【PUIPUI】モルカーのいる日常【PUIPUI】 作:赤棘アキラ
GW中にタイヤ交換しながら、「モルカーだったらタイヤ交換しなくていいのかなあ」と考えていた。
そして多分タイヤメーカーはホイールメーカーになっている。ダンロップとかブリジストンとか。
「PUI」「PUIPUI」
顔馴染みとすれ違い、モルカー同士があいさつを交わす。
今走っているのは釜無川牧草地帯。
通勤路はしばらく、モルカーが「道草」を食わないよう作られた高い柵が続くが、それよりも太陽は高く、アスファルトと道行くモルカーたちを照らしていた。
この柵の先に見える牧草は改良されたもの。
1枚1枚の葉の長さは2メートルから3メートルになるが、ほどよく繊維質かつ柔らかくモルカーが食べやすく、さらにコスパにも定評のある、「梨北《りほく》シアワセアオバ」というイタリアンライグラスだ。
今朝も飼い主は「この子」に梨北シアワセアオバと数種類の野菜を食べさせていた。
ちなみに「この子」──モルカーの名は、「タマネギ」である。
確かに毛は全体的に皮つきのタマネギみたいな色をしているが──モルモット同様、モルカーに食べさせてはならない食物の名前だ。
「タマネギー、仕事してくるねー」
「PUI」
釜無川牧草地帯を抜け、平日朝夕は混雑する国道20号をのんびり走って、飼い主の職場に着いたタマネギ。
植えられた針葉樹の木陰で、モルカーたちはそれぞれ飼い主が戻ってくるのを待つ。
「PUIPUI」「PUI」「PUI--」
もちろん従業員用駐車場に停まるモルカーたちはみな知り合いだ。
今朝のごはんの内容や通勤時に起きたできごと、昨夜観た番組の感想などを話したり、「福利厚生」の一環で置いてあるモルカー用のボールやトンネルで遊んだりしている。
そしてのどが渇いたら水飲み場へ。トイレはモルカー専用お手洗いへ。
この職場は従業員駐車場の設備が充実していた。
飼い主が戻ってくるまでに帰ってくればいいので、駐車場から「外出」するモルカーもいる。
特に国道20号沿いはモルカースタンドやディーラー、モルカー用品店が人間用施設に負けないくらい充実しているので、自分の足でごはんやケア用品などを買いにいくことも可能なのだった。
なお、お支払いは「PUIpay《プイペイ》」だ。
モルカーの右耳付近、窓にバーコードが内側から貼られていて、それを読み込むと決済完了。
たいていのモルカーは、飼い主からおこづかいとしてチャージされているPUIpayを、残金とにらめっこしながら使っている。
──飼い主が裕福だとPUIpayのオートチャージ機能がオンになっていたり、たとえば無人運転が役立つ仕事を生業としているモルカーたちは、もらった給料をPUIpayにしたりしている。
そんなわけでタマネギも、今日はサングラスを買おうと、駐車場から「外出」しようとしていた。PUIpayには余裕がある。
なぜサングラスか、って?
飼い主と一緒に観た
そんなサングラスの話で盛り上がったタマネギと、同じ駐車場仲間のモルカー「ニラタマ」は、サングラスを買いに外出することにしたのだった。
ニラタマはモルカー内でそのファッションセンスに一目おかれている。長い毛を黄と緑のヘアアクセサリーでカッコよくまとめているところ、とか。
だからタマネギにピッタリのサングラスをコーディネートしてくれるに違いないと、ニラタマに話を振ったらしかった。
しかし飼い主たちよ……なぜモルカーにタマネギやニラタマと名づけるんだ……?
職場から国道20号を走ること十数分。
タマネギはニラタマに連れられて、「モルハット甲府バイパス店」にやってきた。
このお店の特筆すべき点は駐車場がないところである。
その代わりに、モルカーも店内に入れる。
なのでモルカーでも商品を実際に見て、購入までできてしまうのだ。
常連客のニラタマは迷うことなく「外部装飾」コーナーにたどり着いた。
しかし。
「──PUI?」
後ろを振り向くと、連れてきたはずのタマネギがいない。
「PUI? PUI? ──PUPU!?」
「PUI--------!!!!!」
元来た通路を引き返すと……いた。
タマネギは商品棚と壁の間に挟まれ、動けなくなっていた。
うっかり搬入用の狭い通路に入ってしまったらしい。
「PU----I! PU----I! PU----I!」
すぽっ。
「「PUkyuu!」」
ニラタマがタマネギを後ろから押し出そうと格闘すること少々で脱出成功。
気を取り直して「外部装飾」コーナーに向かう。
「PUI?」「PUIPUI」
「PUIPUI!」「PUI」
サングラスはもちろん、あーでもないこーでもないと、関係のない帽子などを試しに着けてみるタマネギとニラタマのファッションショー。
「PUI!」
そしてタマネギは購入するサングラスを見つけたのだった。
しかしタマネギには、実はもう1つほしいものがあった。
「PUPU----I!」
ニラタマの声を聞き、店員がやってきた。
「いらっしゃいませ。ご用件はなんですか?」
タマネギたちは身振り手振りでほしいものを伝える。
「かしこまりました。お持ちいたします」
さすがモルハット店員。わかったようだった。
タマネギとニラタマが駐車場に戻ってしばらくすると、タマネギたちの飼い主たちが仕事を終えて帰ってきた。
「サングラス買ったんだー。おしゃれだねー」
「PUIPUI!」
ニラタマも「PUI!」と、タマネギと飼い主のようすを見て得意げだ。
「PUI」
「ん? なになに?」
そしてタマネギは──きれいに包装された包みを飼い主に渡す。
「うわー! ありがとー!」
プレゼントされたサングラスは、タマネギとお揃いだった。
【タマネギ】
テレビッ子。
好きな食べ物は梨北シアワセアオバ(イタリアンライグラス)。
【ニラタマ】
長い毛にこだわりを持ち、飼い主に毎朝セットしてもらうのが日課。「カニタマ」という妹がいる。
好きな食べ物はトウモロコシ(のひげと皮)。
※2022/10/13追記。
モルカーDSのグッズに「価格:ニンジン1本」という単位が登場しましたが、この物語は「車社会山梨がモルカー社会山梨になった世界(と世界中)」が舞台なので、PUIPayのままいきます。
ぷい?
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ぷい!
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ぷいぷい!
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ぷい~。
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ぷ~い……。