BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「やだやだ進みたくない!ベビーやだああ!?」
「姉さん、そんな子供じゃないんだから…」
「大人になっても頭脳は子供!迷宮入りの迷探偵!真実は見たくない!」
「嘘つけお前の精神年齢、30…げぶっ!?」
大人の姿で大人げなく泣き喚いて地面に寝そべりじたばたする姉さんに、私と父さんは溜め息を吐く。私は腹を括ったのだから泣き言を言わないでほしい、決意がぶれるから。あ、余計なことを言った父さんが起き上がる勢いで殴られた。
「二度と丸呑みされたくないの!すっっっっごく怖くて狭くて寂しかったんだから!」
「ベビーが出ると決まってるわけじゃないだろ!」
「絶対出るでしょ!?じゃあなんのためのベビーカー!?なんで勝手に動いて来たのさ!?」
「姉さんが強すぎるからビビる要素で脅かしているだけじゃない?」
「そうだとしたら、効果は抜群だ!だよ!」
「「……」」
「え、なに二人とも?顔を見合わせて頷いて、無言で近づいて来て…やあだあ!?」
もう埒が明かないので、父さんと視線を交わして頷き、ずんずんと近づくと姉さんの手を一つずつ握って引き摺ってベビーカーの元まで向かう。姉さんは抵抗するけど、私達に衝撃波なり出したら死んじゃうから本気で抵抗できてない。ベビーカーまで来ると、見覚えのあるものがメッセージカードを持って入っていた。
「またぬいぐるみだ。なんか見覚えがあるんだけど……【トモダチになろう】だってさ」
「誰が友達になるかあ!?」
「どうどう」
さっきの入り口にあったサルのぬいぐるみと同じものだ。ブチギレてぬいぐるみを手に取りバラバラに引き裂いてしまう姉さん。まあ気持ちは分かるけど可哀想な気もする。とりあえずぬいぐるみをバラバラにして気が済んだのか落ち着いた姉さん、父さんと共に進んでいくといっそう不気味なものがあった。
「…墓?【LET'S PLAY】【はやくおいでよ】って書いてあるけど」
「元は多分ドナの家族の墓だ」
「遺体の代わりにぬいぐるみが納められてるね。見覚えがあるような気がするけど、罰当たり…ひん!?」
ギギィーと音を立てて奥の建物の扉が開いて姉さんの肩が跳ねる。また逃げ出そうとするのを父さんに襟元を掴まれて阻止された。
「ベビーじゃないとしてもやだー!絶対ホラーだもん!私ホラー駄目なのぉ!」
「存在そのものがホラーみたいな奴がなに言ってる。いくぞ!」
「それもなかなかひどくない!?」
「何が出てきても姉さんの衝撃波で全部吹き飛ばせばよくない?」
「それもそうだね!」
クルクルクル。姉さんの掌返しがすごい。私達が入ると自動的にしまった建物は洞窟になっていて奥には昇降機があったので、特に驚きもしない父さんの先導で乗り込むと上昇を始める。三人だとちょっと狭いな。
【ここはおかしい。用心しろ】
「どういう意味だ?シャルル」
【邪魔が入ってる】
「シャルル?」
「え、なに、いきなり消えるの怖いんだけど!?」
エレベーター内の壁に踊っていた金色の文字が、まるでノイズがかかるようにして消えてしまった。同時に今度は世界そのものにノイズが走り、昇降機が古ぼけた物から立派な造りのエレベーターに変化、スピードが上がる。
「…雰囲気が変わった?」
「なんか見た目が違うような…?」
「…シャルルは締め出されたか。得体の知れない何かがこの先にいると言う事か」
そしてエレベーターが止まり扉が開くと、巨大な猿のぬいぐるみが左右に置かれ、壁にも普通サイズのぬいぐるみが飾られ【WELCOME ROSE】と書かれている部屋に出た。
「なにこれ……なんなのここ……?」
「…屋敷の中に直通だと…!?」
「ここ地下だったはずなのに上にあるし、もう色々バグってるよ!?」
「そ、そうだよね…あの建物から上に行くこと自体ありえない…」
精神世界だからと言っても限度があると思うのだけど。
「左の扉は錆びついてて開かないな。進むしかなさそうだ」
「このぬいぐるみバラバラにしていいかな?」
「好きにすればいいと思うよ…あれ、これって…」
奥に続く廊下に置かれた手記を手に取り中身を見て、思わず取りこぼす。なんでこれが、ここに…!?
「これは……」
「どうしたの、ローズ?【1月5日。今日から小学校に通うことになった!ずっと行きたかったの!クリスにおれいをいわなきゃ。父さんと姉さんは何か心配しているようだけど、テレビや本でよんだとおり、わたしと同じ年の子がいっぱいいた。あいさつするのは少しきんちょうしたけど、それよりずーっとワクワクしたよ。お友だちがたくさんできるといいな!明日は、わたしから話しかけてみよう】…これってローズの日記…?」
「もうやめて!……お願い」
姉さんの口から語られるかつての私の記録に、嫌な記憶が嫌でも思い出される。ルーシー、キャサリン……なんで、なんで……。
「…ふんっ!」
すると、姉さんが手記を手に持って半分に裂くとそのままビリビリに引き裂いてしまった。驚く父さん。
「エヴリン?お前、それ何かヒントがあったんじゃ……」
「魂胆は見えた。こんなもの、ローズのトラウマを刺激するだけで意味なんてない。…ここはそう言うところなんだと思う」
「…なるほどな。ローズ、気にするな。思い出すことなんてない。お前は何も悪くない」
「でも、皆は普通だっただけだよ……私は普通じゃなかったから…」
白い汗なんか出して、何時も汚れたハンカチを持っていた私が悪かったんだ。やっぱり私は、普通じゃないから……。
「落ち着け!…お前も知っているだろうが、ローズの生きている世界はアンブレラや、奴らの生み出したゾンビの存在でそう言うことに敏感になっている。潔癖症が過ぎた世界だ。悪いのは世界と、それに流されている馬鹿達だ、お前じゃない!」
「でも、でも……」
「ローズを害するものは私が全部ぶっ壊してやる。だから安心して」
「姉さん…」
腕まくりする姉さんに苦笑する。うん、弱気になったらだめだ。何時まで経っても抜けられない。
「なんで私の絵があるの…?」
「…構図はいいな」
「普通に上手いね」
その後、何故か私の肖像画が飾ってある廊下を抜けてサルのぬいぐるみだらけの部屋に出る。その中心には、バースデーケーキと、鳥かごに入れられた白く輝く結晶体が置かれていた。
「これって浄化結晶…!?」
「なんでこんなところに…」
「…待て、近づくな!」
私と姉さんが近づくと父さんから警告の声。同時に停電した様に照明が点滅し、ブラックアウト。どこからともなく音楽と共にその声は聞こえた。
《「さあ、遊ぼう!武器はいらないよね!イーサンと~、私の力も没収!」》
「え?私?なに?なに!?」
「なんだ!?ぐああああああああっ!?」
「父さん!?父さん!返事をして!」
聞こえてきたのは何時も聞いていた幼い姉の声と瓜二つの声。姉さんの困惑する幼い声も聞こえて、父さんの苦悶の声が上がる。そしてほのかな明かりがつくと、そこには……
「嘘……私、元に戻っちゃった…!?」
「父さん!?父さんもいない!」
大人じゃない、元の小さな姿に戻った姉さんだけがいて。父さんの姿は何処にもなく、銃などの持ち物も全部なくなっていた。持ち物だけじゃない、父さんまで没収された…!?
《「これで無粋な邪魔はなくなったね!―――――――せいぜい私を愉しませてね」》
シャルルとイーサン、ついでに持ち物没収。エヴリンは力を失い、敵はエヴリン。第二層の試練開幕です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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