアタックの時に使えば、もう一つのライフを失わなくて済んだのだ。

 

「まぁいい。ドローステップ」

 

引いたカードを見ると、バローネは少しだけ口元を歪め笑う。

 

――――役者は揃った。

 

「メインステップ、【ザニーガン】をレベル1にダウン。【ザニーガン】をもう一体。続けて【ガドファント】を召喚する」

 

[コア]リザーブ〈6→8→6〉フィールド〈4→2→4〉トラッシュ〈0〉

[手札]3→1

 

残された最後の一枚。バローネはそれを天高く突き上げる。

 

「蒼白なる月よ………闇を照らす牙となれ我が友、ストライク・ジークヴルムの声を聞け」

 

突如としてフィールド全体が暗き闇に包まれる、それはまるで深夜のように暗く、冷たい空間。そんな闇を照らす一筋の光が空から現れた。

その者の白さは一点の汚れも許さない誇り高き純白の白さ。身体を震わせ、響き渡る咆哮。!

震撼する大気のなか、現れたのは月の化身。

 

そう。

 

【月光龍ストライク・ジークヴルム】だ。

 

「うおおぉーーーー!! すっげえ! めっちゃかっけえ!! さすがはXレア!!」

 

「その余裕、いつまで持ち続けられるだろうな。 【ホーク・ブレイカー】、【月光龍ストライク・ジークヴルム】に合体≪ブレイヴ≫!」

 

【ホーク・ブレイカー】は頭部を収納すると、そのまま月光龍に合体した。背中に取り付けてある機械の翼と【ホーク・ブレイカー】の翼が交じり合い計四枚の翼を形成する。

月光龍は力を増し、いっそう力強く咆哮する。

 

「覚悟はいいか? 合体アタック!!」

 

月光龍は足元の地面を力強く蹴り上げると4枚の翼で飛翔する。

時間にしておよそ2秒。気が付けば月光龍は疲労状態の英雄龍とワンケンゴ―を押しのけ、ハジメの元にたどり着いていた。

そんな月光龍に後れを取ることなく、ハジメは一枚のカードを突き立てた。

 

「フラッシュタイミング!! マジック! 【絶甲氷盾】を使用。不足コストはロードドラゴンより確保! よってレベルは1にダウン」

 

ハジメのライフは容赦なく月光龍に削り取られる。

 

ハジメのライフは残り1となり【ガドファント】ででもアタックすればライフはゼロだ。しかし前方に見えるのはハジメごと包み込む巨大な氷の盾。

これではアタックしようがない。

 

「この場面で防御用マジックか、随分と引きがいいのだな」

 

「へへ、バローネさんこそ」

 

手札が0でのこの状況、ここで仕留められなかったのは返しのターンでの敗北の可能性を強める。

だがバローネは無限ブロッカーとなる月光龍を召喚したことでいくらか安心していた。

良く言えばキースピリットに対する信頼。悪く言えばキースピリットに対する過信と依存だ。

 

 

[バローネLife]1

[手札]0

[コア]リザーブ〈0〉フィールド〈7〉トラッシュ〈3〉

[スピリット]【ザニーガン】【ザニーガン】【月光龍+ホーク・ブレイカー】【ガドファント】

 

【第7ターン】

 

「ドローステップ!」

 

ハジメは4枚の手札をじっくりと眺める。

 

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