BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「…あの、これ」
少しの間泣きじゃくっていた真エヴリンが我に返り、自分の胸に手を突っ込んであるものを取り出し差し出してきた。それは、ルーカスも居所を知らないと言っていたものだった。
「これ…「頭」か!?」
『あー、それでわかった。弱っているはずの私があんなに力を行使できたのこれのおかげか』
「ルーカスが離反しようとしたときに割り込んで咄嗟に奪ったの。私の中にあればイーサンたちも見つけられないと思って…」
「いや、よかった。探す手間が省けた。後はミアだな」
「頭」を受け取りバックパックに入れ、カビを操る真エヴリンに手伝ってもらい、鎖を下ろしてミアを解放して抱き起す。
「ミア。目を覚ましてくれ」
『そこは目覚めのキスでしょわかってないなあ』
「イー、サン…?」
さっきの戦闘で目覚めかけていたのか少しの時間もかけることなく目を覚ましたミア。俺の顔を見てから背後で縮こまっている真エヴリンを見て顔色を変える。やっぱりミアにもエヴリンと同じ姿の少女に見えているらしい。
「イーサン!なんで、この子が……私、全部思い出したの。この子は…」
「諸悪の根源、だとでもいいたいのか?お前の娘だろ、ミア」
「イーサン……どうして」
『まさか未来人が協力してるとは思うまい』
ハッとした顔で信じられないという視線を向けるミアに、俺は真エヴリンを庇うように立って真剣な表情を向ける。
「お前がコネクションとかいうところの一員だとも聞いた。エヴリンを利用しようとした挙句に教育を間違えて逃がした挙句にこうなったこともな」
「イーサン。あのね、貴方を愛しているのは本当で、隠し事していたのは謝るわ。でも貴方が庇っているそれは、危険な怪物で……」
「お前の子だろ。血が繋がっていなくてもミア、お前が育て、ママと慕ってくれる子だろ。俺はこの子を諸悪の根源とは思わない。本当に悪いのはコネクションとミア、お前だと思う」
『あ、そこ突くんだ』
「っ……」
眼を逸らし、唇を噛みしめ血を流すミア。そんなミアに、真エヴリンの手を掴んで歩み寄る。
「でも俺はお前を愛しているし、エヴリンだって愛すると決めた。子どもとして迎え入れたい。だからミア、お前に追及はしない。だがひとつ……エヴリンを忌避するのはもうやめろ。お前の態度一つでこの子は傷付くんだ」
『何なら一番ダメージがあるまである』
「ママ……」
「エヴリン……イーサン、本気…なのね?」
真剣な顔となったミアの言葉に頷く。
「本気だ。だからミア、手を貸してくれ。真エヴ……エヴリンを、助けたいんだ」
「真?………イーサンも、私に隠していることあったりする?」
「…言って信じるかわからないが、俺には未来から来たエヴリンの幽霊が味方してくれているんだ」
「???」
呆けた顔で目を白黒させるミア。だよな、そうなるよな。俺は掻い摘んで横で踏ん反り返っているエヴリンのことを話した。すると頭を抱えたミアは信じられないと言った様子で肩を上下させている。真エヴリンも信じられないのか訝しげに俺の横、ただしエヴリンのいない方向を見つめている。
「…まあイーサンの言う事だから信じるけど、驚いたわ」
「………つまり本物の私は死んでるけど残留思念が三年間家族として一緒にいたってこと?ずるい」
「ずるいとかじゃなくてだな……それがあったからお前と和解できた、そういうこととしてこの馬鹿を許してやってくれないか真エヴリン」
『誰が馬鹿だ』
「まずその呼び方!私はただのエヴリン!真とか付けるな!」
「だけどややこしくてだな……お前の方が本物だから
「なんか嫌なの!そもそも私その私を知らないし!」
『血を飲めば見えるよー』
不満げに怒鳴る真エヴリンをなんとかなだめる。おまえは呑気そうだなエヴリン。
「あ、あう……」
「おいどうした?」
「大丈夫!?エヴリン!」
すると真エヴリンが突然へなへなと崩れ落ち、俺とミアは慌てて駆け寄る。なんとか抱え起こすとその姿がぶれて老婆の姿に戻ってしまっていた。
『元々弱ってたのに無茶するから……』
「これが、今のエヴリン……」
「あはは……もう幻影を保つのも難しくなっちゃった。せっかくイーサンとミアの子供になれたのに、もう駄目かな……ゲホッ!ゴホッ…」
「駄目じゃない!諦めるな!くそっ……」
口から黒い血を吐いた真エヴリンを慌てて横抱きで持ち上げ、隅っこに吹き飛ばされていた車椅子に乗せて運搬、ミアと共に急いで外に出る。
「ようイーサン。上手く行ったみたいだな」
「…イーサン、轟音が聞こえてきたから心配したよ。ミアに…それに、エヴリン」
「ゾイ……ゲホッ!ゴホッ!…謝ってすむことじゃないけど、ごめんなさい」
なにかを話し合っていたが俺達に気付くと笑顔で出迎えてくれた、ジョーとゾイに邂逅一番に謝罪する真エヴリン。すると面食らったのかゾイは白くなった髪を弄って視線を逸らした。
「なにそれ。……許せない、けどジョーから事情は聴いた。同情はするよ」
『ゾイ……』
「俺も一発殴ってやろうかと思っていたんだが…こんな有様ならやめとくさ」
「ゾイ、ジョー。話は後だ。このエヴリンは見ての通り限界が近い。すぐにルーカスから薬を手に入れないといけない。手がかりはないか?」
「私達の子なの。絶対助けたい!」
ミアと一緒に熱心に尋ねると、ジョーとゾイは顔を見合わせて何かの見取り図を取り出す。
「ならちょうどいいところに来たなイーサン。さっきお前らのところから吹っ飛んで行ったでっかい砲弾が近くの廃坑に落下した。その直後、聞こえたよな?あの馬鹿の声が」
「それでぴんときたの。ルーカスは廃坑に潜んでいるんじゃないかって。それで見取り図と落ちた辺りを見比べて、位置を探ってたんだ。ルーカスはここ、廃坑の最奥にいる」
そう、見取り図を手に説明してくれる二人に頷き、真エヴリンをミアに託して、リュックから「頭」と「腕」を取り出しゾイに託した。
「…ミア、ゾイ。もう襲ってくる奴はいないと思う。真エヴリンのことを頼む」
「癪だけどわかったよ。血清を作って待っとく。死んだら承知しないからね」
「ええ、わかった。エヴリンの事は任せて」
「おいおい、俺が残らなくてもいいのか?」
そう笑顔で尋ねてくるジョーに、笑顔で返す。
「俺が残ってくれと言ってもお前はついて来るんだろ?」
「当たり前だ。あの馬鹿は俺が責任もって殴り殺す」
『もちろん私もいくよ!』
「ああ、頼りにしている。行くぞ2人とも!」
そうしてジョーの先導で廃坑に向かおうとしていた、その矢先だった。プロペラ音と共に、上空にそれが現れたのは。
「ああ!?なんだあ!?」
「ヘリだと…!?」
『あ、そうか夜明けだから…』
上空に現れたのは青い雨傘のマークが描かれたヘリ。ロープを下ろして特殊部隊の様な人間が次々と降り立ち、アサルトライフルを手に俺達を取り囲む。いや、俺達じゃない。真エヴリンが囲まれていた。
『狙いはやっぱり私だよね。そうか、もし死ななくてもこの人たちに殺されていてもおかしくなかったんだ』
「やめろ!」
「そいつに手出しはさせねえぜ!」
俺とジョーは目くばせすると取り囲んでいる奴等に殴りかかり、俺は頭突きや蹴りで、ジョーは拳で吹き飛ばして真エヴリンを守るように構える。
「邪魔をするな!」
『その声…!』
するとジョーの拳に拳をぶつけて相殺し、弾かれたジョーをタックルで突き飛ばして、真エヴリンに向けてナイフを振るおうとするヘルメットの男の腕を掴み、膝蹴り。怯んでナイフを落とした男はよろめいて後退する。
「…なんのつもりだ。そいつがなんなのかわかっているのか!」
「ああ。俺の娘だ。言っとくが俺は洗脳されちゃいない。俺の意思で娘として守る、助ける。そう決めた」
エヴリンの反応から分かった。この男は恐らく、俺とミアの恩人となる筈だった男。男は「手を出すな」と仲間に指示を送るとヘルメットを外して溜め息を吐いた。
「…クリス・レッドフィールドだ。俺達は君達の敵じゃない、味方だ」
「そうだと願うよ」
クリスと青アンブレラの部隊到着。ヴィレッジ時点だと青アンブレラどうなってるんじゃろね。
ミアも考え方次第では7における諸悪の根源の一人よねって。それでも許容するイーサンの器のでかさよ。
真エヴリンが持って力にしていた「頭」でようやく血清作成。原作みたいにどちらか一人ということもありません。
ジョーすら退ける終身名誉ゴリラ、クリス。それを後退させるイーサン。どっちがバケモノなんでしょう。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ルーカスとは……
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原作と異なりイーサンが決着をつける
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原作通りクリスが決着をつける