BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
《「これで無粋な邪魔はなくなったね!―――――――せいぜい私を愉しませてね」》
父さんを消されてしまい、子供に戻ってしまった姉さんと同じ、だけどおどろおどろしい天の声が響く。目の前には手術室の様に様変わりした部屋と、手術台に乗せられたお腹に雑に縫った跡がある猿のぬいぐるみが。
「父さんは!?父さんはどうしたの!?」
《「イーサンなら今頃別のところで追いかけっこしてるよ。追い出したかったけどできなかったからしょうがないね」》
「父さんを返してよ!」
《「やだよ。なんでお前の命令を聞かないといけないのさ。イーサンとはもう二度と会えないよ。会えないままどっちも死んでしまうからね!」》
「っ……思い通りになってたまるもんか!」
そう奮起していると、姉さんが手術台の上に乗ったぬいぐるみを一生懸命見ようとしていた。可愛い。小さな姉さんなんだか久々だ。
「ちょっ、今の私にギリギリな高さなの嫌がらせでしょ…腹部が縫い付けられてる…?中に何か入ってるみたいだけど」
「武器は取られたし、そもそもこれを切れる物持ってなかったよ……姉さん、これ」
私が見つけた台の上に置かれた手紙には、【“「おいしゃさんごっこ」しよう!この子を助けてくれたらけっしょうをあげるよ”】とあった。
「…なんで私と同じ声なのか分からないけど……幼児なの?」
《「なんだとお!?お!ま!え!た!ち!に!合わせてやってるの!」》
「煽り耐性なさすぎない?」
姉さんが虚空に煽るなり反論してくる声に思わず呆れる。姉さんより精神年齢が低いかもしれない。
「どうせこれやってもくれないんでしょ知ってるよ」
「だよね…」
《「やらないのは自由だけど永遠にこの暗闇の中だよ」》
「よしやろう!すぐやろう!」
「姉さん怖いの苦手だもんね…」
怖さを紛らわす様に奥の通路に走って行く姉さんを追いかけて行くと、ジミーの部屋と書かれた鍵のかかった赤い扉があった。どうしようもなさそう。
「じゃあこっち!ギャー!?」
「姉さん!?」
引き返してジミーの部屋とは反対側の扉を開けて飛び込むなり引っくり返る姉さん。見れば、床がびしょ濡れになっていた。シンクから垂れ流しの水が溢れだしていて滑った様だ。
《「ッハハハハハッ!愉快愉快!」》
「笑うな!」
「なにこれ」
ホラーが始まったかと思えばコメディな件について。
「まったくもう…なにこれへったくそな絵。ぷぷー」
《「お前のと同じ絵だよ!?」》
廊下に出るなり壁に描かれていた絵を見て笑う姉さんに今度は天の声が怒る。……争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!って言葉を思い出したけど言ったら怒られそうだから黙っておこう。
「…うん?さっきのさるの絵?」
「…それと、鋏を持った姉さんかな?」
奥まで進むと壁にかかっていたこれまた下手くそな絵の描かれたスケッチを手に取る。裏には【“とにかく詰め込んだロッカー、本棚の写真立て、読書家の机”】と書いてあった。…ハサミが欲しいならここを探せってこと?奥は…書斎、かな?
「六桁の番号で開く錠があるね。めんどくさっ。123456っと」
「そんなんで開くわけないじゃん…」
「ギャー!?」
姉さんが六桁の番号を適当にやったら上からマネキン人形の残骸が降って来て姉さんが悲鳴を上げる。
《「アッハハハハハハハッ!フッヒッヒッヒッ!ひっかかった、ひっかかった!ばっかでー!」》
「やってることがさっきから子供のいたずらなんだよ!?」
「あ、“とにかく詰め込んだロッカー”あったよ」
姉さんと天の声のやりとりに呆れながら何気なく近くのロッカーを開けると、これでもかと詰め込まれたロッカーだった。壁には02と書かれている。
「02だって」
「どれどれ…あ、ここは錆びついてて開かないんだ」
ガタン!
「ギャー!?」
ロッカーの傍の扉を調べて拍子抜けしてたらいきなり音を立てて揺れて悲鳴を上げる姉さん。姉さんが叫んでくれるから怖がる暇がない。これが父さんの言ってたエヴリン効果※か。
※イーサン命名。どんなに怖い場所でも勝手に怖がってくれるエヴリンを見て冷静になる効果
「“読書家の机”はこれかな?66…」
「本棚の写真立てはこれかな。44だって」
えーと、並べると…024466か。姉さんが123456に合わせてたからすぐに変更できた。
「半分当たってたじゃん!」
「たしかに」
カチンと音が鳴り、戸棚を開けると血塗れのそこにハサミが置かれてあった。
「あー、懐かしいなあ。これをイーサン、ベビーに突き刺して逃れたんだよなあ」
「どういう状況!?」
パリーン
「「ギャー!?」」
姉さんのよく分からない言葉にツッコんでいると何か皿の様なものが割れた様な音が聞こえて姉さんと抱き合う。さっきから姉さんを見て我慢してたけど普通に怖いって!
「と、とりあえず戻ろう…?」
「うん、そうしよう…っ!?」
ハサミを持って、来た道を引き返すと、廊下の天井から大量の腕が吊り下がっていて普通にビビる。
「いえーい、はいたっちー(棒読み)」
「そんなの掴んだら絶対どこかに引きずり込まれるからあ!」
あまりの恐怖に手を伸ばしてハイタッチしようとする姉さんを引き止める。あれ、これ人形の腕だ…ビビって損した。人形が動くわけないもんね。とか思ってたらシンクの部屋直前で落ちてきたので渾身の力で蹴り飛ばすと壁にぶつかって砕け散った。心臓止まるかと思った。
「ナイスシュート」
「嬉しくない」
手術台の部屋に戻り、手術台の上の猿のぬいぐるみと向き直る。…姉さんじゃ手が物理的に届かないから必然的に私がするしかないんだよね…?ハサミを縫い目に合わせて切って行く。すると暗転。驚きながらも手を止めずに進めると、ほのかな灯りがつくのと同時にとんでもないものが出てきた。
《「イタイよ、イタイよ………アッハッハハハハ……」》
「お人形遊びが得意なんだね!」
すると天の声がまるでぬいぐるみの声を代弁する様に喋ったかと思えば笑い出し、姉さんが皮肉る。手に入れたのは幼子の形に模られたレリーフ。こんなもの入っていたら切れる訳がないのにどうなってるの…?いや精神世界だから何もおかしくないのか?
《「ぬいぐるみが可哀想ー。そんな遊び方じゃー結晶はあげられないよ!」》
するとぬいぐるみの裂け目から黒いドロドロ……黒領域にも似たものが溢れだして急速にぬいぐるみが黒カビに侵食されていき思わず後退する私達。
「ふざけんな!」
姉さんが私の手と机の縁を掴んで舞い上がり、げしっとぬいぐるみを蹴り飛ばすとぬいぐるみは壁にぶつかってドパンと音を立ててドロドロになって砕け散った。そして次の瞬間、視界がブラックアウト。姉さんと握った手に力を込める。
《「人形遊びなら、手癖の悪い二人でもちゃんとできるよね?」》
そして灯りがつくと、手術台がなくなって代わりに趣味の悪いミニチュアセットが置かれていた。黒い服を着た少女の人形が磔にされ、その周りにルーシーなど、身に覚えがあり過ぎる名前のかかれた台が置かれてある。
「今度は何…?」
「…ルーシーって、まさか」
《「いろんなところに人形を置いて遊んでね!」》
現状ただの子供の喧嘩である。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
どのエヴリンが好き?
-
本編の幻影エヴリン
-
原作エヴリン
-
エヴァ(もう一人のエヴリン)
-
アナザーエヴリン(純粋)
-
アナザーエヴリン(悪堕ち)
-
アナザーエヴリン(改心)
-
真エヴリン(7編の老婆エヴリン)
-
16年後の本編エヴリン30代(ローズ編)