BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はブライドデッドとの死闘。楽しんでいただけると幸いです。
「ジョー!」
馬乗りにされ、無気力のままケーキナイフチェーンソーで殺されようとしているジョーに駆け寄ろうとするが間に合わない。
「…っ」
いや、間に合わない、は嘘だった。ジョーの命が奪われる前に助けるものを俺は手にしていた。だが俺の実力じゃ振り下ろされるケーキナイフチェーンソーに当てることは叶わず。止めるには動いてない箇所を、それも衝撃で狙いがずれる部位を狙うしかない。つまりは。
『イーサン!ジョーが、死んじゃう!』
「くそっ…!叔父なんだろ、ジョー!お前が諦めるな!」
咄嗟に手にしたハンドガンを構えて引き金を引いて、
『しっかりしてイーサン!大丈夫、ゾイは死んでないよ!』
「ああ、あいつの再生力は知ってる…だけど、だけど……」
≪「やられた!今のは効いてるよなあ、ゾイ?!」≫
「アァアアアアアア!?」
「ゾイ!?しっかりしろ!」
ジュクジュクと嫌な音を立てて再生されながら不気味な動きで操り人形の如く立ち上がり、苦悶の咆哮を上げるブライドデッドの両肩を掴んで呼びかけるジョー。しかし右腕のブーケを胸元に突きつけられ、そこから爆発したかのように高濃度の菌を放出。その勢いに吹き飛ばされたジョーは宙を舞い、本館の二階の窓に激突してガラスを割りながらその姿が消えて行った。
「アァアアアアアアアッ!殺しテッ!お願いダからッ、私ヲ殺しテよォオオオッ!」
ジョーの姿が視界から消えたせいか、錯乱して「殺して」と懇願しながらケーキナイフチェーンソーを振り回しながら突撃してくるゾイ。足場が悪い上にモールデッドが座っていてなにされるかわからない長椅子のエリアは避けて迂回しながら逃げ回る。
≪「どうしたイーサン?フューマーにやったみたいに首をもいで沼に捨てろよ!そしたらブライドデッドも死んでミアに会えるかもだぜ?」≫
『できるかあ!?微妙に顔を残して、それやれってのはひどすぎるよ!ああもう、私の声が伝わらないのがこんなにもどかしいのはじめて!』
「お前ルーカス!実の妹なんだろ!?なんでこんなひどいことができる!?」
エヴリンが泣き叫んでいる内容に同意だったので掻い摘んで聞いているだろうルーカスに尋ねる。情か何かが残っていてゾイを解放してくれる可能性は……。
≪「それなら話は簡単だぜ。昔からゾイは生意気でよ?俺の発明も理解しないわ、人の作業を邪魔するわ……そして、この楽しい愉しい狂った生活もぶち壊そうとした! そう、邪魔だったんだよ!」≫
迷うこと無く即答するルーカス。ああくそっ、最低のクズだ。
『右!左!前!あ、茨が来るよ!しゃがんで!』
≪「あとな?何を勘違いしてんのか知らねえが……元々俺に家族への情なんて存在しねえよ」≫
『…え?家族だよ?何者にも代えがたい、唯一無二の宝物だよ?何を言ってるの?あ、えっと、イーサン左に避けて!』
「じゃあ、お前にとっての家族ってなんなんだ!?」
大地を裂いて抉りながら迫るブライドデッドの攻撃を、エヴリンの指示で必死に避けているとルーカスがそんなことを言って来て、エヴリンが呆然とし始めたのもあって問いかける。これだけはジョーやジャック、マーガレットやゾイ、そしてエヴリンの為にも聞いておかなくちゃいけないと、そう思った。
≪「あ?………
『…家族を持ってるのに、家族へなにも思わない人間がいるなんて………そんなのウソだよ』
そんな人間がいるのかと絶望するエヴリン。完全に指示が止まった。ケーキナイフチェーンソーが右腕に掠って激痛が走り転倒する。
「があっ!?」
『えっ、うそっ、イーサンごめん!ごめんなさい!』
「アァアアアアアッ!?よけ、テ……!」
するとブライドデッドがまるでバレリーナの様に優雅に構えたかと思えば、警告と共にギュインギュインとその場で高速回転。ウェンディングドレスの様な大きなスカートの裾にモールデッドの牙の様な棘が生えて広がり、座っていたモールデッドごと長椅子も切り刻みながら死の竜巻と化してこちらに迫るブライドデッド。咄嗟にハンドガンを構える。死ぬわけには、いかないんだ!
「すまん、ゾイ!」
なんとか立ち上がり後退しながらハンドガンを連射。しかし回転するブライドデッドに悉く弾かれてじわじわと近づかれていく。
「うおおおおおおおっ!」
「ジョー!?」
そこに飛び込んできたのは、玄関から突進してきたジョー。殴り飛ばしたモールデッドが回転に引きずり込まれて回転が遅くなった隙を突いてブライドデッドの上半身に抱き着いたジョーはしがみ付いて回転していく。
「イーサン!俺のために撃ってくれたこと、
「ジョー!だけど……!」
「俺はそもそも殴ることでしか先に進めねえ!だから殺さない様に殴る!そう決めた!うおおおおおっ!」
すると勢いを増して回転を続けるブライドデッドの上半身に両足でしがみ付き左腕で肩を掴みながら上半身を浮かせたジョーが右拳を握りしめ、殴る、殴る、殴る。一発胴体を殴られるごとにバランスを崩し、頭部を殴られるたびによろめき、徐々に回転が遅くなっていくブライドデッド。
「必ず助ける、だから我慢してくれ、ゾイ!お前はジャックの娘で、俺の姪っ子だ!そう簡単に死ぬような女じゃねえ!そうだろう!」
「アァアアアアアアアッ!?」
そして回転が完全に止まったところに飛び降りて、よろめきながらも広がって棘が表面にたくさんついた
『ジョー、すごい……』
「俺も続くぞ!エヴリン!あのケーキナイフチェーンソーを破壊する、指示してくれエヴリン!擦り抜けられるお前なら、ゾイを傷つけない箇所が分かる筈だ!」
『うん、うん!わかった!』
ダブルバレルショットガンを手に、吹き飛んだブライドデッドを追いかける。するとハイヒールを履いているような形状の両足の踵を地面に突き刺して踏ん張り、跳躍して飛び蹴りを叩き込んでくるブライドデッドの攻撃をダブルバレルショットガンで受け止めた。すかさず押し返すと、ブライドデッドはスカートを翻しながらくるりと空中を優雅に舞って宙返り、モールデッドたちの座る長椅子の真ん中に降り立った。
≪「おいおい観客たちよお。一方的な殺戮ショーは終わったぜ?お前らも参加してお前らの姫さんを助けろよ、な?エヴリンより助け甲斐があるだろ?」≫
『なんだとお!』
するとルーカスの指示を受けてモールデッドたちが立ち上がり、ブライドデッドを護衛する様に陣形を組みながら迫るも、横からジョーが割り込み殴り飛ばしていく。
「こいつらは任せろ!ゾイを頼むイーサン、エヴリン!お前たちなら、やれる!」
「エヴリン、まだ一晩も経ってない…取り込んだだけならどこかに…!」
『うん、見つけた!ゾイは五体の芯にされてる!でもケーキナイフチェーンソーの刃の部分は違うよ!』
「よし!」
モールデッドたちを殴り飛ばしていくジョー。俺を狙ってケーキナイフチェーンソーを振り回すブライドデッド。そのブライドデッドに重なってゾイを見つけ出すエヴリンの言葉に、俺はケーキナイフチェーンソーの振り下ろしを避けてからダブルバレルショットガンを刃の腹に突き付け、引き金を引いた。
「アァアアアアアアッ!?」
『ゾイの身体が一番外に近いのは鳩尾だよ!』
「ならこうして…ジョー!お前が、引き抜け!」
武器を失ってわなわなと両腕を震わせながら絶叫するブライドデッドの鳩尾にナイフを突き刺して抉って傷口を広げると、ナイフを手放して後ろに回り込み羽交い絞めにする。するとモールデッドの殲滅を終えたジョーが思惑に気付いて、ナイフを抜きながらブライドデッドの鳩尾に手を突っ込んだ。
「見つけた、これか!」
『力を入れて、イーサン!ジョー!』
「うおおおおおおおおっ!」
暴れるブライドデッドに殴られながらも羽交い締めにして、何かを掴んで下がろうとしているジョーと合わせて全力で引っ張る。
「おりゃああああああああっ!」
『やったー!』
そしてゾイの右腕を掴み、引き抜いてその胸に抱きしめるジョーを尻目に、抜け殻となった花嫁衣装型のフューマーを背負い投げの要領で天高く放り投げた俺はグレネードランチャーを取り出し、空中の奴目掛けて撃って、爆発の衝撃でフューマーを沼に突き落とし、俺は崩れ落ちて一息ついた。
『ゾイは無事だよ!白髪になっちゃったけど……』
≪「ゾイがダウン!試合終了!し、しゃーねえ、まあ所詮こんなもんだろ」≫
「…声が震えてるぞルーカス」
疲れてそんなことしか言えなかった。
やっぱり力づくで解決できるコンビ、イーサンとジョー。…原作でもこの二人が組んで戦うのを見たかった。
高濃度の菌の放出に死の竜巻や棘盾まで使う、能力の数はトップクラスだったブライドデッド。前半はモールデッドたちが観客としてずっと座ってるのが若干シュール。
家族に対するスタンスがエヴリンにとって天敵なルーカス。メモを見る限り家族とも思ってなさそうなんですよねこの男。本当にジャックの息子なのか?ってレベル。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ルーカスとは……
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原作と異なりイーサンが決着をつける
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原作通りクリスが決着をつける