BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
姉さんのトラウマから生まれたという蜘蛛型のマネキンの怪物を撃退し、一息つく私達。私はジミー人形を取り出して姉さんに見せる。
「とりあえずあのあんちきしょうを撃退した訳だけど……うわっ、なにその怖い人形」
「これが井戸の底にあった。ジミーの人形。数的には、レリーフの部屋に戻ればいいのかな?」
ルーシー、キャサリン、ジミー。…これだけあればあのパーティー会場みたいなミニチュアの台座に足りるはずだ。姉さんも頷き、廊下への扉を開けて先導してくれる。
「絶対なんか出てくるから警戒して!」
「う、うん…」
《「あはは。ビビっててうける」》
「黙ってろ天の声!気を付けてローズ、絶対出てくるから!」
「そうだね…」
「……出てくるよね?」
「さあ…」
「この曲がり角の先!」
「なんもいないね…」
「上から来るか!?」
「フェイスイーターなら出てくるかもだけど」
「じゃあ後ろか!?」
「もしいたら絶叫する自信があるからやめて?」
「あのー、出るならそろそろ出てくれないと心臓に悪いと言うか…」
それはわかる。出るなら出てくれた方がまだましかもしれない。何時出るのかとびくびくする方が心臓に悪い。
「なんか天の声に乗せられてる気がする……」
「なんか言え天の声!」
《「なんか」》
「お!ま!えー!」
黙っていたかと思えばオウム返ししてきた天の声にブチ切れる姉さんを両手で脇を抱えて押さえる。子供なのに力が強い…!?
「どうどう姉さん、落ち着いて。なんか出されたらここじゃ勝ち目ないから」
《「黙ってろって言ったのお前じゃん」》
「ぐ、ぬう……」
《「ぐうの音も出ないとはこのことだ!アハハハハハ!」》
「それは姉さんが悪い」
「まさかの裏切り!?」
とりあえず何事もなくパーティーのミニチュアまで辿り着いたので、キャサリンを外野に、ルーシーをバケツがかかった棒が置かれた脚立の上に、ジミーはなんか両手を掲げるポーズを取っていたので、宙に浮いて固定されてるプレゼントの前に置いてみる。するとまた人形たちが笑い出し、金髪の子の誕生日を祝いながらバケツで嫌がらせしてる様な構図が出来上がる。それを見た姉さんがもう何度目か分からないブチギレ。怒髪天だ。
「殺してやる。出てこい天の声!」
「姉さん」
《「出てこいと言われて出て行く馬鹿じゃないよ―だ」》
「なんのつもりでこんなの置いてるお前!私と同じ声でこれやってるのが許せない!」
「姉さん」
「本当に辛い思いをしたんだから、繰り返す必要なんかない!私達は見ていることしかできなかったけど、もし体があったらあいつら痛い目に遭わせてやるって……」
「姉さん」
「なに、ローズ!?お姉ちゃんがこんなことしてきたやつ絶対ぶちのめすから……」
「私は、そんなこと望んでないよ」
そう言うと、怒っていたのが嘘の様に静まる姉さん。私は嫌だけど、姉さんがルーシーたちに危害を加えることは違うんだ。
「私が悪いんだ、私が……もう、それはわかってるから…」
「……友達に、なりたい?」
「……うん」
「…………ごめん、それは許さない、かな」
「え…?」
思わず見返すと、姉さんは真剣な顔で、開いた引き出しから姉さんとよく似た黒髪の少女の人形を取り出しながら続けた。なんか他のと比べて安っぽい気がする人形だ。
「例えローズがアイツらを許しても私が許さない。イーサンだって許さない。ローズを害した奴を私達は許さない。あんな奴等、例えローズが「まとも」になったところで改心しないよ。うーん、そうだなあ。外傷は駄目だから、カビまみれにしちゃうのはどう?ばっちくしてやるの!…ね。想像したらすっきりしたでしょ?仕返ししていいんだよ」
「だ、だけど……」
「そうだよね。ローズは優しいから、私がやるの」
そう言ってルーシーの人形を手に取る姉さん。首に手をかけると、止める間もなく、人形のルーシーの首をもぎとってしまった。
「台座に乗れば問題ないよね。こういう子供らしい人形遊び、してみたかったんだあ!」
そう言うなり、キャサリンとジミーの首にまで手をかけてまるで幼児の様に躊躇なく嬉々として首をもぎ取って行く姉さん。その姿はただしく、悪魔だった。
《「へ、へえ!オモチャの遊び方が下手だね幼児かな?」》
「お前の首もこうしてやるから覚悟しろ天の声」
《「できるものなら?でも覚えといてね。オモチャは遊ばれた時のことも壊された時のことも全部覚えているんだ、仕返しされても知らないよ」》
「もしかしてドナの幻影の人形たちのこと言ってる?あんなのベビーに比べたら全然怖くなかったもんね!」
「姉さんそれフラグ」
ベビーが出て来たらどうする気なんだ。とりあえず姉さんが黒髪の少女の人形を手に入れたので磔のミニチュアの部屋に戻ることにした私達。姉さんは天の声に言われたことが気になってるのかしきりに辺りを気にしている。
「…姉さん」
「ひぃあ!?え、なに?ローズ?」
「ありがと」
「お礼はいらないよ。私とイーサンはローズが楽しく生きてくれればそれでいいんだから」
「…姉さんと父さんがいるから私、何時も楽しいよ」
「でも友達は作りたいんでしょ?………クリスの話だと同じ境遇の人が何人かいるらしいけど年は結構離れてるんだよねえ。確か名前はシェリーとナタr」
「「ぎゃああああああああああああ!?」」
話しながら扉を開けて絶句、咄嗟に持ち上げて抱きしめた姉さんと共に悲鳴を上げる。
「ま!た!お前かあああああああ!」
「やっちゃえ姉さん!」
扉を開けたそこにいたのは、さっき撃退して逃げて行ったマネキン人形だった。姉さんを振り回してキックを叩き込み、マネキンはバラバラになって吹っ飛ぶがカタカタと一人で動いて集まって行く。あーもう!
「早いとここんなところ脱出しよう!いい加減、怖い!」
「それな!えい!この!この!」
ゲシゲシゲシ、と壁に向けてサッカーボールの様に何度も首を蹴り飛ばす姉さん。マネキンの手がカタカタ揺れて止めようとしているが蹴っ飛ばされてる。…あっちは大丈夫そうだ。今のうちに!
「ルーシーと、多分ここにキャサリン。それでジミー…姉さん!人形!」
「はい!これ!」
名前のついている人形たちを磔にされている金髪の少女人形を囲うように配置し、姉さんから投げ渡された黒髪少女の人形を、それを指示する様にちょっとだけ離れた台座に置く。するとキャサリンの持つ様に配置された松明に炎が灯り、人形たちが笑いだす。まるで姉さんがこれを指揮しているような悪意に満ちた配置だ、と思った瞬間。磔にされた金髪の少女の人形…恐らく私が燃え尽きて鍵が出てきた。
「…最低。本当に最低」
「…配電盤の鍵かあ」
マネキンの首を蹴るのをやめてやってきた姉さんが手に取って書いてることを読んで……待って、マネキン放置は不味くない!?
「姉さん!」
「あ、しまっ…」
明かりが消える。そして輝くマネキンの目に、私達は睨みつけられる。
《「だーるーまーさーんがー!」》
嬉々とした天の声が響き渡る。……ああもう、本当に最悪だ。
みんなのトラウマ、起動。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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