【PUIPUI】モルカーのいる日常【PUIPUI】   作:赤棘アキラ

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 雪の日の描写はあったけど雨の日の描写はなかったので。






雨でもしゅっきん

 

 

 今日の予報は午前中、雨。

 そんな日は、色とりどりのレインコート──モルカーに合わせて窓と顔の部分が透明だ──を着たモルカーが走る。

 レインコートの下からはちらりと、4足のレインブーツのような防水レッグカバーも見える。

 

 このようなモルカーたちのグッズ開発はモルカー第一で、モルカーたちが少しでも快適な雨の日を送れるようにと、日々改良を重ねられているのだ。

 ……本当は雨の日にはモルカー通勤しなくて済む社会作りのほうが、モルカーにもヒトにもいいのかもしれないが。テレワーク普及率はまだ低い。

 

 

 

「PUPUPUPUPUPU……PUkyu」

 

 紫色の雨合羽を着たモルカーの「ムー」は、雨のなかを飼い主たちを乗せて、まずは保育園に向かっているところだ。

 

 ムーはあまり雨が好きじゃない。

 ムシムシするし、レインコートに当たる雨音はうるさく、そして視界が悪い。

 先ほども前のモルカーにうっかりぶつかった。モルカーじゃなかったら大事故だった。

 

 

 

「ムーちゃーん! きをつけてねー!」

「PUI」

 

 保育園に寄ったあとは、いつもの通勤路だ。

 

 しかしほかのモルカーたちも雨で視界が悪いからか、みんな運転が慎重で、車の流れが全体的にのんびりしている。職場に着くのがギリギリになるかもしれない。

 

「混んでいるね」と、飼い主がムーの車内でつぶやく。

 

 片側二車線の道路の信号待ち。

 ムーは隣の追い越し車線に同じ駐車場仲間の「ニラタマ」と、その妹で職場は違う「カニタマ」が並んでいるのを見つけた。

 

 2台のレインコートは黄色。

 ニラタマの窓の下には緑のラメいりの筆記体で“Niratama”と書かれていて、カニタマの窓の下には赤のラメいりの筆記体で“Kanitama”と書かれている。オーダーメイドだろうか。

 

「PUIPUI」「PUIPUI」

「PUIPUI」

「PUI」「PUI」

「PUI」

 

 ちょっとやりとりしていたら信号が変わり、車線で流れが若干違うために2台と別れる。

 

「PUkyu」

 

 ──そしてまた前のモルカーにぶつかった。

 

「PUI? ...PUI!」

「PUIPUI」

 

 ぶつかったモルカーもムーの駐車場仲間だった。

 海苔のような色のレインコートを身につけた寿司モルカー(茶碗蒸し)だ。

 ちなみに茶碗蒸しには中に雨が入らないように蓋がしてある。

 

「PUPUPUPUPUPUPU...」

 

 会話もそこそこに再び動き出すモルカーたち。

 

 

 

 のんびりとした渋滞と付き合ってしばらく、ムーたちは目的地の駐車場にたどり着いた。

 

「ムーちゃん! 行ってくるね!」

「PUI」

 

 運転手と別れ、それからムーは辺りを見渡す。

 

 先に着いていた「アワワ」は運転手が張ってくれた抹茶色の大きなタープの下で、チモシーをもぐもぐしていた。もぐもぐするために、タープと同じ抹茶色のレインコートの顔部分はめくってある。

 

「PUIPUI!」

 

 雨の中でも元気なモルカーがいた。

 萌葱色のレインコートを着た「タマネギ」だ。

 昨日観たテレビ番組のことを語りたいらしかった。

 

 

 

 そして、しばらく止みそうにない雨の途中で。

 

 ピカッ。

 

 ふと、空が光った。

 

 ゴロゴロゴロゴロ!!!!!

 

 ──雷だ!!!!!

 

「「「PUkyuu!!!!!」」」

 

 アワワが眠っていないことが幸いし、タープに集まる駐車場のモルカーたち!!!!!

 しかしタープのスペースには限りがあるぞ!!!!!

 

 ピカッ。

 ──ゴロゴロゴロゴロ!!!!!

 

「「「PURUPURUPURUPURUPURUPURUPURUPURU...!!!!!」」」

 

 ピカッ。

 ──ゴロゴロゴロゴロ!!!!!

 

「「「PURUPURUPURUPURUPURUPURUPURUPURU...!!!!!」」」

 

 身を寄せあい、雷が鳴るたびにプルプルと震えるムーたちモルカー。

 

「大丈夫かアワワ!?」

「PUIPUI」

 

「ムーちゃん?」

「PUI...」

 

 こんなときは心配になった運転手が仕事を放り投げて、代わる代わるモルカーのようすを見に来るのだ。

 

 ピカッ。

 ──ゴロゴロゴロゴロ!!!!!

 

「タマネギー、雷怖いねー」

「PUIPUI...」

 

「おーい! 茶碗蒸しー!」

「...PUI」

 

「ニラタマ……大丈夫?」

「PUPUI」

 

 

 

 そうこうしているうちに、雷は止んで。

 

 そして、雨も止んだ、お昼どき。

 

 

 

 空にきれいな虹がかかったのを、水溜まりが映した。

 

 

 

 






【ムー(ムーちゃん)】
 注意力がないモルカー。
 別に雨が降っていなくても衝突事故を起こす。ウインカーやテールランプがないからね仕方ないね。
 今回描写機会がなかったが、身体の色は赤紫。
 好きな食べ物はサニーレタス。

【ニラタマとカニタマ】
 こだわりの長い毛がレインコートのなかでぺたんとするので雨は好きじゃない。
 カニタマも好きな食べ物はトウモロコシ(のひげと皮)。

【寿司モルカー(茶碗蒸し)】
 今まで描写していなかっただけで駐車場モルカーズ。
 米っぽい毛並みだから「寿司といえば回転寿司! 回転寿司といえば茶碗蒸しだろ!」という思想の持ち主だった飼い主により茶碗蒸しを乗せられている。毛並み生かせていない。
 なお、駐車中はたまに茶碗蒸しを地面に下ろしている「寿司モルカー(シャリ)」状態。あと好きな食べ物はミツバ。

【アワワ】
 寝ているときに雨が一粒でも当たると自動攻撃で暴れるので、天気予報次第で運転手は駐車場にタープを張っています。

【タマネギ】
 雨はレインコートを着ていれば平気だけれど、雷はダメ。


ぷい?

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  • ぷいぷい!
  • ぷい~。
  • ぷ~い……。
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