BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
全身から血を垂れ流してぐったりしているなんかちょっと大きくなったような気がする姉さんを父さんが担ぎ、黒領域から逃げる様に開かれた扉の先を急ぐ私達。聞き覚えのあるというかついさっきまで聞いていた叫び声が聞こえて思わず振り向けば、バラバラになった私の複数の頭部が集まるようにしてあの怪物が再生しているのが見えた。
「
「最ッ悪!死ねばいいのに!」
「相手をするな、生き延びる事だけを考えろ!」
「アアアァアアアァアアアアッ!殺してッ!殺してェエエエエッ!」
「!?」
ギュインギュインと丸鋸を回転させながら迫りくるローズガーディアンの絶叫が自我のあるものに変わっていることに驚く。ただ復活しただけじゃないの!?
「おやおや。一度倒されたせいで自我が起きてしまいましたか。ウサギの悲鳴は心地いい物ですねえ」
「……父さん。私、黒領域を全部消してみる。あれさえなければあの子たちはもう、復活しない筈…」
「…できるのか、じゃないな。お前ならできる。時間稼ぎなら任せろ!エヴリン、起きてるな!?しっかり掴まっていろ!」
父さんにショットガンを渡し、父さんを信じてその場で止まり、振り返って右手に意識を集中させる。この黒領域を発生させている中核……それを見つけて破壊する。
「降参するにはまだ早いですよ。もっと抵抗してみせてください」
「言われなくてもな!」
父さんの前蹴りがローズガーディアンの胴体の私の顔の一つに突き刺さる。父さんが嫌そうな顔をするが、すぐに迷いを振り払ったのかショットガンを乱射。
「アァアアァアアアアッ!?」
「うおおおおおおおっ!」
怯んだ隙に黒領域で形成された丸鋸のくっついた右手をショットガンで撃って構成を甘くすると手首を掴み、無理やり引きちぎった丸鋸をそのままローズガーディアンに叩きつけて表面を吹き飛ばす父さん。
「ローズみたいにはできないが……弱点なのに変わりはないだろ!」
胴体の中央にある菌核を露出させるとハンドガンを半固体のそれに突っ込み零距離乱射。弱点である菌核を何度も撃ち抜かれたローズガーディアンは怯むも、すぐに胴体の顔を全て再生させて幽鬼の如き表情で左腕で父さんに掴みかかる。
「アァアァアア!?「痛い」「やめて」「苦しい」「姉さん」「楽になりたい」「ずるい」「あいつだけ」「殺す」「死んでよ」「許さない」「邪魔しないで」「何でこんな目に」「ひどい」「もういやだ」「父さん」「死にたい」「助けて」ころ、して…」
「くそっ…!?」
顔それぞれが恨み言を言ってくるローズガーディアンに泣きそうな顔になり首を絞められ苦しむ父さん。助けるためにもと意識を集中する、だけど駄目だった。力が足りない。見れば丸鋸がほどけていくつもの手に枝分かれした右腕がショットガンとハンドガンを取り上げて父さんと姉さんを締め殺そうとしていた。このままじゃ…!
「…シャルル!シャルル!お願い!助けて!力がいるの!父さんを死なせたくない!あの子たちを、楽にしてあげたいの!」
今は結晶はどうでもいい。今この時が大事だ。シャルルにしかもう頼れない…!すると、金色の文字が躍った。間髪入れずそれを追っていく。
【こっちだ】
「シャルル…!」
【俺の存在が奴にばれるかもしれないが言ってる場合じゃないな。お前の叫び、痺れたぜ】
「三つ目のフラスク…!」
その先には三つ目のフラスクが置いてあって。手を伸ばして手に取る。…よし!右手をかざす。目標は天井、そこに巨大な菌核が存在する…!恐らくあれが、この城で黒領域を出現させていた元凶…!
「はああああああああああっ!」
「な、なんですとお!?」
パワーアップした力で黒領域を押しのけ、その内部に隠れた巨大な花にも似た菌核に干渉する。瞬間、父さんと姉さんを投げ捨てて再び丸鋸を形成してこちらに襲いかかるが、届く前に黒領域が石灰化して崩れ、その動きが止まる。見れば、菌核は完全に石灰化して崩れ落ちて行き、崩れた先には灰色の空が見えた。
「アァァアアアア「ありがとう」アァアアアッ!?」
断末魔と共に私の顔の一つが言葉を残して、ローズガーディアンと黒領域は完全に崩れ去って行った。それにおかんむりなのは、見物していた仮面の公爵だ。
「ええい!こんなつまらない筋書きがあってたまるか!こうなれば私自らの手で…!」
「え?」
むんずと石壁を掴み、その巨体を翻して私の目の前に着地。ダウンしている姉さんを担いだ父さんと私の前で、でっぷり太った体が毛むくじゃらに、手の指にも爪が生え揃い、靴を突き破って現れた脚は獣そのものに。仮面で隠した顔の唯一露出している口元に牙が生え揃い、耳が尖り四つん這いになる。あまりにも太っているが、その姿は狼男を彷彿とさせた。
「……ライカン」
「ライカンなどと一緒にしないでいただきたい!わたくしはハンター。即ち、ウサギを狩るオオカミなのですよ!」
その巨体からは信じられない速度で地を蹴り、私を掴んで上空、天井が抜けた灰色の空に飛びだす仮面の公爵。屋上に投げ出され、雪の中を転がる私。さっきまで黒領域に包まれて真っ黒だったのが真っ白に変わって目が痛い。
「これではあの方が満足されない!見せ場がまったく足りませんよ!」
「知るかあああああ!」
ドスンドスンと音を立てながら四つん這いで突撃してくる仮面の公爵の顔面を、力を纏った右拳を振るいカウンターでぶん殴る。すると仮面に罅が入って怯む。…あの仮面が弱点か!
「ウサギの分際で……よくもやってくれましたなああああああ!」
「ぐっ!?」
両手を振り上げ、重量に物を言わせたストンプの連打を繰り出してくる仮面の公爵の攻撃から必死に逃れる。屋根を上って上の方に……そう移動しようとするも、一跳躍で先回りされてしまう。なんでこんな重量級なのに飛べるんだク○パかなにか!?
「さあ終わりにして差し上げましょう!ひと思いに!」
「行けっ……エヴリン!」
「え!?」
「ローズに手を出すなァアアアアッ!」
すると、地下に置いてけぼりにされていた父さんの方からそんな声が聞こえたかと思えば、姉さんが空中に飛びだしてきて度肝を抜いていると、なんと両手を後ろに回して衝撃波を放ってその反動でこっちまで吹っ飛んできて仮面の公爵の顔面に飛び蹴りを叩き込んできた。さらに仮面に罅が入る。まさか、父さんがぶん投げて、衝撃波を使って飛んで来た!?復活したみたいだけどそんなことできるようになったの!?
「なんですとぉおおおおお!?」
「やっとぶっ飛ばせた!黒領域たくさんくれてありがとね!おかげでなんか生前より強くなったよ!オラア!」
姉さんが下に衝撃波を出した反動で飛び膝蹴りをその巨体の顎に叩き込み、牙が折れてよろめく仮面の公爵の巨体。仮面にダメージはいってない、直接殴らなきゃダメなんだ。
「おのれえ!出来損ないめがあああ!」
「ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!鬼さん…じゃないか。狼さん!こちら!手の鳴る方へ……ギャァアアアアアアアア!?やっぱり怖いぃぃぃぃ!?なんかデジャヴぅうううっ!?」
「台無しだよ姉さん」
怒った仮面の公爵のストンプを、パンパンと手を叩きながらひらりひらりと避けて行く姉さんだったが鬼の形相を間近で見てしまったからか泣き出してしまった。それでもちゃんと避けて煽っているのが姉さんらしいけど。あの巨体の顔に攻撃を当てるには…跳ぶしかないか?
「姉さん!」
「ほいきた!」
右手に力を溜めながら姉さんに呼びかけると一度仮面の公爵を衝撃波で吹っ飛ばしてから手を組んでくれて、その組んだ手に足を乗せてトスで投げ飛ばしてもらう。その先には、怯んでいる仮面の公爵の仮面に覆われた顔が。
「これは、これまであなたにやられた私達の分だ!」
そして右ストレートパンチ。仮面は砕け散り、同時に城が崩れ始めて私達は落下した。
落下した私は、父さんに受け止められ無事だった。姉さんは特に問題なく受け身を取って着地している。
「よっと。無事かローズ?」
「うん、なんとか…ありがとう父さん」
「私の心配は?」
「いらないだろお前は」
そんな会話をしている中でも城が崩れて瓦礫が落ちてくる。これは…城というより世界が崩れている?すると地下室のさっきまで座っていた場所に、仮面が砕けて虚無の穴になっている顔で憤慨している仮面の公爵を見つけた。狼化も解けている。
「そんな、この私が…!?役立たずにもほどがある!この私自身にがっかりだ!ああ、申し訳ありませんマザー……」
「マザーだと?」
「なぜだ、私の計算は完璧だったはずだ……なにがおかしい?なにが原因だ?……そうか、そうか!そうですなあ!それが原因で間違いなぁあああい!」
「なんのこと?」
何か勝手に一人で納得している仮面の公爵に問いかけると虚無の穴になっている顔をこちらに向けてにっこりと狂った笑みを浮かべる。思わずぞっとする。
「オリジナル!貴方の力は強大だ!だがしかぁし!私は単なる餌を与える保育士に過ぎなかったようだ!あなたは愛する者の手で滅ぶことになる…!ヴェハハハハハッ!どちらにせよ、逃れることなどできませんよ。この世界からはね……!」
「「「!?」」」
そう言って仮面の公爵は石灰化して崩れ落ち、同時に地下室の底が抜けて私達は奈落に落ちて行った。
仮面の公爵獣。かっこよく聞こえるけど実際はでっかいデブのライカンである。
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黒領域を消し去られた仮面の公爵が最後の手段として己をライカン化させたクリーチャー。見た目からは想像できないほど身軽で素早く、パワーも強い。弱点は仮面。ゲーム的には仮面に三回物理攻撃を当てると勝利できる。
というわけで第一層突破です。次からはみんなのトラウマ第二層。正直に言うね。……書くためとはいえあそこを見返したくないです(本音)
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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