BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は歌劇場の謎解き()。楽しんでいただけると幸いです。
仮面の部屋に戻ってきた。銀の仮面を彫像に付ける。…特に変化はないようだ。いけるところで調べてないところは…。
「あとは…例の趣味悪い食物連鎖の絵?」
「蛇の絵は見つからなかったな…」
「任せて。今なら謎解きも関係ない」
「え」
意気揚々と絵の部屋に戻る姉さん。そのまま奥の閉ざされている檻に指を入れると、「よいしょ」という声と共に器用に指先から衝撃波を発射。グシャアと音を立てて檻は捻じ曲げられて、その奥にあった粉砕された宝箱の残骸の中から三ツ眼紋章の鍵を手に入れた。ぽかんと小気味いい音が鳴る。父さんが姉さんの頭をはたいた音だ。
「いったあ!?なにすんのイーサン!!」
「お前、馬鹿!中の鍵まで壊したら詰んでたぞ!?」
「壊してないからいいじゃん!こんな趣味の悪い城で探し物するよりよっぽどいいでしょ!」
「それはそうだが結果論だろうが!もう少し方法をだな…」
「まあまあ。鍵が手に入ったしいいじゃん」
身長が上がったせいか顔を近づけて怒鳴り合う父さんと姉さんを仲裁する。姉さんは私の事を思ってやったことだし、父さんは全体の事を考えて言ってくれてる。どっちも正しいと思う。すると、宝箱残骸の内側に文字が書いてあるのを見つけた。パズル感覚で並べて読んでみる。
「【三ツ眼の紋章は栄光を呼ぶ。汝進めば金の仮面を与えられん】…これを使ってどこかへいけってこと…かな?」
「パズルした割に大したこと書いてないね」
「誰のせいだ誰の。…とりあえず食堂のショットガンをこれで取れるな」
「ハンドガンと一緒に父さんが持っていてくれると嬉しいかな」
できれば銃なんて握りたくないしね。早速戻って三ツ眼紋章の鍵をでっぱりにはめてショットガンを手に入れる。ポンプアクションして調子を確かめる父さん。このタイプは家に飾ってあったのを見たことある、ちょっと懐かしい。
「メイスが無くてもこれでなんとかなるな」
「メイス使いやすかったけどね」
「あんな使い方できるの姉さんぐらいだと思うよ…」
そんな会話をしながら姉さんが一掃して危険が無くなった中庭を抜けて、最初の階段の下にあったのを覚えていた三ツ眼の扉を開けると、黒領域で大半を覆われた広い部屋に出た。菌核と金の仮面が黒領域の向こうにあるのが見える。上に通路があるらしい。何故か黒領域でピアノが吊られているけど。
「…ここは、ピアノの部屋だな」
「ああ、私が見事な演奏をした場所」
「懐かしいな。感慨深くもなんともないが」
そりゃこんな黒領域に埋め尽くされてちゃね…。…黒領域か。
「…黒領域」
「どうした、ローズ。何か思い当る事でも?」
「姉さんが強くなったのってローズデッド…黒い私の怪物に黒領域をぶつけられてからだったなって。その前から強かったけど。明らかに変わった」
「そういえばそうだね。あの時は口に入れられて窒息しそうになって嫌な感じだったなあ。…今は悪くない気分だけど」
「本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だって。二人は心配性だなあ。なんなら飲み込んだらもっとパワーアップしそうじゃない?」
「やめて姉さん。絶対ヤバいよ」
「そうだぞ」
黒領域がなにかもちゃんとわかってないの楽観的すぎやしないだろうか姉さん。そんな会話をしながら階段を上り吹き抜けの二階に出る。やっぱりぶら下がっているピアノがなんか目立つな…。
「…どうすればいいんだろう」
「私が黒領域に入って金の仮面を取ってくるとか!」
「やめろ。どうなるかわかったもんじゃない。無効化できるって決まったわけじゃないんだぞ」
「いいや、行くね!」
「やめて!?」
意気揚々と二階の吹き抜けから一階の黒領域に飛び込もうとする姉さんを引き止めていると、横で銃を構える音が聞こえた。ショットガンを手にした父さんだ。何事かと見てみると、一階へ続く階段からフェイスイーターの群れがぞろぞろとやってきていた。
「そんな…!?ここじゃ、逃げ場が…」
「エヴリン。前言撤回だ。ローズを抱えて飛び降りて金の仮面を回収しろ。こいつらは俺が相手する」
「イーサン一人で大丈夫?」
「誰にモノ言っている。お前の支配する狂気のベイカー家を一人で一夜生き延びた男だぞ」
「そうだったね。任せた!」
「え、待って姉さん!?きゃああああああっ!?」
父さんがショットガンを撃ちながらフェイスイーターの群れに向かうなり、私をお姫様抱っこで抱えてひらりと身軽に舞って飛び降りる姉さん。思わず悲鳴を上げているとべチャッと言う音と共に一階に着地。黒い飛沫が飛び散った。
「あ、ヤバい」
「え?わあっ!?」
さすがに痛かったのかじっと耐えていた姉さんがなにかに気付くと私を金の仮面があるところまで放り投げる。尻餅を付きながら見ると、黒領域から飛び出してきたフェイスイーターの手に捕縛され沈むように引きずり込まれていく姉さんが見えた。姉さんももがいているが黒領域が纏わりついて粘っこく拘束して、口も塞がれ手足は封じられ動けないでいる。そんな…!?
「この…姉さんから離れろ!」
咄嗟に右手を向けるが黒領域の中にいるフェイスイーターには通じない。咄嗟に菌核を捜す。あんなところに…!
「間に合え!」
左手で押さえた右手を突き出し、力で石灰化させていくが間に合わない。菌根が石灰化した時、その事実に気付いて絶望する。その菌核は姉さんを取り込んでいる黒領域のものじゃなかった。ピアノを吊り下げていた黒領域が石灰化して落ちてきただけだ。それに気付いた瞬間には時すでに遅し、姉さんは黒領域に頭まで完全に包まれてしまった。
「そんな、姉さん……」
「何があったローズ!…エヴリンは、まさか」
そこにフェイスイーターを片付けたらしい父さんが黒領域の向こう側に駆けつけたけど、私は泣き崩れるしかなくて。それで父さんもなにがあったのかわかったのか、その場で立ち尽くしてしまった。姉さんの力で無理矢理ここまで来たから私が帰る術もない。父さんの言葉を借りれば、詰んでいる。私は何もできずにここで朽ちて行くしかないんだ……。
「この程度で私を封じられると思うなよ」
次の瞬間、思わずゾクッと背筋に寒気が走る恐ろしい声が聞こえて、信じられないことが起きた。姉さんが取り込まれた部分を中心に、部屋中の黒領域が集束して行ったのだ。
「姉さん…?」
黒領域は私と同じぐらいの背丈の人型に集束されると、そのままぺたぺたと足音を立てながら私の真横を歩いて金の仮面を手に取り顔を隠す様にして仮面を持ち上げた。すると四肢に肌色が現れてスカートを始めに衣服を形成し、仮面の下の口元が笑みを湛えて仮面をずらすと、悪戯が成功したような表情を浮かべた姉さんの顔がそこにあった。
「あー、びっくりした。死んだかと思った」
「こっちの台詞だよ!?」
「おま、おまえ……姿が無くてローズが泣き崩れてたからやられたかと思ったぞ!?」
「私もヤバいと思ったけどさ。闇の中に引きずり込まれた時、声が聞こえたんだ。「お前の糧にしろ」って。そしたらやってみたらできちゃった」
「声?…それってどんな声!?」
思わず姉さんの肩を握って顔を近づける。声ってまさか。私も聞いていたあの声…?
「近い近い近い……いや男でも女でもない不思議な声だったけど…」
「どんな声だよ」
「私も聞いた声だ…」
「「え?」」
驚く二人を余所に回りを見る。黒領域が綺麗さっぱり消えて薄暗いしピアノが転がってるけど煌びやかな部屋が広がってる。なんだ。何が見ている?仮面の公爵じゃない。フェイスイーターでもエクスキューショナーでも、シャルルでもない。何かが私達を観察している。
「…誰?一体誰なの…!?」
私達しかいない空間に問いかけてみるが答えは返ってこない。不気味な静寂が広がるだけだった。
方法が別にあるならなにも馬鹿正直に謎解きする必要ないよねって。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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