BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は真エヴリンとの対決。楽しんでいただけると幸いです。
「死ねえ!」
翼を広げ、スカートの下で黒く染まり関節が逆になっているクイック・モールデッドの様な形状の足で跳躍して舞い上がり、滑空して刃の様な指を叩き付けんとしてくる真エヴリン。
「よけっ…!」
『あぶっ、危ないな!?』
横っ飛びで回避すると、今の今までいた地面が斬り刻まれて格子状に抉られていた。なんて威力だ。よく見れば指の刃もブレード・モールデッドのものか。モールデッドのキメラと考えた方がよさそうだ。
「喰らえ!」
「っ、ふざけてるの!」
グレネードランチャーを地面に撃って炎上させ牽制すると、それにキレた真エヴリンが炎を突き破りながら突進して来て両腕を交差して振るって来て、グレネードランチャーを盾に受け止め、なんとか押し返すと真エヴリンは翼を広げて大きく後退。右手を振るって壁の隅から湧き出てきた黒カビを触手状にして叩きつけてきて、吹き飛ばされ地面をゴロゴロと転がる。
「私を救うから手出しはしないって?私に容赦を期待しているなら無駄なこと!戦え!イーサン・ウィンターズ!」
『イーサン…手加減しなくていいよ?このままじゃイーサンが死んじゃう、それじゃ意味がないよ』
「…お前に手は出さない」
立ち上がり、口の中が切れて溢れた血を吐き捨てる。すると真エヴリンが呼び寄せたのか、どこからともなく大量のモールデッドがワラワラと出てきた。……ブレードやクイックが見えない辺り、真エヴリンの力も弱っているようだな。
「手を出さないっていうならこのままみじめに殺してあげる。行け」
『あーもう、イーサンの覚悟は分かったよ!死なないように協力する!後ろから来てるよ!』
「ありがとよ!」
武器をダブルバレルショットガンに構え直し、振り返りざまに撃ってモールデッドの頭部を吹き飛ばす。前から迫ってきた奴等には前蹴りで対処し、ダブルバレルショットガンを乱射して次々と倒していくと、その隙を突いて真エヴリンが宙を舞い、空中から襲いかかってきたので咄嗟に避けて後退。殺到してきたモールデッドはダブルバレルショットガンで吹き飛ばす。厄介だな、この連携。
『イーサン!今のあの私は、ジョーと出会った時に大量にモールデッドをけしかけていたし、もうそんなに力は残ってない!あれは最後の力を振り絞った戦闘形態、ダメージを与えれば…』
「子供に銃を向ける親がどこにいるってんだ」
『じゃあ体罰!殴ろう!私が許す!死なない程度にボコボコにしよう!』
「やけくそかお前!?」
『やけくそだよ!?この聞かんぼうイーサン!』
「聞かんぼうはあのおまえだろ!?」
『私じゃないやい!』
「見えない私と喧嘩をするなああ!!!」
なんかブチギレた真エヴリンが空中で激昂して衝撃波を放ってきて天井を吹き飛ばすと、両腕を伸ばしてむんずとモールデッドを一匹ずつ首根っこを掴むと飛翔。空からモールデッドを投擲するのを繰り返してきた。
『モールデッド爆撃だあああ』
「そんなのありかあ!?」
丸まって鋼鉄をも砕く硬度らしい砲弾と化したモールデッドが次々と地面に着弾し、轟音を響かせ地面を揺らす。こっちのエヴリンがやけくそならあっちもやけくそかよ。なんだこの子供っぽい癇癪みたいな攻撃は。子供か?……子供だったわ。
『イーサン!反撃!ハンドガン撃って!』
「撃たない!」
『撃てってば馬鹿!?』
武器をしまい、モールデッド爆撃から逃げていく。ミアは…天井は吹き飛ばされたものの支柱は残っていて鎖で吊り下げられたままだ。あっちには逃げれないな。すると視界にあるものを見つけた俺はにやりと笑った。
「良い球だな真エヴリン!」
「一発も当たらない癖によく言うね!」
「当ててやるよ一発な!」
「『え?』」
二人のエヴリンが揃って呆けた顔を浮かべる。こちらに向けて投擲されたモールデッド砲弾から俺は逃げずに、残骸から引っこ抜いた手ごろなサイズの鉄柱を振りかぶる。
「絶好球!」
「えええええええ!?」
『イーサン頭おかしいよ私のせいかな?』
カキーンと小気味いい音を立てて、鉄柱がへし折られながらもフルスイング。ホームランかの如く空目掛けて吹っ飛んでいくモールデッド砲弾。真エヴリンは驚きながらも余裕で避けた。よかった。当てるつもりはなかったが。
≪「なんだあああああああ!?」≫
するとガーピーという機械音と共に外のスピーカーからルーカスの絶叫が聞こえてきた。まあどうでもいいか。
「ふざけているのか!」
『私もそう思うけど多分真面目だよ、聞こえてないだろうけど』
『ぎゃあああっ!?やめ、やめ…首は駄目さすがに駄目!』
「私と力比べ?そんなもの、老婆になっていても生体兵器の私に敵う訳が…!」
「いいや、違うさ!」
「がっ!?」
両手首を掴んで外側になんとか動かし、がら空きとなったその綺麗な顔に渾身の頭突き。真エヴリンは黒い血反吐を吐いてフラフラと後退する。
「私に攻撃しないとか言ってたくせに!このお!」
『体罰は私が許した!やっちゃえイーサン!』
翼を羽ばたかせ、両翼から黒カビの触手を伸ばしてくる真エヴリン。だが狙いは愚直すぎて、ちょっと頭部や体をずらすだけで避けられる。さらに合わせてぺしっと触手を掌で叩いて道を作り、真エヴリンに突き進む。
「来るな!来るな!来るな来るな来るな!私の傍に近寄らないでよぉおおおおっ!?」
ずんずんと迫る俺に対して恐怖を抱いたのか、隠された目元から涙を流した泣き顔で後退しながら黒カビで形成された翼から触手を次々と伸ばしてくるが、勢いはなく。次々と掴み上げてグルグルと体に巻きつけて真エヴリンを引っ張りながら進んでいく。
「やだ!やだやだやだ!」
『イーサン…?怖いよ……?』
触手と繋がった翼を切り離し、クイック・モールデッドの足で跳躍して後退に切り替える真エヴリン。壁に背中がぶつかると怯えて壁沿いに逃げて行くので、真エヴリンの行く先目掛けて焼夷弾を発射。炎の壁で遮るとついには頭を抱えて蹲ってしまう。
「お願い、来ないでよ!?ぶたないで、嫌わないで!怒らないで!……なんでみんな私を嫌うの…!」
『私……』
「………痛かったか?」
邪魔だったので触手を捨てつつ、蹲る真エヴリンの前に立って訪ねると、泣きじゃくった顔でこちらを見上げて睨み付けてきた。
「痛かったよ!なにが私を救うだ!私に攻撃しないだ!この嘘つきめ!」
「教えてやる必要があると思ったんだ。…その痛みより辛いことをお前はこれまでしてきたんだ。ミアに、ジャックに、マーガレットに、ゾイに、ルーカス……はまあ置いておいて他の犠牲者も」
『……』
そう言うとハッとした顔となる真エヴリン。傍のエヴリンは黙って聞いていた。
「悪いことは悪い事だと、ちゃんと教えて叱る。それが家族だ。親だ。お前が欲して、歪んだ形で得たために決して得ることはできなかったものだ」
「…悪い、こと…?」
「未来のエヴリンはそれを俺に教えられてまともになった、らしいからな。俺も教えることにした。生憎と不器用だからあんなことしかできなかったが。言葉で諭すのは難しいな。だから行動で伝える」
そう笑って、必死に取り繕ってなお小さな背中に手を回す。真エヴリンは目を瞑って拒絶する様に剃刀の如き指の手を押し付けてくるが、突き刺さり血が流れるのも気にせず俺は真エヴリンの小さく細い、老人の様な身体を抱きしめた。
「…お前、ミアの子供、だったんだろ?だったらお前は俺の子だ。ああ、どんな姿だろうと人間じゃなかろうと関係ない。……お前を愛してやる。世界がお前を嫌っても俺だけはお前を受け入れる」
「…ほんとに?私、悪い子だよ…?」
泣きじゃくりながら、異形の形態変化を解いて見上げた真エヴリンが潤んだ瞳で見つめてくる。その頭をポンポンと撫でながら、頷いた。
「ああ。妻と娘の不始末だ、一緒に償うさ。お前も家族だ」
そう宣言すると涙を決壊させてワンワンと俺の胸で泣く真エヴリン。それを黙って見ていたエヴリンがボソッと呟いた。
『いいシーンだけど実際は老婆だと思うとなんだかなあ』
「おい五月蠅いぞ」
そんなわけで夜明けを迎えた真エヴリン。その果てにあるのは…?
そもそもこの真エヴリン、戦闘向け生体兵器じゃないし戦闘慣れしてないから一発喰らうだけで怯えて戦闘不能になるっていうね。モールデッド爆撃など、拙い戦い方でした。似た様な姿でも菌根を使いこなすミランダとは雲泥の差。
夜が明けたベイカー邸で迎える最終局面。ルーカスの方もなんかあった模様。次回からクライマックスです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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