BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は題名通りの血生臭い大衆芝居となります。楽しんでいただけると幸いです。
※2021/05/21:ベイラをカサンドラに修正しました
『まあまあ』
「まあまあじゃないが。普通に噛まれるの痛いんだぞ」
『まあまあまあ』
バグビッチから逃げながら「大人しく噛まれてみて♡(意訳)」とのたまうエヴリンと言い合いするが、エヴリンは宥めてくるだけで理由を話そうとしない。思いついた「いいこと」とやらに絶対の自信があるらしい。
「ディナーまで待てそうにないわ」
「それぐらい我慢しろ、お嬢様だろお前!」
「そうよ、いいわ!」
そうこうしているうちに逃げ込んだ部屋が行き止まりでバグビッチに追い詰められ、俺の周りを飛び交う蟲の大群から少女の姿を取ったバグビッチは俺の首に噛み付いてきた。蟲女なのか吸血鬼なのかどっちかにしろ!とにかく押しのけて廊下に逃げ延びる。
「お母様はああ言ってたけど、美味しいじゃない」
「これでいいのか!?」
「あら。私はまだまだ満足してないわよ。本気?」
問いかけてみるも、エヴリンから返答はない。どういうことだ、と振り向くと、バグビッチの向こうに床に二本の足で立って佇むエヴリンがいた。
「なっ!?」
呼びかけられ、ビクッと反応するカサンドラと呼ばれたバグビッチ。そうか、こいつはカサンドラ・ドミトレスクか。カサンドラは振り返り、そこにいたエヴリンを見てしまったのか、分かりやすく狼狽えた。どうやらドミトレスク夫人と同じで俺の血を摂取したことでエヴリンを認識できるようになったらしい。
「この男以外に侵入者!?…いえ、いえ、今なんて言った?」
壁に歩いていき姿を消して、カサンドラの背後、つまり俺の目の前に出てくるエヴリン。視線が合うと、ウィンクしてきた。そうか、これがお前の作戦か。
「私の姉妹はベイラとダニエラだけよ!お、おまえなんか妹じゃない!一体なんなのよ!」
ハルパーを振りかぶって斬りかかるカサンドラだったが、当たり前の様にエヴリンには当たらず、それどころか床に沈み込んでカサンドラの真横の壁から顔を出して笑い声を上げるエヴリン。タネが分かっていても恐怖に駆られる演出だ。そしてカサンドラの後ろに移動し、肩に手を回して顔と顔の距離を零距離まで詰めて怪しい笑みを浮かべるエヴリン。一瞬、こっちに向けて「早く行って」と口パクで言ってる様に見えたので発狂してその場でハルパーを振り回すカサンドラを無視して先に進むことにした。
「アァアアアアアアアアアアア!?」
背中から断末魔が聞こえると共に、思い出す。アイツは最恐最悪の怪物だったことを。
行き止まりだと思っていたさっきの部屋の奥に板で塞がれた横穴を見つけ、破壊して進むと地下への入り口を見つけたので飛び降りる。梯子とかは無いようで普通に飛び降りることになったが痛いですんだ。ここは地下のようだ。
「これは…侍女の日記か?」
そこにあった手記を見るに、1958年の頃からあのドミトレスク夫人と三姉妹は存在したようで、この城の使用人は村から集められた女だけで、些細なことでも夫人や三姉妹の機嫌を損ねると、ナイフで顔を切られたり地下に連れて行かれるらしい。そして興味深いことが書いてあった。
「暑いから窓を開けるとお嬢様たちが三人揃って「すぐに閉じろ!」と叫んだ、か」
なんだ?それがあの蟲女たちの弱点なのか?蟲、窓……暑い……冷気か?今回はバーナーがないから蟲相手は勝ち目がないと思っていたが、窓がある部屋なら勝機はあるかもな。
『イーサーン』
「うん?エヴリンか」
『後ろ後ろ』
どこからか聞き慣れた声が聞こえてきたので、手記を置いて辺りを見渡すと、後ろから声が聞こえたので振り向くと、小さな拳が眼前に迫ってきた。
『―――お前も家族だ。なーんて……ごめんなさいごめんなさい!私の顔を引っ掻きまわすのやめてー!』
拳が俺の顔を擦り抜けたが、イラッと来たので無言でその笑っている顔に手を突っ込んでぐりぐり回すと赤らめた顔で泣きながら謝ってきた。なんかいけないことをしているようでゾクッと来たぞ。
「なんのつもりだ」
『イーサンがジャックにやられた場所と似てるなあ、と思って』
「心臓が止まるかと思ったぞ」
『あ、カサンドラは発狂してたから上に放置して来たよ』
「久々に見たがえげつないな、お前」
『今じゃ怨霊みたいなものだから本職だもんね!』
ドヤ顔するエヴリン。どうやら脅かしたことですっきりした様だ。奥は行き止まりだったので、しょうがなく横穴を這って進むと、よりにもよってドミトレスク夫人の巨体が見える酒蔵の様な場所に出てしまった。思わず穴の中で無言で身を顰めると、壁から顔を出したらしいエヴリンが反応してしまった。
『クソデカオバサン…あ、ヤバッ』
「誰?誰かいるの?」
慌てて顔を壁に引っ込めるエヴリン。ドミトレスク夫人は声に反応して辺りを見渡すが、誰もいないことを確認すると肩を竦めてワインボトルを片手に、体がデカいからか小さな扉からわざわざ屈んで通り抜けて酒蔵を後にしたのを確認。穴から這い出て、一緒に壁から出てきたエヴリンを睨みつける。
「お前なあ…もう声も聞こえてお前の姿が見えることを忘れたのか?」
『ごめんなさいごめんなさい、顔だけは許して』
「まったく…」
ドミトレスク夫人が出て行った扉は鍵を閉められていることを確認。地下道になってる奥に進むと、戦いの間というらしい場所に出る。壁一面に戦う戦士たちが彫られていて不気味だ。壁に描かれている字によると「灯りを」とのことだったので、真ん中に垂れ下がる篝火を動かして燭台に灯してみると、奥の壁がスライドして通路が現れた。
「…ベイカー家の影絵ギミックに比べるとまだマシな仕掛けだな」
『そうだねー』
奥は真っ暗で明かりを付けると牢屋の様であり、いたるところに拘束具や拷問器具や薬品があった。しかも赤黒い血がこびりついている。地下に連れてこられた侍女たちがここで悲惨な目に遭ったのは間違いなさそうだ。すると文書を見つけたので手に取ってみると、三年前にも見た様な事が書かれていた。
「なになに?適合したのが4人で廃棄されたのが12人…?……ベイカー家にも「転化」やら「破棄」やら書かれた名前の一覧があったよな…?」
『そんなのあったんだ。転化って私の家族になった人たちのことかな』
「まさか、あのドミトレスク夫人も家族ごっこでもしてるっていうのか?」
『言いにくいからクソデカオバサンでよくない?』
「雰囲気が壊れるからやめような」
先に進むと見つけた文書には、さっきの文書で適合と書かれていた四人の名前が並んでいた。
「アリーナ、食欲旺盛。ミハエラ、食欲旺盛。ロイス、食欲旺盛。イングリド、不安定。時折意識覚醒…?家族じゃなくてラクーンシティのゾンビみたいな化け物でも作ってたってのか?」
『ここにいたりして』
「…ありえそうだな」
『え、マジ?私から離れないでね、イーサン!』
「お前攻撃当たらないんだからいい加減一人に慣れなさい」
親子みたいな会話をしながら先を急ぐ。と、その瞬間唸り声が聞こえてきて。
『イーサン、そこ!』
「ちい!」
エヴリンの指差した方向の暗闇にハンドガンの弾丸を叩き込む。頭部が砕けて倒れ伏したのは、皮と骨だけのミイラの様な身をローブに包んだ怪物。手には斧が握られている。ライカンとはまた違うのか!?さらに一匹だけじゃ無いようで、剣やら斧を握った奴らが奥から次々と現れたまらず逃げる。
「なんなんだ、こいつらは!」
『やっぱり私の友達の方がかわいいなあ』
「どっちもどっちだ、クソッたれ!」
ハンドガンで牽制しながら地下牢を逃げ回る。あれが侍女たちの末路か。だとすると……狂い果てたベイカー家以上にクソッたれな奴だってことは間違いなさそうだな、クソデカオバサンもといオルチーナ・ドミトレスク!
イーサンの血を摂取するともれなく本気出したエヴリンにより恐怖を味わうことになる。攻めるのは得意でも攻められると弱くなるってあるよね。
ホラー演出は他にも書いているバイオ作品「Fate/Grand Order【The arms dealer】」のエヴリンのホラー演出をそのまま採用しました。これにも可愛いエヴリン出るからよければ見てね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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