Battle Spirits ~The hero of moon right~   作:クロコッペ

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6core 邂逅! 世界チャンピオンvs月光のバローネ

 

「いいか、そこでのアタックは慎重に考えろ」

 

バトルスピリッツ専門店。バローネがここで働き始めて今日で半月が過ぎようとしていた。

本日は日曜、つまりは、SB《ショップバトル》の開催日だ。

 

「わかりました! 【ピグミゲーター】、【ファイアファンサウル】、【タッチベット・モンキ】でアタック!!」

 

「慎重に考えろ、と言ったはずだぞ? それにバトルスピリッツに同時アタックなんて存在しない、一体ずつアタックだ」

 

バローネは現在バトル真っ最中の少年をギラリと睨みつける。

 

「す、すいません……じゃあ【ピグミゲーター】でアタックします……」

 

少年は少し声を低めてアタックを言い直す。

もしこれが本当の試合ならば、試合中の口出しとして注意されるのはバローネの方だ。

しかしこれは実際の試合ではない、SBと同時に行われる『バトスピ覇王《ヒーロー》トレーナー』という、バトスピ初心者に対してヒーロートレーナーというスタッフがレクチャーするという、要はバトスピを広めるためのイベントのようなもの。

そしてバローネがヒーロートレーナーというわけだ。

 

「ちょっとバローネ、そんなに怖い顔で教えなくてもいいでしょ、ほーらスマイルスマイル」

 

向こうのSBの会場から戻ってきたミカがバローネに注意する。

 

「ふん、こうか?」

 

ギン! とバローネは目を見開き、口の端を釣り上げて笑ってみせた。それはお世辞にも爽やかスマイルといったものではなく、どちらかと言うと凄みを聞かせた、脅しのような笑みだ。

 

「ちょ!! 怖い、怖いって!! なんでそんな笑い顔しかできないの!?」

 

「まったく、人間というのは一々細かいな、同じようなものだろ」

 

 

そんなこんなでミカはSBを、バローネはヒーロートレーナーの仕事を終えた。

時刻は午後の1時を回ろうとしている。

 

「ふーー、お疲れ様バローネ。休憩にしない?」

 

「そうだな、その前に……」

 

バローネは右の手の中で百円玉をチャリチャリと鳴らし、バトスピタワーへと向かう。

回すのはもちろん星座編第1弾と第3弾。

 

「ホント好きねー、というか月光龍と月光神龍は、もう3枚集まったんだから、他の弾でいいんじゃない?」

 

「いや……覇王編とやらに俺の求めるカードはそうないのでな」

 

まさか『我が友』とやらを無限収集するんじゃないのだろうな、そんなことを考えながらミカはあることに気づく。

 

「あら、今回は星座編4弾も回すのね」

 

いつもは星座編1弾と3弾を1回ずつ回すだけなのだが今回は【光龍騎神サジット・アポロドラゴン】が映っている、4弾も一回だけ回していた。

 

「ただの気まぐれだ……」

 

そう言いながら、バローネは早速カードを確認する。

 

一枚目、【アナグマコスケ】

 

二枚目【ヒクイック】

 

三枚目【スネイクスレイヴ】

 

そして四枚目……

 

「ふふ、バローネ。あなたってホント強運の持ち主ね」

 

最後のカードは【光龍騎神サジット・アポロドラゴン】だった。

 

手の中で太陽の光と同じくらいに光り輝くそのカード。バローネにとって忘れもしないライバルが使っていたカードだ。

このカードとのめぐり合わせは、まるでバローネに何かを告げているかのようだった。

 

「……」

 

「どうしたの固まっちゃって、もしかしてあまりの嬉しさに感動してたりして!?」

 

「なんでもない……昼にしよう」

 

そういってカウンターの奥へと向かおうとした時

 

「ミカたーーーん!! お仕事頑張ってる!? 遊びに来ちゃったーー!!」

 

大声とともに入り口から現れた男。ファッションはひと昔前のスターのような格好で、グラサンをかけ、おまけに頭と比率のあってないアフロ(おそらくヅラだろう)をかぶってる。

 

「確かにここの治安は警察というのが守ってるのだろ? 番号は110で良かったか?」

 

「ええ、そうよ。暴れるといけないからさっさと呼んで頂戴」

 

「―――って!! なにサラリと人を通報しようとしてんの!! 俺だよミカたん!! アフローヌだよ!」

 

「ふふふ、冗談よ アラ……ゴフンゴフン……アフローヌ」

 

バローネは二人が顔見知りなのを確認して携帯を置いた。どうやらそれなりの関係らしいので、ここはひとまず二人だけで話させておこう。

 

「それで今日は何のようで来たのかしら」

 

「だから言ったじゃん、遊びに来た、って」

 

「ふうん、今日はSBの日だったんだからどうせなら出ればよかったのに」

 

「ぶっちゃけた話をすると、正直SBに出ても俺をおっ、と言わせてくれるプレイヤーはいないからねーー不完全燃焼ってやつかな?」

 

そこでバローネの眉がピクリと動いた。

この男は何か自分と似たところがある。

強さの極みに達し、自分を負かすくらいの強いプレイヤーを求め彷徨い続けていたあの時の自分に。

 

「ふうん、じゃあバローネと戦ってみれば? おっ、とどころか、ギャフンと言わされるかもしれないわよ」

 

提案したのはミカだった。

まるでバローネの思いを読み取ったかのようにミカはバローネの方を向いてウインクをする。

 

「バローネって君かい? 実はさっき見た時から少し気になってたんだよね」

 

「その言葉、そのまま貴様に返そう」

 

バローネは寄りかかっていた壁から離れ、アフローヌの方へと近づく。

 

「俺の名は月光のバローネ、呼び捨てで構わない」

 

「君になら俺の正体をバラしてもいいかな……あ、ちびっこ達には黙っておいてくれよ」

 

アフローヌは神業のごとく瞬時に服装を変え、ヅラを取り、サングラスを外した。

そこに現れたのは―――――

 

「俺の名前は薬師寺アラタだ、よろしくなバローネ」

 

有名人といっても過言ではない、バトスピの世界チャンピオン。

バローネもちょくちょくテレビでは見かけたことがあった。

 

「こんなところでバトルスピリッツの頂点に会えるとはな……光栄なことだ」

 

「ははっ、照れるな。んじゃそろそろ始めようか」

 

バローネとアフローヌ改めアラタは巨大モニターの前に立つ。

 

「さて、ようやくバーストに慣れてきたバローネがどこまでアラタについていけるか楽しみね」

 

ミカがすぐ近くの椅子に腰を掛けて、大きく手を挙げる。

 

「二人共準備はいい? それじゃ、いつものコールお願いね!」

 

まかせろ、とバローネ。

 

おうよ! とアラタ。

 

二人は数秒間お互いの顔を見つめ合った。

それは、改めて目の前に立つ男が、数々のバトルをくぐり抜けてきた猛者であることを確認しているのだろう。

 

「ゲートオープン―――」

 

大きく息を吸い、空気とともに声を送り出す。

そして二人は4文字の言葉を強く、思いっきり強く言い放った。

 

 

「界放ッ!!」

 

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