BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。一ヶ月ぶりで申し訳ない。今更ですけどShadows of Rose編は本作本編のその後の時系列なので、ハイゼンベルクおじさんは生存してないし、エヴリンと四貴族は仲良くないし、7の時にジョーと共闘している訳でもなかったりします。

今回は名コンビ復活。楽しんでいただけると幸いです。


ダイブⅡ【珍道中再び】

 落ちて行く。落ちて行く。真っ黒な、深海の様な世界にゆっくりと降下しながら、窓の様に記憶が見える。

 

 

――――ローズって変わってるよね

 

――――いつも虚空に向かって話しかけてるし

 

――――ホント、なにか変なものが見えてるんだって

 

――――気持ち悪い!

 

――――「父さんと姉さんを悪く言うな!」

 

――――こっちに来ないで!化け物!

 

――――あいつを友達にするなんて

 

「やめて」

 

――――ローズって普通じゃないよね

 

――――手から何か出たんだ!

 

――――ローズは絶対変だよ!

 

「やめて!」

 

 

 耳を押さえる。聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない。父さんと姉さんを馬鹿にされたのが嫌だった。そしたらあの力が出た。それから周りの反応は分かりやすく変わった。「拒絶」だ。

 

 

「お願い!もうやめて!」

 

 

 耳を押さえ縮こまりながら落ちて行く。そんな私の手を掴む二つの手があった。

 

 

「…え?」

 

「「ローズ」」

 

 

 優しい声色で呼びかけられる。私はそんな二つの手に引かれるようにして、意識が浮上した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…れで、これからどうする?」

 

「ローズを害する者全部ぶっ壊して突き進む」

 

「さすが。それでこそイーサン」

 

「起き抜けに頭の悪い会話しないでよ…」

 

 

 起きるなり聞こえてきた父と姉の会話にツッコみながら目を開ける。倒れていたのか研究室の椅子で、そこにいたのは見慣れた二人。だが様子がおかしい。父さんは両足を地面に付けてるし、姉さんは机の上に座っていた。実体が、ある?

 

 

「よかった、ローズ起きたか!このまま目を覚まさないんじゃないかと…」

 

「心配してたんだからね!やったー、触れる!この!この!一生分撫でまわしてやる!」

 

「わ、わ、わ……いい加減にして!姉さん!ってあれ、触れる…」

 

 

 その小さな体で飛びついて来て、顔にしがみ付いて撫で繰り回してきた姉さんを押しやり、違和感に気付く。突き抜けない。触れる。子供の頃はモールデッド・ギガントになった姉さんに優しく撫でられたことはあったけどそうじゃない、姉さんの手は子供の様に柔らかくてひんやりしていた。

 

 

「…同じ場所、だよね…?ケイは?」

 

 

 そう尋ねると二人は顔を見合わせる。どうしたんだろう?

 

 

「…落ち着いて聞いてくれ、ローズ」

 

「ここは菌根の世界。なんでもありの非現実だよ」

 

 

 そう言ってとてとてと姉さんが歩いて出口に向かうと、EXITと書かれた扉の向こう側は石造りの通路に繋がっていた。

 

 

「見たことがある。この感じはドミトレスク城だ。俺が先頭をいく、ここを進むしかなさそうだ」

 

 

 こういうことに慣れている父さんの言葉に頷いて、父さんを先頭に、私が二番目、姉さんが殿としてついていく。霧が立ち込めていて真っ暗だ、ライト持っててよかった。二人にもしものためにって持たされていたのが役に立つなんて。

 

 

「私の母体でもある特異菌、菌根は自身に感染した死者の情報を記録して一種のネットワークを構築してたんだ。ミランダはそれを利用して死者の記憶を介して娘のエヴァを復活させようとしていた。だからここは多分、記録されたクソデカオバサンの記憶からできた世界…」

 

「クソデカ?」

 

「落ちるーな・ゴミ取れっす……じゃないや、えーと、オルチーナ・ドミトレスク。態度も身長も胸もお尻も顔も全部クソデカオバサンだよ」

 

「ぶふっ。久々に聞くと笑えるなそのあだ名フルネーム」

 

 

 姉さんの言葉の謎ワードに思わず反応すると返ってきたボケボケの言葉に父さんが笑う。単に失礼にしか思えないんだけどどんだけでかいんだろうそのドミトレスクとかいう人。

 

 

「今思えばアイツもミランダの被害者だったのかもな」

 

「追い回された恐怖の方が大きいからもしそうでも許さない」

 

「まあそうだな。足元が悪い、気を付けろ」

 

 

 そう言われて下を向くとバケツやらが転がっていた。確かにこれは危ない。すると父さんはバケツやら転がっているものを蹴り飛ばして、先を確認しながら進むと言う荒業を始めた。ええ……。

 

 

「イーサン、ローズが引いてるよ」

 

「え゛こ、これはだな?昔の癖が、な?」

 

「姉さんが言ってた暴れん坊父さん、嘘じゃなかったんだ」

 

「全部まごう事なき真実だよ」

 

 

 じゃあドラゴンと空中戦したとか巨大な赤ん坊から逃げ回ったとか鉄人兵団と共闘したとかも本当なのか……え、そんなやつらの記憶の世界を行くの?やだなあ…。

 

 

「ここは地下牢みたいだな」

 

「そうだね。でもドミトレスク城にこんな道あったっけ?地下牢はあったけどさ」

 

「イングリドのところか。…雰囲気は同じだがこんな通路は知らないな」

 

「本物とは違うのかも。油断しないでねイーサン、今は丸腰なんだから」

 

「わかってるさ」

 

 

 そのまま進んでいると、ちょっとだけ広い通路に出た。父さんが周囲を警戒している間に横の小部屋に姉さんと共に入り、なにかないか探るとメモを見つけた。

 

 

「姉さん、これ」

 

「なになに?……ローズに触れるのはいいけど、浮かべないの不便だなあ」

 

 

 ぴょん!ぴょん!と跳ねて私の持ったメモを見ようとする姉さんでも見える様に下ろすと、少し不満げにしながらも内容を確認する。

 

 

「“早くしないと、私の番がくる。「結晶」を手に入れないと”?なんじゃこれ」

 

「結晶ってものを探せばいいのかな」

 

「多分そう。イーサン、手がかりっぽいの見つけたよー!」

 

「こっちは武器を見つけたぞ」

 

 

 戻ってみると、父さんは鎖に付けられたよく分からない豚の頭みたいな鉄の器具を持ってた。なに、その…なに?

 

 

「多分拷問器具だ。これ振り回せば戦えるだろ」

 

「脳筋イーサン再び!」

 

「あはは…」

 

 

 呆れながら父さんを先頭に先に進むと分かれ道に出て、そのまま進むと行き止まりだったのでもう片方の道に行こうとすると父さんが手で制した。なにか見つけたらしい。

 

 

「…エヴリン。あれ」

 

「これ…菌根かな?赤くも見えるけど」

 

「これが?気持ち悪い…」

 

 

 その部屋の奥に敷き詰められていたのは赤黒く、蠢いている半固体の液体の様なもの。近いのはモールデッド・ギガントの体表だろうか。

 

 

「触るなよ、なにがあるかわからん」

 

「うん」

 

「なんか複雑だあ」

 

 

 そのまま広くなった通路を進んでいると、ガシャンガシャン!と扉を叩く様な音が響いた。思わず固まり、父さんは鎖を握った手を構える。

 

 

「…なんだ?エヴリン」

 

「無理だよ、昔みたいに偵察できないしなんなら行きたくない」

 

「出して……」

 

「ローズ、出してって何が?」

 

「わ、私じゃない!なのに私の声…?」

 

 

 聞こえてきた声の方に向かうと、閉ざされた牢屋があって。ガタンガタンと揺れていた。

 

 

「誰かいるのか!?」

 

「ここ、危ない…」

 

「何が危ないの?」

 

「…」

 

「待ってて、開ける方法を探してみる!」

 

「ローズ、本気か?」

 

「初めてここで出会った人、手がかりだよ。やるしかない」

 

 

 そう言うと父さんと姉さんも納得した様で頷いてくれた。牢屋の鍵、どこかにないだろうか。牢屋の横には地下に続く階段と、大きな扉があった。こっちかな…?

 

 

「…ローズはここで待っててくれ、ってわけにもいかないか」

 

「もう明らかに危険だよ。第一村人が出て来たら最初の襲撃に注意しよう」

 

「なにそれ?」

 

「お約束?」

 

「本当に何だそれは」

 

 

 変な電波をキャッチしたらしい姉さんの戯言を適当にあしらいながら先に進んでいくと、揺れているフックが合って。

 

 

「武器によさそうだがさすがに危ないか」

 

「そうだねえ、今のイーサンは頑丈なのかもわからないしやめとこ?」

 

「だけど揺れてたってことは誰かいたってこと…?」

 

 

 振り返った、次の瞬間。ガコンと言う音がして。

 

 

「「危ない!」」

 

 

 父さんの大きな手と、姉さんの小さな手に掴まれて後退した瞬間、今の今までいた場所にシャンデリア?が落下していた。そこには、血文字でROSEと書かれていて。

 

 

「ローズの名だと…?」

 

「…ローズが狙われているのは間違いないみたい?」

 

「そんな、なんで…」

 

 

 警戒しながらさらに奥に進んでいくと、灯りがついているカンテラが置かれている部屋に鍵が吊り下げられていた。

 

 

「これじゃない?」

 

「明らかに罠なんだが」

 

「イーサン、それで拾えない?」

 

「やってみるか」

 

 

 取りに行こうとした私を姉さんが引き止め、父さんが鎖を振り回して豚の顔の形の拷問器具を投げつけると見事にひっかけて回収。父さん何者だったんだろう。エンジニアってのは嘘だよね絶対。

 

 

「やっぱりな」

 

「逃げるよローズ!」

 

 

 するとボゴボゴと鍵があった下の足場に赤い血液の様なものが溢れだして、何かが出てこようとしてきたのを父さんが投げつけた拷問器具が飛び散らせる。な、なんだったの?姉さんが先導して、来た道を戻って行くも天井や床からあの赤黒いドロドロが溢れだしており、まるで浸水しているかのようだ。

 

 

「なに!?なんなの!?気持ち悪い!」

 

「さっきの鍵が明らかに罠だったんだろうね!イーサン、殿頼んだよ!」

 

「お前も、もしもの時はやんちゃっぷりでなんとかしろ!頼んだぞ!」

 

 

 確かに信頼し合っている姉さんと父さんに守られる形で来た道を戻り、牢屋に辿り着くと鍵を開ける。そこには誰もいなくて、代わりに紙が置いてあった。

 

 

「なんだろう、これ…」

 

「ベイカー家で描いてた私の絵と似てるけど…って!」

 

「ローズ、下だ!」

 

 

 下にいつの間にか出てきたドロドロから出てきた「腕」が私の脚を掴み引きずり込もうとして、父さんが私の手を引いて引っ張り、姉さんがその腕を踏み潰す。

 

 

「助かった…ありがとう」

 

「絵で油断させたところを狙ってくるとかワンパターンだな!」

 

「油断も隙もないな、クソッたれ」

 

「……貴方には頼もしい味方が二人もいるのね」

 

 

 その声に三人揃って振り向き、驚愕する。そこにいたのは毎朝鏡で見ている顔。私の顔を持つ、姉さんみたいな黒い服を着た少女がそこにいた。

 

 

「私に、そっくり…」

 

「あなた、だれ?」

 

「私はローズだよ、姉さん」

 

「何が起きてるんだ一体」

 

「父さん。早く逃げないと。ここは危ないよ」

 

 

 そう言って歩き出した少女を、私達はついていくしかなかった。いったいなんなの、ここは!




菌根の世界に入ったことで久しぶりに実体を得たイーサンとエヴリンに手厚く守られたローズの珍道中、始まるよ。イーサンもエヴリンも絶好調。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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