BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「ルーシーって人形見つけたけど……大丈夫?ローズ」
「…うん、大丈夫だよ姉さん」
姉さんがすぐ傍の机から見つけてきた【Lucy】と書かれた人形を素直にルーシーと書かれた台座に置いて、私を心配しているのか見上げてきたので笑顔で答える。…あの向き、まるで中心の十字架に磔にされた女の子の人形を魔女狩りしているような……いや、そんなまさか。考えない様に廊下に出ると、床が真っ黒に染められていた。壁の落書きも増えていて、私の肖像画の顔が塗りつぶされていた。人の絵をなんだと思ってるんだ。
「うわ、なにこれ…誰がやったの?」
「似た様な事なら昔にやった記憶があるから声の私かなあ」
「姉さんもなにやってるの?」
「その心底理解できないって顔やめて。すごい効くから」
ぐふっと軽く吐血する姉さん。精神世界だから精神ダメージがダイレクトにいくらしい。やらかした。
「だ、大丈夫?」
「心配しないで、致命傷だから」
「大丈夫じゃないよ!?」
胸を張る姉さんに全力でツッコむ。ああ、父さん。父さんの苦労が分かった気がする…。
「致命傷なのは冗談だよ。あ、幼子のレリーフはめられそうな扉あったよ」
「あ、本当だ」
欠けている何かを抱える母親が模られている扉を姉さんが見つけたので、幼子のレリーフを母親が幼子を抱く様にしてはめこむと扉が開いた。中に入ると、倉庫の様な部屋に出る。奥にはライトアップされ風船が飾られた机にミニチュアと人形が飾られていた。金髪の少女と黒髪の少女が相対し、金髪の少女の上にはバケツが釣竿で吊るされている悪趣味な光景だ。
「ん?なんか書いてる……【“アイツをいわうトモダチなんてだれもいないのに バカなヤツ!”】……ぶっ壊していいかな?」
「落ち着いて姉さん!出れなくなる!…私は大丈夫だから」
椅子に置かれたメモに書いてあった内容に青筋を立てて人形を握って壊そうとする姉さんを慌てて止める。それは洒落にならないから!多分姉さんが怒ってくれなかったら私が冷静になれなくて壊してたかもしれないけど!
「キャサリン……」
固定されてなかった黒髪の人形を拾い上げて名前を確認する。やっぱり知ってる名前だった。見れば他にも人形を置けそうだった。
「……もしかして、こっちも組み立てなきゃいけない?」
「…多分?」
「…戻ろうか」
そうして廊下に出て戻っていた時だった。曲がり角を曲がると、思わずビクッと停止する。姉さんに至っては絶句している。マネキン人形が、廊下に立っていたのだ。
「…ミア人形だ」
「母さん?」
「16年前に、この場所でイーサンに解体させた趣味悪い人形だよ」
「そんなのがなんでここに…?」
「何にしても驚かさないでよね!」
ゲシッとマネキン人形のお尻を蹴って転倒させる姉さん。……何だか嫌な予感がするなあ。磔ミニチュアの部屋に戻ろうとする私達は気付いていなかった。転倒したマネキンの首が動いて姉さんをジッと見ていたことに。
磔ミニチュアの部屋に入ってルーシー人形を回収し、今度はシンクの部屋に入ると学校のトイレを模したミニチュアに金髪の人形と、ルーシーとキャサリンと書かれた台座が二個置かれていた。……やっぱりこの金髪の人形、は…。椅子のメモには【“手から何か白いのが出るんだって アイツを あらってあげようよ!”】とあった。最悪…。
「人形遊びって…なにをさせたいの?」
「やっぱりお子ちゃま……」
《「腹いせにミアを蹴るような奴に言われたくないね」》
「ミアじゃなくてマネキンだよ……えっ?」
「どうしたの、ねえさ…ん?」
姉さんが磔ミニチュアの部屋の方を向いて固まったので、振り向いた私も固まる。キーッと扉がきしむ音を立てて、いつの間にかさっきのマネキンが磔ミニチュアの前に立っていた。その視線は姉さんに向いている。
「……ローズ」
「うん…」
「私がブッ飛ばすからその間にさっきの人形二つここにおいて」
「だ、大丈夫なの?」
「イーサンがいないんだから私が何とかするしかないの!オリャアアアアア!」
そう言って扉を潜って小さな体で突進し、殴りかかる姉さん。するとマネキン人形はカクカクと動き出して跳躍。まるで蜘蛛の様に天井に張り付き、空ぶって盛大にスッ転んだ姉さんを見下ろて固まった。まるで姉さんの視線で動いたり固まったりしているような…。
「逃げんな蜘蛛女!」
「い、今のうちに…」
ルーシー人形を名前の書かれた台座に置くと、まるでモップを構えて金髪の女の子の人形に向け散る形になる。キャサリン人形を名前の書かれた台座におくと、スプレーを持って金髪の女の子の人形を威嚇するような形に。…やっぱりあの時の再現だ。するとルーシーとキャサリンの人形たちがカタカタと揺れ出して嗤い始め、引き出しが開いて真っ赤な鍵が出てくる。…本当に悪趣味!
「…ああ、そういうこと。ガキっぽいね天の声!」
《「天の声だなんてひどいなあ。私もエヴリンなのに!」》
「姉さんはこんなことしない。貴女は姉さんと同じ声なだけの悪魔よ」
《「悪魔、ねえ」》
ジミーの部屋の鍵、か。最初に見た赤い扉の部屋か。ジミー。本当に最悪ね。
「姉さん!鍵手に入れた!」
「こっちもぶっ壊したよ!」
磔ミニチュアの部屋に戻ると机をぶん投げたのか、バラバラに飛び散ったマネキン人形と姉さんがいて。いやもう、フィジカルすぎない?
「なんかこいつ全然動かなかったと思ったら目を離してたら動いてるんだよね。なんなんだろ」
「だるまさんがころんだみたいな?」
「やだよこんな鬼」
ジミーの部屋の鍵を開けると、地下?に続く階段だった。降りて行くたびに天の声の含み笑いが響く。なんなのさっきから。辿り着いた下層には、井戸が置かれてあった。ジャパニーズホラーを思い出す。本当にどういう造りなの…?
「私が行くから姉さんはここで見張ってて」
「わかった。怖いから早く帰って来てね」
井戸の梯子を降りてさらに下層に行くと、ジミーと書かれた不気味な男の子の人形が置かれていた。パーティーハットを被っているけど不気味なのは変わらない。ポケットに入れて梯子を登ると、どんがらがっしゃんという音と「ギャー!」という姉さんの悲鳴がが聞こえてきた。
「姉さん!?」
「お前、壊したはずなのにどうして…!」
慌てて駆け上るとドッタンバッタンと言う轟音が。登り終えるとさっきのマネキン人形とくんずほぐれつで取っ組み合いしている姉さんがいた。…えっと。
「昨夜はお楽しみでしたね?」
「冗談でもやめて!?それ17年ぐらい前の私の台詞だから!」
ターゲットはエヴリン(私怨)
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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