BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回から切ったものに追記したものなのでいつもより短いです。

今回はウィンターズの絆。楽しんでいただけると幸いです。


ダイブⅪ【失いたくない温もり】

 黒い私の怪物、ローズデッドを倒したものの、罪悪感に苛まれた私に近づく足音が聞こえた。

 

 

「…ローズ。大丈夫?」

 

「姉、さん…」

 

 

 顔を上げると、そこにはさっきまでローズデッドに投げつけられた黒領域に蝕まれて苦しんでいたはずの姉さん。どうやら無事だったらしい。その顔は悲壮感に歪んでいる。

 

 

「ごめんね、無理に戦わせるべきじゃなかった。イーサンを無理やり起こして…ううん、私一人でやっつけるべきだった」

 

「…無理だよ。この力でないと勝てなかったもん」

 

 

 右手をかざすとほんのり白く輝く。忌まわしい特異菌の力。それを消し去るために結晶を手に入れるために、フラスクで力を強くして…父さんと姉さんに頼るだけだった私が調子づくきっかけになった、強大な力。この力で、私は私を殺したのだ。

 

 

「もういやだよ、姉さん。こんな力も、こんな目に遭うのももう嫌だ。捨てたい、けど結晶を得るにはまだ頑張らないといけない……どうすればいいんだろう」

 

「…ローズ。無理しなくていいんだよ?どこか安全なところで休んでて、私とイーサンで…」

 

「先に進むためにもこの力が必要だよ……二人に任せることも、できない…」

 

 

 それはわかっている。わかっているのだ。でも駄目だ、やる気が出ない。また、ローズデッドが…私に憎悪を抱いて怪物化する黒い私が出てくるんじゃないかと思ったら、怖くて進みたくない。多分だけど、あの黒い私達は多分、私と変わらない。なんでかは知らないけど、私なんだ。

 

 

「なんで、私が何人もあんなひどい目に遭わないといけないの?私がなにか悪い事でもしたって言うの?……私は、生まれて来ちゃいけなかったの…?」

 

「そんなことはない!」

 

 

 項垂れながら思わず本音が漏れると、大きな声で姉さんが否定する。両肩に手を置かれて顔を上げると、真剣な顔をした姉さんが私を見つめていた。

 

 

「そんなことは絶対にない!ローズが誕生して、私や、イーサンや、ミアがどんなに喜んだか!全然わかってない!ローズマリー、あなたは望まれて誕生した!例えローズでもそんなことを言うのは絶対、絶対ぜーったい、許さない!!わかった!?」

 

「う、うん…」

 

「ほら、行くよ!ローズたちをこんな目に遭わせたあのデブ、絶対に許さないんだから!今回役に立たなかったイーサンもケツを蹴飛ばして叩き起こすよ!」

 

「そ、それはやめよう…?」

 

 

 姉さんに手を引かれて、階段まで戻ると父さんが頭を押さえて起き上がっていたところだった。

 

 

「いたた……二人とも、無事だったか。!…どうした?なにがあった?」

 

「…あいつは私達で倒したよ。でも、私は敵わなくて身動きを取れなくされて…ローズが倒したんだ。でも黒いローズたちを自分で倒したせいで…」

 

 

 そう尋ねてきた父さんに、思わず黙ってしまった私に代わって姉さんが説明すると、父さんは全てを察したのか優しく笑って私は頭に手を乗せてきた。

 

 

「そうか。…辛かったな」

 

「う、うん…!」

 

 

 安心する様に頭を撫でられて、涙が出てきた。父さんが私を庇って死んじゃうじゃないかという心配もあった。でも、やっぱり父さんがいなくて不安だった。ああ、この温もりを知ったら……もう現実に戻れないかも。

 

 

「逃げてもよかったんだ、お前は。俺もエヴリンも戦えなかったならなおさらだ。なのによく戦ったな。偉いぞ、気絶してろくに戦えなかった父さんの何倍も偉い!」

 

「ホントにね」

 

「うるさいぞエヴリン。とにかく…よく頑張った。もう無茶はするな。今度は意地でも気絶してやらん。エヴリンだけに任せられないからな。お前は俺が守って見せる。もう辛い思いはさせない」

 

「なんだとー!私だって、もう二度とローズを危険な目に遭わせない!一人で立ち向かわせたりしない!」

 

 

 そう意気込む父さんと姉さんに、思わず苦笑い。ああ、いつもの二人だ。安心する。この先、何が来ても乗り越えられる気がする。

 

 

【俺もいるぞ。微力ながら、な】

 

「うん。シャルルも、ありがとう。シャルルの助言が無かったら危なかった」

 

 

 目の前の壁で金色の文字が躍り、お礼を言いながら出現したホワイトセージを口に入れる。シャルルが右手を使えって言ってくれなかったらあのまま首を絞められて死んでいた。姉さん、父さん、シャルル。この三人がいればもう何も怖くない。

 

 

「進もう、先に。結晶を手に入れるんだ。父さん、これ。渡しておくね」

 

「ああ、ありがたく使わせてもらうよ」

 

「今度は無様に気絶しないでよね、イーサン」

 

「ローズを守って死ぬなら本望だ」

 

「それはそう」

 

【お前ら、さっきのが台無しだ】

 

「もう、姉さん父さんったら…――――」

 

 

 そんな会話をしながら二階に上がり、バスルームらしき場所に入って絶句する。オブジェにされた黒い私が美術品かなにかのように並べられていた。思わず頭を抱えてしゃがみこむ。

 

 

「もういやだ…」

 

「ローズの心が折れた…!?」

 

「このデブ!人でなし!」

 

 

 こんなのが続くなら私はもう駄目かもしれない。姉さんじゃないけど、あのデブ絶対許さない。




一回心が折れたローズ。姉と父の温もりを感じて再起。でもあのバスルームのは真面目に心折れると思うんだ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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