BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はだるまさんがころんだ開始。楽しんでいただけると幸いです。
《「だーるーまーさーんがー!」》
第二層での人形ごっこ。趣味の悪いそれを終えると共に明かりが消え、輝く一対の目に睨みつけられる私達。あいつだ、ついさっきまで姉さんに蹴られてたあいつだ。
《「こーろーんーだー!」》
「「ひっ…!?」」
そしてマネキンの目の光がこちらまですさまじい速度で突進して来て、そして目の前で消えた。
「な、なに!?姉さん!」
「ローズ、いるよね!?」
暗闇で見えない中で姉さんと安否を確認しあっていると、ジリリーン!ジリリーン!と古めかしい電話の呼び出し音が鳴り響き、明かりがつくとミニチュアが消えて黒電話がぽつんと机の上に置かれていた。横を見れば姉さんがちゃんといて、安心しながら電話に出るしかないと悟って受話器を手に取る。
《「《「フヒヒヒヒッ!あーあ。死ーんじゃった、死んじゃった。お前たち、私が止めてなければ死んでたよ?残念でしたー。つまんないからそんなあっけない最期許さないけどね。あんた本当にマヌケだね、まだ結晶が見つからないの?」》
そんなふうに煽り嘲笑ってくる天の声。姉さんの声だけど憎たらしいな、くそっ。
《「いいよ、マヌケな妹に可愛い姉さんが教えてあげる。エレベーターに乗っておいで」》
「エレベーター…?」
「エレベーター」
言われて気付く。そう言えば廊下の奥にあったけど、関係ないと思って調べもしてなかった。
《「私の指示を馬鹿正直に聞いて逃げようともしないんだもん、笑っちゃった。ああそれと、今のはデモンストレーション。本番はこれからだよ。ママを痛めつけたアンタたちが可愛い愛娘がいるここに来るのを、ママは許さないだろうね。アハハアハハハッ!」》
そう嗤って電話は切れた。受話器を置いて、一息つく。…また空気が変わった。多分タイミングは、あのマネキンが暗闇の中で私達に襲いかかろうとした瞬間。飛び付く瞬間だったマネキンごと空間が切り替わったんだ。相手は世界をスイッチを押す様に気軽に切り替えることができるのか。仮面の公爵より厄介かもしれないな天の声。
「…とりあえず、いこう姉さん」
「うん」
姉さんの手を取って何故か全開になっている扉を潜って廊下に出る。…汚された私の肖像画が廊下に落ちてる。思い入れはないけどいい気分じゃないな。
「特に何事もなくエレベーターまでついちゃった…ん?」
見れば壁になんか張り紙しているのを見つけた。えっと……?
「【つかまったら お前はおしまい!】【目をそらしちゃダメだよ】…本当にだるまさんがころんだでもやろうっての?でももうゴールだし関係ないよね、姉さん」
「うん。そうだね」
姉さんの手を引いてエレベーターに入るがうんともすんともしない。不思議に思って姉さんをエレベーターに置いて傍にあった配電盤を見てみる。人形遊びで手に入れた配電盤の鍵か。鍵を開けると、ヒューズではなく手書きで書かれたヒューズの在り処が記された地図が入っていた。
「…そういうことね」
「そういうことだね」
最初に来た時は開いてなかった横の扉の向こうの奥の部屋に置いてあるらしい。その途中でだるまさんがころんだをしよう、ということらしい。
「行こう、姉さん。………姉さん?」
さっきから手を引かれるばかりで大人しい姉さんに今更不思議に思って振り返る。そして後悔した。
「ギギ、ギギギ……ローズ…!」
それは、黒髪のウィッグと黒いワンピースで姉さんに変装したマネキン人形だった。しかも姉さんの声で喋ると来た。さいっあくだ。つまり私はこいつを連れてここまで来てたってことで……本物の姉さんは!?
「姉さん…!」
踵を返して来た道を引き返そうとする。すると後ろでガシャガシャと動く音。振り返ると、私に向けて手を伸ばした格好で固まっているマネキン人形がいて。子供の頃散々姉さんと遊んだ「だるまさんがころんだ」のルールを、思い出す。
姉さんがマンガやアニメ、ゲームや特撮などのサブカルや料理を気に入っている国である
「でもつまり見ていればいいのよね?」
マネキン人形から目を離さずにじっと見ながらジリジリと後退、姉さんとこいつが入れ替わったであろう黒電話の部屋をムーンウォークで目指す。しかしすぐに背中に壁がついてしまう。まずい、曲がり角だ。どうしても視界から外してしまう。右に身体を動かしながらギリギリまで視線を向け、完全に視界から外れるとドドドドドドドドドドドドドッ!とガシャガシャ関節の音を鳴らしながら爆走する音。あまりの恐怖に一歩も後ろに行けないまま、曲がり角を曲がってきたマネキンと目が遭う。
「ひっ!?」
思わず腰を抜かすと、目が遭った瞬間そのポーズで固まるマネキン。し、死ぬかと思った……こんなの、少しでも目を放したら終わりじゃないか…!
「姉さん、姉さんは何処…!?」
這い這いになりながら、腰が抜けたまま腕を動かして後退しながら視線をちょっとずつずらして姉さんを探す。姉さんの事だ、どこかに捕まっていてもなんか無理やり抜け出してそう。そして天の声の、私と姉さんの無様を見て愉しみたいという願望が見え隠れする声から、多分だけど父さんみたいに完全にいなくなったわけではないはずだ。
「可能性があるとしたら、ジミーの部屋…!」
声も聞こえないということは多分、井戸の下だ。さすがの姉さんも梯子が無いとあの井戸は登れないだろう。そう考えて全開のままの黒電話の部屋に入り、机に手をかけてなんとか立ち上がる。マネキン人形は曲がり角を曲がった形で固まったままだ。
「ふう…」
一息つこうと膝に手をやって、すぐに視線を前に向ける。一瞬だけ視線が下を向いてしまった。案の定、凄まじい速度で無駄に綺麗なフォームで走ってきていたマネキン人形と目が遭って固まる。
「本当に、怖いんだけど…なんか言いなさいよ天の声!」
くそっ、どうでもいい時は出てくる癖にこういう時には出てこないって嫌がらせか!………本当に嫌がらせなんだろうな。私と姉さんを困らせようとしている意思しか見えないもの。
「…どう足掻いても視線を外さないといけない」
ジミーの部屋は曲がり角を曲がった先だ。嫌な配置だ。でも、こっちにはジミーの部屋の鍵がある。中に入って閉じればとりあえずは大丈夫だろう。
「勝負…!」
視線を外して、全速力で曲がり角に向かうとドドドドドドドドッ!と爆走する音。振り返れば飛びかかろうとした形のまま固まったかと思えば勢いは殺せずぶっ飛んできて、思わず避けると壁にぶつかりバラバラに飛び散り、黒いウィッグと黒いワンピースが空を舞った。
「い、今だ!」
ジミーの部屋の扉に手をかける。何故か閉まっていた。そうだった。さっきマネキン人形を閉じ込めるために閉じたんだった!……あれ?マネキン人形に壊されてなかったっけ。空間が切り替わったせいだろうか。とりあえず焦りながら鍵を取り出して開けようとしていると、カタカタと音を立てながらひとりで組み立てられていくのが後ろ目に見えた。
「は、早く…!」
なんとか鍵を開けて中に入った瞬間。ドカーン!と激突した轟音が響いた。ドンドンドン!と扉を叩いているが、……とりあえず入ってくることは無さそうだ。
「姉さん!いるー!?」
いなかったらもう完全に詰んでいるが。すると弱々しい声が聞こえてきた。
「ローズ~?たーすーけーてー……」
「よかった、本当にここにいた…」
傍に巻かれた縄梯子が置かれた井戸まで近づいて覗き込むと、何故か底に溜まっているマネキンの残骸に埋もれた姉さんがいた。…いやまあ壁登りとかもできないわけだ。
「なにがどうしてそうなったの?」
「私が壊したマネキンの仕返しだってー。たーしーけーてー」
「今梯子を下ろすね」
縄梯子を下ろしながら思わず笑う。なんというか、情けない姉さんに安心感を感じる。うん、これぐらい騒がしくないと姉さんじゃないね。
いつの間にかエヴリンと入れ替わってる恐怖。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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