BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は名コンビ大暴れ。楽しんでいただけると幸いです。
「せ!つ!め!い!せつめーをよーきゅーする!」
「落ち着けエヴリン」
道案内する様に先を進む黒い私についていく私達。暴れそうな姉さんを父さんが押さえてるが、さっきから周りからズゴゴゴゴゴ!と轟音が鳴り響いているからそれどころじゃない。来た道を戻っているんだろうかこれは。行き止まりだった部屋まで来ると、黒い私に促されて父さんが奥の麻袋を持ち上げ移動させる。中身は…考えたくないな。
「こっち」
「ちょっと!待ってよ!どこに行くの?」
「ローズらしいお転婆だね」
「俺としてはその体勢は見えるからやめてほしいけどな。エヴリンじゃないんだから」
「なんだとお!?」
するとぽっかりと空いた横穴に入って行く黒い私。追いかけて行くと隣の区域に来て、ちょっと広い牢獄の様なところに出る。奥から声が聞こえて、不思議に思って覗いてみて絶句した。
「私…!?」
「なんなの、ここ…!?」
「今助けるぞ!」
そこにいたのは、黒い触手の様なものに覆われた黒い私。今目の前で冷めた目で見つめている黒い私とは別だ。父さんが激昂して扉を蹴り開けて助けようと手を伸ばすが、触手に囚われた黒い私は手が届く直前で飲み込まれて行ってしまった。
「くそっ…!」
「…ローズじゃない、よね?」
「私はここにいるよ姉さん…」
父さんは拳に苛立ちを込めて地面にぶつけ、姉さんはふざける元気もなくなった様でシュンとしている。私は今にも吐きたい気分だ。そう込めた視線を黒い私に向けて、気付く。周りの牢獄。全てに、黒い私がいた。
「父さん!」
「助けて!」
「姉さん!」
「こんなのいやぁあ!」
「なんで私がこんな目に…!」
父さんと姉さんの顔を見て、次々と黒い私の口から絶叫が上がる。なんだここは。何が起こっているんだ。なんで、私と同じ顔がこんなにいて、酷い目に遭っているんだ。
「いっぱいいる…私と同じ顔が…」
「ローズ、しっかりして!」
「くそっ、こうなりゃ全員…!」
父さんが拷問器具を振るって鍵をこじ開けようと試みる。ガキン、ゴキン!と鈍い音が鳴って、次々と牢が解放されていく。私からしたら地獄みたいな光景だ。
「ああ、父さん…!」
「助かった…!」
「早く逃げ出さないと…!」
「待て、お前たちみんなローズなのか…!?一体何が起こってる?」
最初の黒い私……黒い私Aとでも呼ぼうか……が驚いた顔でこちらを見ている。
「…全員出すだなんてさすが父さん。私は、やろうとも思わなかった。これなら、皆助かるかも……!?」
その瞬間だった。安堵した表情の私が、突如開いた奥に通じる鉄門から出てきた全身が灰色の顔が溶けたのっぺらぼうの様な怪物に顔を近づかれて顔から何かを吸い出され、倒れてしまう。悲鳴を上げて逃げまどう黒い私達を余所に、父さんが拷問器具を手に殴りかかる中で私と姉さんは咄嗟に黒い私Aに近づく。
「たす…けて…」
「そんな…」
「ひどい…」
顔を向けた黒い私Aの顔はまるで生気を吸い取られてミイラにでもなったかのように干からびており、そのまま事切れてしまう。あの灰色の奴に襲われたら、私もこうなるかもしれない…そんな恐怖に苛まれていると、父さんを突き飛ばした灰色の怪物が私に襲いかかってきた。
「させるかあ!」
するとスライディングで怪物の股の間を潜り抜けた姉さんが肩に手をかけて無理やり体勢を崩して屈ませ振り向かせ、そこにアッパーカット。顎を砕かれた怪物は崩れ落ち、塵と化す。
「ファミリーパンチ!こんのフェイスイーターめ!ローズに手を出す奴は絶対許さないからね!」
「エヴリン、ローズを守れ!ここはもう駄目だ…先に進むぞ!」
そう言って駆け寄ってくる父さん。周りを見れば、同じ灰色の怪物…姉さんの言うところのフェイスイーターに襲われる黒い私達。あれはもう、助からない…。父さんと姉さんが私を守りながらジリジリと後退する。最初のフェイスイーターが出てきた鉄門の向こうにいくしかない…!
「てやっ!こんの!…ローズ、後ろ!」
「えっ?」
父さんと共にパンチやキックでフェイスイーターを薙ぎ払っていた姉さんがこちらを向いて叫び、振り向くといつの間にか近づいて来ていたフェイスイーターが。
「イヤァアアアアアッ!」
離れて、という意思を込めて手を突き出す。すると私の手が白く光り輝いてフェイスイーターを吹き飛ばした。困惑しながら自分の手を見やる。白い植物の根の様なものが両手に張り巡らされていた。これは、私の力…!?
「オラア!ローズ、今は逃げるぞ!」
立ち上がろうとしていたフェイスイーターの顔を踏み潰して沈黙させた父さんに手を引かれて、奥に進む。追いすがってくるフェイスイーターたちは、父さんから拷問器具を投げ渡された姉さんが壁を破壊してその瓦礫で通せん坊されている。すごいコンビネーション…!
「ローズ、私達が守れない場合はその力を使って!大丈夫、ここに貴方を化け物扱いする奴は誰もいない!いても私がブッ飛ばしてやる!接触できない現実じゃないもんね!」
「右に同じだ。だからローズ、その力を好きになれとは言わない。だけど、使えるものは使え!じゃないと生き残れないぞ!」
「…うん!」
姉さんと父さんに元気づけられ、頷く。そうだ、今はこの忌まわしい力でも使えるものは使うんだ…!
「邪魔、だあ!ライダーキーック!」
「ローズ!出てきた傍から踏み潰せ!顔を潰されて死なない奴は………ジャックとかドミトレスクとか例外はいるがいないはずだ!」
「いるのかいないのかどっち!?」
道行く先にある黒いドロドロから湧き出てくるフェイスイーターを、姉さんが全体重を乗せたドロップキックで、父さんと私のストンプで頭部を潰しながらひた走る。凄まじい数だ、このままじゃ…!すると行き止まりに出てしまう。弓矢や槍を構えた彫像が掘られた壁だ。
「嘘でしょ、行き止まり!?」
「イーサン、ここって!」
「ドミトレスク城のあそこか!くそ、出口は何処だ…!?」
「擦り抜けられればなあ!」
父さんたちの知っている場所らしいが、その記憶とも違うらしい。万事休すだと、父さんと姉さんが身構える。すると。どこからともなく光の粒子がやってきて、私が背にしていた壁に集まると壁が開いて奥に道が現れた。
「なんなの!?」
「よくわからんけど助かったからヨシ!」
「先に行け!」
かがり火を手に取り、放り投げてサッカーボールの様に蹴り飛ばす父さんを余所に、私と姉さんで先行する。父さんが凄すぎる…!あの嘘みたいな冒険譚は、本当だったんだ…!
「少しは信じた?」
「うん、うん…!」
「急げ二人とも!」
姉さんの言葉に頷き、追いかけてきた父さんに急かされる形で、ドロドロに包まれた壁から飛び出してくるフェイスイーターの手を払いながら突き進むとワインセラーの様な場所に出て、不思議なものが見えた。金色の粒子で作られた「
「二人とも!」
「さっきからなんなんだろ!?」
「なにかが味方してくれている!日本のことわざで地獄に仏とはこのことだ!」
次々と行き止まりで現れる文字に従い、ワインセラーを突き進み、横穴を進んでいくと一転して煌びやかな部屋の暖炉に出た。
「ここって…」
「たしか、俺が磔にされた部屋の隣の部屋に似ているな」
「なにされてるの父さん…」
各々座って一息ついていると、床に金色の粒子で文字が記される。
【大丈夫 か?】
「ええ、助かったけど…あなた、なんなの?」
「なんだろ、これ?」
「文字が出てくるのか、何でもありだな」
【敵じゃない】
字が消えて次の字が浮かんでくる。ちょっとかわいく感じた。
「それはわかったけど…あいつらはなんなのか知ってる?」
「お前は何なんだ」
「妖精さんかなにか?」
【帰れ。今すぐ】
私達の質問を無視して記された言葉に、思わず言葉が詰まった。
原作通りフェイスイーターと金色の文字くん登場。エヴリンはフェイスイーターをまんま「顔喰い」という意味で呼んでいます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。