BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
牢屋から脱出した私は、ついてきてくれる金色の文字と会話をしながら先を急ぐ。
「シャルルがいないと危なかった、ありがとう」
【お前が頑張ったんだ】
「ううん、私一人じゃ無理だった。私はシャルルや姉さん、父さんに助けられてここにいる」
【素直なのはお前の美点だな。ここは入り組んでる、案内するぜ】
立ちはだかるフェイスイーターを力を纏った拳で黙らせながら進んでいくと、いつぞやのキッチンに出た。あの閉じられていた扉の反対側に出たんだ。こっちに食堂があって、それで……二人が戦わされていたのは、最初に仮面の公爵がいたあの彫像の部屋だろうか?それとも別の部屋?そうだとするとどこに…。
【いよいよだ。家族を助けてその力から解放される時だ】
「…うん。今までずっとこの力と生きてきたから無くなるって考えると変な感じで複雑だけど、やっとこの力から解放される。その前に仮面の公爵はブッ飛ばすけど」
【それでこそあの二人の家族だよ】
「シャルルは父さんと姉さんとどういう関係だったの?親しそうだけど」
【……共犯者ってところだな。油断するなよ】
「わかってる」
食堂までやってきて、意を決して彫像の部屋への扉を開ける。そこには、何も変わってない部屋があって。中央には金の仮面が転がっていて、警戒しながらそれを彫像にはめるとカンテラが開いて結晶が顔を出し、それを手に取ろうとして…やめた。
「…父さんと姉さんは何処?」
「おや?取らなくてもよろしいので?」
「!」
瞬間、右腕に力を纏って拳を背後に叩き込むが、太い手で腕を掴まれて受け止められてしまう。そこにいつの間にか現れたのは、仮面の公爵だった。
「っ…放して!」
「がんばりましたなお嬢さん。ご褒美にそれを差し上げましょう。まるで本物の様に見えるでしょう?」
「!?」
その言葉に驚いて振り向くと、こうも苦労して手に入れようとしていた結晶が塵となって消えてしまった。そんな……。
「当然、レプリカですよ。こんな浅い階層に本物を置くわけないでしょう?ああ、それも知らないんでしたねえ」
「嘘だ、嘘だ……」
「まさかこの世界の秘宝と呼べるほどの価値のあるものを簡単に渡すとでも?罠には餌が必要ですからなあ」
「いや、嫌……!?」
すると足元に黒領域が現れ、私の身体が沈んでいく。こんなところで、こんな…こんな…!
「先程父ウサギと姉ウサギを呼びましたかな?安心しなさい、すぐ二人の元に送って差し上げますよ。地獄にね…!ヴェハハハハハハハッ!」
その言葉と共に私は完全に黒領域に飲み込まれてしまい……次に目を開けると、また牢獄の様な部屋だった。服に黒い汚れが付着している。辺りを見渡せば、目の前には趣味の悪いオブジェが飾ってあり、その上に全身をオブジェに突き刺され拘束された姉さんと、後ろ手に縛られたまま何とかしようとしている父さんがいた。
「姉さん!父さん!」
「ローズ!?お前、いつここに?それにどうした、その暗い顔」
「うぐっ、ローズまで、こんなところに……あの時感じたローズのピンチは本当だったんだ…」
「姉さん、父さん…また会えてよかった。私達が手に入れようとしていた結晶は偽物だったの。だけどなんで姉さんがこんな目に…?」
姉さんを助ける何かを探そうとすると、私たちを観察できる高所に仮面の公爵が陣取っているのを見つけてしまう。
「ヴェハハハハハッ!おや、見つかってしまいましたかな?なにはともあれ感動の再会ですな。父ウサギはともかく姉ウサギは厄介でした、ええ実に厄介でしたとも。黒領域を吸収されてしまってはねえ…物理的に精神的に押さえるしかなかった。彼女の弱点はウサギ、お前です。貴方を人質に取り、精神的に追い込んで私の作品として拘束する、そうして無力化しました。それは新時代の
「ぐうう…」
「ふざけるな!」
激痛に耐えているのか苦しげな姉さんの姿に、父さんが激昂する。しかし縛られている父さんは恐ろしくもなんともないのか、野太い嘲笑を上げる仮面の公爵。
「ヴェハハハハッ!面白いのはここから。貴方たちの最期にピッタリの場所です。私の傑作をお見せしましょう!」
奥の壁に黒領域が扉の様に出現し、そこから巨大な何かが現れる。それを見て私は絶句し、思わず目を背けた。それは、複数の私の死体が組み合わされたオブジェが動いている醜悪なバケモノだった。首というものが存在せず、複数の私の頭部が薔薇の花弁を思わせる形でくっ付いて蠢いている胴体に、大量の手を組み合わせてできている長い四肢、右手には中央に菌核がある黒領域でできた丸鋸が回転して火花を散らしている。
「名を、
「最悪!本当に、反吐が出る!」
「好きにおっしゃいなさい。父親は縛られ、姉は磔。貴女に何ができる?さあ、ショーを始めなさい!」
「アァアアアァアアアアアッ!」
「ローズ、背中のショットガンを取れ!」
「わかった!父さんは逃げて!」
父さんの背中にかけてあったショットガンを受け取り、悲鳴の様な咆哮と共にギュインギュインギュィイイイイイン!と回転する音を鳴らし石の壁に当たって火花を散らしながら丸鋸を構えて歩いてくるローズガーディアンの一撃を避ける。ぶんぶんぶんと振り回されるそれから必死に逃げる。
「なんともまあ惨めですねえ。泣き叫びながらお逃げなさい!」
嗤う仮面の公爵。確かに凶悪な攻撃範囲だが、隙だらけだ。前に戦ったローズデッドより戦いようはある!
「悪く思わないでね!」
ショットガンを私の顔だらけの胴体に叩き込む。すると表面が吹き飛んで内側の黒領域と、その中央に輝くオレンジ色の光が見えた。こいつ、黒領域で私の顔を再現しているだけだ。しかしすぐにローズガーディアンの胴体は再生、左手を鞭のように振るって私の首を掴んできた。
「アァアアァァァァアアアアァアアッ!」
「ぐうう!?」
「ローズに手を出すな!」
首を締め上げられもがいていたところに、父さんが横から体当たり。ローズガーディアンを怯ませて私を解放させるも、自身も倒れてしまう。あれじゃ立ち上がれない、格好の獲物だ。
「こっち!こっちを見て!」
「ああ、なんという愉悦!ヴェハハハハッ!」
なんとかこっちに引きつけようとショットガンをぶちかますも顔が潰れるだけで、丸鋸を振り上げながら父さんに歩み寄ろうとするローズガーディアン。すると父さんは倒れたまま足を正座の如く縮めると無理やり縄跳びの様に自分の足を腕の間に潜り抜けさせ、立ち上がり手錠で丸鋸を受け止める。ギャリギャリギャリ!と火花を散らしながら金属音と共に砕け散る手錠。そこに父さんはストレートパンチをローズガーディアンの胴体に叩き込む。
「…最悪なことにな。お前も家族だ、顔だけな」
「アアァアアァアアアアアアァアアアッ!?」
殴り飛ばされ、吹き飛ぶ巨体。完全に露出したオレンジ色の光……菌核に、右手の力を叩き込むと頭部の一部が弾け飛ぶ。効いてる…!けど、まだ足りない!あと一発叩き込めば倒せそうだけど…!
「無駄な抵抗を…なんと可愛らしいことでしょう!死に抗う命の輝き…いくらでも見ていたいものですな!」
「言っとけ!表面を剥がせばローズの力が効くようだ!集中攻撃するぞ!」
「わかった!」
父さんがハンドガンで、私はショットガンで一斉攻撃。しかし丸鋸の黒領域を肥大化させて盾の様に展開したそれで弾丸を全て弾かれてしまう。なんてやつなの…!?
「か弱いウサギたちが足掻く姿…たまりませんな!」
「くそっ…!?」
ローズガーディアンの左腕が下から伸びてきて父さんの足が掴まれ、引っ張られて振り回され石壁に叩きつけられる。私にも丸鋸が振り下ろされ、咄嗟にショットガンを盾に受け止めて弾き飛ばされ、転がったところに丸鋸が振り上げられる。ダメだ…!?
「…うぐぐ……ローズに手を出すなあ!」
「ァアアアァァアアッ!?」
瞬間、磔にされている姉さんから衝撃波が放たれて丸鋸を構成している黒領域が弾け飛び、さらに転倒しながらも父さんが撃ったハンドガンの弾丸が左手を撃ち抜いて妨害する。今だ!零距離でショットガンをぶちかまし、露出した菌根に力を叩き込むと断末魔を上げてローズガーディアンは崩れ落ちて黒領域へと溶けてしまった。
「おお、素晴らしい!これまでのウサギと違って手ごたえがありますな!そろそろ悲劇が見たいものですな、場面転換といきましょう!」
「はあ、はあ……え?」
「くそっ、エヴリン!」
父さんが姉さんを無理やり棘から引っこ抜いて助け出す中で、ローズガーディアンだった黒領域が広がり始めて、扉が開く。無理やり移動させようって言うの…!?
「急ぐぞローズ!なんとか脱出するんだ!」
「わかった!」
結晶の事は今は忘れよう。今はこの悪夢からの脱出を!
・ローズガーディアン
仮面の公爵の傑作である薔薇の守護者。名前に反してローズを始末することに特化している。大量のローズの顔がひとまとめになっている気色悪い怪物。元ネタはサイコブレイク2のガーディアン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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