BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回弱音は吐いたけど流れは決めてるので進行はご心配なく。怖いものは怖いけどね。楽しんでいただけると幸いです。


ダイブⅩⅧ【第二層】

「なんだ?何が起きている?」

 

 

 祭壇の様なところで、その人物はいら立ちのままにその場をうろうろしていた。周りには、黒いローズのなれの果てが転がっている。

 

 

「“仮面の公爵”が敗れた、それはいい。あの男とできそこないがいるのだからありえないことではない。哀れな残滓共(レムナンツ)め……どこまで邪魔をする?いや、それはいい。問題はあのできそこないの異常な力だ。なんだあれは?」

 

 

 祭壇に置かれた山の様な資料を手に取りながら目を移すその人物。そこには、動画の様にある一定の範囲を切り取ったかのように何度も再生する写真が貼られていた。ローズやイーサン、エヴリンの暴れっぷりが撮られている。

 

 

「仮面の公爵め、気付いたのなら伝えてから死ねばよいものを……いや待て。ここまで強大な力を持てるのはこの世界でただ一人……そうか、そうか!降臨せしめたか!上手く行けば我が目的も……」

 

 

 そう言ってその人物…マザー・ミランダは悪意に満ち溢れた表情を浮かべた。

 

 

「できそこないなりに役に立ってもらうぞ。お前は生贄だ、せいぜい我が大願の糧となれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 崩れ落ちる城の地下から飛び降りた私達。感じたのは、水に沈む感覚。菌根の世界に入った時と同じだ。水中に何故かいくつも窓が見える中をもがきながら落ちて行く。

 

 

「おい、起きろ!ローズ!」

 

「しっかりして!ローズ!」

 

「はっ!?」

 

 

 呼びかけに応えて眼を開けると、そこは雪に覆われた寂れた狭い道だった。抱き起してくれたのか私を抱えて安堵している父さんと、ぺたんと女の子座りして脱力している姉さん。二人とも無事だった。それにここ、外だ……城の中じゃない、城の窓から見えていたあの外だ。地下から落ちたはずなのにどうして…!?

 

 

「ここは一体どこ?落ちたはずじゃ…」

 

「多分、仮面の公爵が浅い階層とか言ってたから、菌根の世界の……こう、重なり合ったいくつもの世界の一つなんだと思う。さっきまでいた場所を第一層とするなら、第二層」

 

【そうだ、「城」より深い階層だ】

 

 

 姉さんの説明を、地面に現れた金色の文字が補完する。よかった、シャルルも無事だった…。

 

 

「階層?」

 

【そうだ。深くなれば帰るのは難しい。帰る気があるなら早く帰れ】

 

「その方法は、わからないんだよね?」

 

【俺がそもそもここから出られないからな】

 

「…どっちにしろ、まだ帰れない。あの結晶を手に入れる。化け物…じゃないことは、姉さんと父さんのおかげで納得できて来たけど………結晶を手に入れないと、黒い私達が犠牲になった意味もなくなる気がする……」

 

 

 もう私だけのわがままじゃない。この手で殺した、背負ってしまった。仮面の公爵を倒しても、結晶を手に入れなくちゃ黒い私達の犠牲に意味がない。浄化結晶を手に入れて、友達を作って、呪いを解いて、普通の生活を手に入れる。それが手向(たむ)けになると思うから。

 

 

【それなら、探すか。父親に負けず劣らずの頑固者だな】

 

「ああ。俺の自慢の娘だ。それなら本物の結晶を見つけるには下の層を目指していくしかないわけだが……帰れるのか?エヴリン。シャルルはこんなこと言っているが」

 

「分からない。もう一人の私の記憶も何故か薄れていて……この世界に関することは何もわからない」

 

 

 父さんの質問に姉さんが応える。もう一人の私というのは16年前の決戦の際に姉さんと融合したっていうもう一人の姉さんのことだろうか。この世界に詳しかったのかな。

 

 

「だがひとつだけわかることがあるな。あいつ、マザーとか言っていた」

 

「この世界に関係する奴でマザーと言ったら一人しかいないね」

 

「それってまさか…」

 

「「「マザー・ミランダ」」」

 

 

 その名は自然と出てきた。16年前、私を誘拐した張本人。エヴァという娘を復活させる憑代として私を利用しようとして、父さんと姉さんに倒された聖母(マザー)とは名ばかりの魔女の名だ。そもそもここに来たのは、ケイの提案でマザー・ミランダの記憶から知識を何か探れないかと考えての事だった。

 

 

「ミランダの馬鹿が仮面の公爵の言っていた「あのお方」の可能性が高い。もしあいつが生きているなら目的は十中八九ローズだ」

 

「ミランダの馬鹿はしつこさは別の事に向けて欲しいぐらいピカイチだから……」

 

【ミランダの馬鹿野郎は本当にしつこいからな】

 

「そこまで言う?というかシャルルも知ってるの?」

 

【よく知っている。嫌という程な】

 

「シャルル。シャルルマーニュ……お前は、そうか」

 

【おっと。気付いてもお口にチャックだぜイーサン】

 

 

 何かに気付いたらしい父さんだけどシャルルに口止めされてる。なんのこっちゃわからないけど、ミランダがしつこいのはよくわかった。その後、私にハンドガンを預けた父さんがショットガンを手に辺りを散策、私達はひとまず休むことになった。父さんも休んでほしいんだけどな、と体育座りしてリラックスしている姉さんに視線を向ける。…あれ?

 

 

「そう言えば姉さん、またちょっと大きくなった?」

 

「え、あ、うん。仮面の公爵が私を排除しようと黒領域を津波の様に押し寄させてきたから…」

 

 

 金の仮面を手に入れる前と比べたらさらに大人びた雰囲気がある。私と同じ高校生を越えて大学生に足を踏み込んだ印象だ。本当に私の姉って感じがする。

 

 

「これなら姉さんと呼んでも違和感ないね」

 

「ははは…全然この身体に慣れないんだけどね。それが隙になってあんな無様に捕まっちゃうし…まるで借り物の身体を使ってる気分。まるで肩まで水に浸かっている様に身体が重いんだよね。こんなことなら普段から大きな姿でいればよかった。思えばもう19年以上もずっと同じ子供の姿でいたんだけど」

 

「ただ力が強くなっただけじゃないんだ…私と逆だね。私はフラスクを手に入れるたびになんかこう、解放される感じがしてる」

 

「羨ましいなあ……大きくなってローズの力になれると思ったけど、逆に足手まといになりそう」

 

「衝撃波で空飛べる人が言う台詞じゃないと思う」

 

 

 いやほんとに。フェイスイーターを吹き飛ばすだけじゃない、テレビ越しに使えて、空も飛べて…もう超能力者とか言われた方が納得するかも。すると父さんが苦々しい顔で戻ってきた。

 

 

「どうしたの、父さん」

 

「嫌な報告?その割に銃声も聞こえなかったけど」

 

「…手がかりを見つけたんだが、な。とりあえず来てくれ、多分危険はない」

 

 

 そう言われて先導する父さんについていく。霧の濃くて狭い道だ。

 

 

「第一層がドミトレスクの城だったが、第二層はおそらくドナの縄張りだ」

 

「ドナって?」

 

「えっと……黒づくめ陰キャ?」

 

「ぶふっ。姉さん、なにそれ」

 

 

 あまりにもひどいあだ名に思わず吹き出してしまう。悪意しかなくない?

 

 

「ドナ・ベネヴィエント。エヴリンの言う通り黒づくめで無口な女性で…アンジーっていう…エヴリン曰くクソガキ人形を連れた人形遣いだ。直接戦ったわけじゃないんだが……まあ苦しめられた」

 

「ホラー的な意味で。赤ちゃん怖い」

 

「ええ…?」

 

 

 大人の姿で本気で怖がっている姉さんに首をかしげていると、前方に妙なものが見えてきた。可愛いサルのぬいぐるみがメッセージカードを持って看板の様に飾られていた。

 

 

「【けっしょうがある所 知ってるよ】」

 

「…なに、これ?」

 

「俺が聞きたい。…が、ここは現実では不気味な人形が吊られていたところだ。ドナの領域で間違いない」

 

「私あの赤ん坊本当に駄目なんだけど」

 

「漏らしてたもんなお前」

 

「ローズの前で言うなー!?」

 

 

 あ、そういう……優しく見守ってあげよう。とか思いながら先に進んでいたら父さんの足が止まる。不思議に思って前を見てみる。キーキーと音を鳴らして無人のベビーカーがゆっくりと走って来ていた。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

 思わず三人で顔を見合わせる。そして深呼吸。

 

 

「……やっぱり帰ろう」

 

「「異議なし」」

 

【残念ながら帰る方法は知らないぜ】

 

 

 あんな決意しといてなんだけどごめん、黒い私達。グロいのはいいけどちょっと無理。




現在、エヴリンの身体年齢21歳ぐらい。マザー・ミランダすらわかってなかったその異常の正体とは。エヴリンレムナンツ全編を読んでいたらなんとなくだけどわかるかもしれませんね?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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  • 真エヴリン(7編の老婆エヴリン)
  • 16年後の本編エヴリン30代(ローズ編)
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