BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回のあとがきの答えは「唯一まともなローズがあの場合のおかしい人間」でした。結局は多数決。

今回は幻影エヴリンの闇ってそう言えば書いてなかったなと思いいたっての話。楽しんでいただけると幸いです。


ダイブⅥ【姉、怒髪天】

「ふんっ!」

 

 

 ぐしゃっと音を立てて、父さんが手にしたポールハンガーに力を込めると壁に貫通して押し付けられていたフェイスイーターの腹部が砕けて塵と帰る。ポールハンガーで怪物倒しちゃった…。

 

 

「イーサン、生身じゃないとはいえ無茶苦茶すぎるよ…」

 

「素手で同じことができる奴に言われたくないぞ」

 

「二人とも大概だよ…」

 

 

 そのまま進もうとすると、凍える突風が吹き荒れていて。あまりの寒さに縮こまる。見れば窓が二つとも開いて寒気が入り込んでいた。

 

 

「さむっ…なんで窓が開いてるの…?」

 

「ドミトレスク三姉妹を倒した時に寒気を利用したからかな?」

 

「だろうな。俺達の記憶も混じってるぞこれ」

 

「ここから出られないの?…ダメか」

 

 

 全開に開けられていて外の雪景色まで見える窓から外に出ようと試みるが、見えない壁に阻まれる。まあ、そうだよね。出れるわけがない。出れても結晶手に入れるまで出ないけど。

 

 

「ん?おっ、チェーンカッターだ。これ、前にイーサンが使ってたやつだなあ」

 

 

 私が窓を調べている間にキッチンの奥を調べていた姉さんが見つけたそれを両手で持って重そうによろけたので慌てて受け止める。

 

 

「姉さんは小さいんだから無茶しないで」

 

「なにおう!私お姉ちゃんだぞ!」

 

「私より頭一つ分小さいのは事実でしょ」

 

「むぐう…」

 

 

 不服そうに頬を膨らませる姉さん。可愛い。姉をいじめるのは私のちょっとした趣味だったりする。すると奥の扉を調べていた父さんが戻ってきた。

 

 

「こっちの扉は向こうから施錠されているらしい。無理やり開けてもいいがチェーンカッター手に入れたんだ、戻った方がいいだろうな」

 

「わかった」

 

【これ見つけたから渡すぞ】

 

 

 すると目の前の料理するための大きめな台の上にハンドガンの弾薬が現れ、壁に金色の文字でそう伝えてきた。びっくりした。

 

 

「ありがとうシャルル。…シャルルは戦えないの?」

 

【無茶を言うな。敵を相手できると思うか?】

 

「…無理だね」

 

「その弾薬を直接相手の脳にでも転送すればいいのに」

 

「お前、グロいこと言うな馬鹿」

 

「誰が馬鹿だー!シャルルでも戦える方法言ってるだけなのに!」

 

【お断りする】

 

 

 姉さん、それはさすがにグロすぎると思う。姉さんのおすすめしてた日本の闇医者コミックでその状況読んだことあるけど考えたくもないよ。

 

 

「よし、開けるぞ。準備はいいな?」

 

「いつでも!」

 

「ま、任せて!」

 

 

 食堂まで戻ってきて父さんがチェーンカッターで鎖を断ち切るのを、私と姉さんが身構えながら見守る。ジャキン!という音と共にあっさりと鎖の封印は解かれた。同時に複数の呻き声。それが聞こえた瞬間、父さんはミドルキックで扉を蹴破った。

 

 

「「ギアアアアッ!?」」

 

 

 すると扉の前に屯っていたらしいフェイスイーター二体が雪が降り積もった中庭の中心まで蹴り飛ばされ、ポールハンガーを手にした父さんと姿勢を低くした姉さんが躍り出る。私もその後を続いた。

 

 

「よっ、ほっ!はあっ!」

 

 

 身軽に石の手摺に足を乗せて跳躍し、中庭に立っている木の枝にぶらさがり遠心力を付けて手を放し飛び蹴りをフェイスイーターに叩き込む姉さん。猿かなにかかな?

 

 

「邪魔っ、だぁああ!」

 

 

 ポールハンガーを槍の様に構えた父さんがフェイスイーター一体の腹部に突き立てて持ち上げ、勢いよく別のフェイスイーターに叩きつけたかと思えば反対側、スタンドの方で後ろ手に突いて背後から襲いかかろうとしていたフェイスイーターを吹き飛ばす。燃えよ父さん?

 

 

「…ギアアアアッ!」

 

「えいっ」

 

 

 その二人を見て考えるそぶりを見せてからゆっくりと私に振り返り、獲物を見つけたと言わんばかりに迫ってきたのでハンドガンを向けて脳幹を吹き飛ばす。こいつら知能あるのかな…。って、真ん中の東屋の像に仮面舞踏会で付けるようなマスクが取り付けられたのを見つけた。これが仮面…?

 

 

「真ん中に仮面があるよ!父さん!姉さん!」

 

「ローズ、近づくな!」

 

「そこからフェイスイーター湧き出してるみたい!黒領域って奴だよ!」

 

 

 言いながら湧き出してきたフェイスイーターを、ポールハンガーを振り下ろし頭部をかち割る父さんと、木から飛び移って両太腿で顔面を挟み込みクルクル回転して地面に叩きつける姉さん。これなんて言うんだっけ。そうだリスキルだ。そう現実逃避していると、文字が壁に浮かぶ。

 

 

【このままじゃマスクは取れない。核を壊せ】

 

「核…?この気味の悪い球根みたいな塊の事?」

 

 

 不気味に輝いているから多分これが核なんだろう。でもどうやって壊せば…?

 

 

【力があるだろ?使え】

 

「力を?捨てるためにここに来たのに?」

 

【それしかないんだからしょうがないだろ?それともパパと妹を見殺しにするか?】

 

「誰が妹じゃい!」

 

 

 あ、姉さんの怒りの肘鉄がフェイスイーターの腹部を粉砕した。多分このまま勝ちそうだけど無尽蔵ならそうもいかないか。早い所壊そう。

 

 

「でもどうすればいいの?」

 

【力を高めるものが必要だ。わかったらそいつら相手しても意味がないからさっさと移動しろ。こっちだ】

 

「父さん、姉さん!移動するよ!」

 

 

 シャルルが示してくれたのは入ったのとは別の扉。二人に呼びかけると、相手していたフェイスイーターを、姉さんの両手を掴んだ父さんが姉さんを振り回して大車輪の様に横回転。薙ぎ払ってから姉さんを抱っこした状態で父さんが駆け寄ってきた。

 

 

「ローズ!シャルルはなんて?」

 

「マスクを取るには私の力を高める必要あるんだって」

 

「…こっちはたしかドミトレスクの部屋がある方だな」

 

「っ!?」

 

 

 扉を開けて、ライトを付けて驚く。また黒い私の死体が転がっていた。

 

 

「…また」

 

「あのクソデブ絶対ブッ飛ばしてやる」

 

「同感だ」

 

 

 怒れる二人と共に階段を登って行く途中にも黒い私が倒れていた。この黒い私はいったいなんなんだろう。それに二階の廊下は黒いドロドロでいっぱい…嫌な予感がする。

 

 

「キャアアアアア!?」

 

「ローズ!?」

 

「私じゃない、今のは…!」

 

 

 悲鳴が聞こえてきた右の扉に入ると書斎の様な部屋で。奥から、たった今死んだらしい黒い私を引き摺ったフェイスイーターが現れた。

 

 

「一度ならず二度までも、よくも!」

 

 

 あまりのことにフリーズした私の横を駆け抜ける小さな体。姉さんが本棚を蹴って宙に舞い上がり、体を捻って拳をフェイスイーターの頭部に叩き込んで勢いよく床に頭から叩きつけた。するとそんな姉さんの背後に影。ライトで照らす、もう一匹いる!

 

 

「姉さん!」

 

「エヴリン!後ろだ!」

 

 

 傍のドロドロを警戒していた父さんもそれに気付いて叫び、私のライトで軽く怯んでいた姉さんは右拳を振り上げて裏拳。フェイスイーターを怯ませて、横の本棚を駆け上がって宙返り。全体重をかけたストンプでフェイスイーターを叩き潰した。

 

 

「次はお前だ。クソデブロリコン公爵。首を洗って待ってろ」

 

 

 そうバッドサインで首をかき切る様な動きをしたその顔は怒りに歪んでいて。敵がいないことを確認して目を瞑り深呼吸する姉さん。

 

 

「…ふう」

 

「ね、姉さん?」

 

「エヴリン、無事か?」

 

「うん、大丈夫。ごめんねローズ、怖がらせて。ローズが殺されるところを見るの、私もう耐えられない…前みたいに手が出せなかったら気が狂いそうだった。でも私は今、直接ぶん殴ることができる。だから私、我慢しないよ」

 

「…お前にはだいぶ我慢させていたみたいだな、すまん」

 

 

 拳を握って頷く姉さんに、父さんが頭を下げる。……聞いた話以上のことがあったんだろうな。これからは姉さんにあんまり心配かけない様にしようと、そう決めた。




幻影エヴリンの闇、それは幻影であるが故に怒りを抱いても直接手出しができなかったこと、でした。後半はモールデッド・ギガントがあったからある程度は発散できていたのだけど足りる訳が無かった。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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