BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
真相究明のお時間です。楽しんでいただけると幸いです。
「私?…そうだなあ、名乗るとしたら………
姉さんの問いかけにそう答えた巨大な大人の姿の姉さんの姿をしたナニカは視線を彷徨わせてから邪悪な笑みを浮かべ、手を叩く。
「この部屋じゃ味気ないよね!こことかどうかな!」
瞬間、世界が切り替わる。巨大なベッドルームから、パーティーでもするかの様に飾りつけされた暖かな家屋のリビングに。サイズ感も元に戻り、ゼウ・ヌーグルと名乗った大人の姉さんの姿をした誰かも私よりちょっとだけ身長が大きい程度になる。この世界、今までとは違う、ここを私は知っている……!
「ローズが赤ん坊だった頃に……あの事件が起きる前に住んでた家…!?」
「ここが、そうなの…?」
「そう、そして貴女たちが私に還るにふさわしい場所だよ」
「え…?」
そう言ってゼウ・ヌーグルが手をかざすと私を包み込むようにピンポイントに衝撃波が放たれ、まるで圧縮されていくように押し潰されていく私の身体がどんどん縮んでいく。さっきまでみたいに小人じゃない、子供らしいふっくらした小さい手が視界に映った瞬間、私の視界はブラックアウトする。
「ローズ!?」
「はははっ!心が折れて誰かに縋る事しか出来ないローズは赤ん坊と一緒!ならその姿がお似合いだよね!」
「あ、う……」
大きな手に抱えられて飛び込んできた光に目が眩む。視界に映るのは信じられないとばかりに目を見開いた姉さんで、私は大丈夫と口にしようとして聞こえてきたのは
「
「ローズが、赤ん坊に……いったいなにをしたの!?」
「なにって、貴方達のおかげで手に入れた力を見せてあげてるんだよ。ローズとエヴリンが怒りや悲しみ、不安や絶望の感情を与えてくれたから私はこうして自我を確立するまでに成長できた。第二層に来たばかりはエヴリンを模しただけの仮の人格で、それ以前はただエヴリンの怒りを増長させるために力を与えることしかできなかったけど…私は私になれた」
イーサンを消したおかげかな?とほくそ笑むゼウ・ヌーグルの顔は成長した姉さんそのものだけど、同じ物とは思えないぐらいあまりにも邪悪な顔だ。悪意の、塊だ。
「…ゼウ・ヌーグルとか言ってたけどお前はなんなの?」
「お馬鹿?まだわからないの?呆れた。怒りに身を任せてすぐ手を出す馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけどこうも馬鹿だとはね」
馬鹿にするように肩を竦めてやれやれと溜め息を吐くゼウ・ヌーグルに、今の今まで耐えていたのだろう姉さんが私を左手で抱えたまま右手に握った斧を振り上げるが、振り下ろしたそれはあっさりと左手で掴まれ、力を少し入れるだけでバキン!と亀裂を入れられて粉々に破壊されてしまい、私を抱えて後退する姉さん。
「無駄だよ。事前に決めたルールに介入はできないけど、ベッドルームに辿り着いた時点で私が直接手を出せるようになったんだから関係ない。私が馬鹿だと思った?」
「…っ、このお!」
私を抱えたまま衝撃波を放つ姉さんだがしかし、涼しい顔をしたゼウ・ヌーグルが右手を軽く振るうだけで払いのけられてしまった。姉さんの衝撃波も通じない…!?
「馬鹿でも分かるように教えてあげる。私は「菌根」そのもの、即ちこのセカイのカミサマ。マザー・ミランダが信仰にも等しい感情を向けて、万人の記憶という生贄を与え続けたために菌根から生まれた、マザー・ミランダ曰く
自分の胸に手をやりながらそう改めて名乗るゼウ・ヌーグル。菌根そのもの…!?そんなの、菌根の世界であるここじゃ無敵にも等しいじゃないか、反則だ。
「16年前、イーサンと四貴族、そしてマザー・ミランダの戦いで菌根に蓄積された膨大な感情から「私」は生まれた。つまりエヴリン、ローズ。貴方達の妹も同然の存在。エヴリン、貴女の手ですぐに爆発させられて肉体を失ってしまったけどね?」
「…まさか、あの時。ミランダを倒した後も動いていた菌根は……」
心当たりがあるのか戦慄する姉さんに、愉快なのかゼウ・ヌーグルはお腹に手をやってケラケラと笑う。…同じ姉さんの顔で笑っているのに、何でこうも邪悪に感じるのだろう。
「爆発しても私は菌根の欠片に宿って生き延びた。菌根ネットワークから万人の記憶を得ることで自我を確立していったけど方向性が定まらなかった、そんな時。マザー・ミランダの計略で貴方達が取り込まれた」
「やっぱりこうなったのはミランダの馬鹿の仕業か……」
じゃあ、現実で私達を
「私の欠片ともいえる、巫女に等しいエヴリンとローズがこの世界に来て負の感情を爆発させるたびに私に信仰は与えられていた。その点、仮面の公爵は良くやってくれたよ。そして第二層でのゲームで得た感情で、私の自我は完成した」
つまり天の声として私達を誘導して負の感情を引き出させていたってことで…私達は、こいつの掌の上で踊らされていた…?
「あとは用済みのエヴリンを取り込んで完全体になり、心が壊れたローズの代わりにその肉体を媒介に現実に出て行くだけ。ああ、安心して。私が「エヴァ」としてマザー・ミランダの願いを叶えてローズの肉体は大事に使うから」
「っ…ローズ、無理だろうけどしっかり掴まってて!」
「ただローズが正真正銘の怪物になるだけだよ。何も変わらないよね!」
ゼウ・ヌーグルが右手の一指し指をこちらに向ける。瞬間、窓から飛び出してきた菌根の触手が私を抱えている姉さんを狙い、姉さんは宙返りで回避。着地すると廊下に出て階段に向かう。
「このセカイは私の領域。逃げられない中で鬼ごっこ?いいよ、遊んであげる」
次々と扉や窓から飛び出してくる触手を衝撃波で迎撃しようと試みるも通じず、ギリギリで避けながら姉さんは階段を駆け上がっていく。
「
「何言ってるか分からないけど…とにかく脱出の術を探す!今までと同じなら、どこかに出口がある筈!多分だけど、ローズの部屋だ!」
階段の下から溢れだしてきて、レコーダーやら乳母車やらを破壊しながら迫る菌根から私を抱えていると言うハンデを負いながら全力で逃げる姉さんが入ったのは一番奥の部屋。入るなりドアを閉めて鍵をかけた姉さんが辺りを見渡し、私も可能ながら首を動かすも、しかし特に何もない。
「嘘…!?ここは、完全に私達を消すためのセカイってこと…?」
絶望のあまり膝から崩れ落ちる姉さん。鍵をかけたドアからはドンドンドン!と菌根が押し寄せる音が聞こえる。万事休すだ。そんな、どうしたら…!?すると視界の端を金色の光が舞った。
【やっと見つけた!急げ、イーサン!】
「シャルル…!?」
それは第二層に来てすぐに別れたシャルルその人で。次の瞬間、窓を蹴破ってその人物は現れ手にしたショットガンを構えた。
「イーサン!」
「
「そのまま伏せてろ!エヴリン!耳を塞げローズ!」
言う通りにした瞬間、扉を破って溢れだした菌根にショットガンが叩き込まれて粉砕される。ポンプアクションを行った父さんはそのまま連射。菌根を完全に破壊し、そして余裕の歩みでやってきたゼウ・ヌーグルに銃口を突き付けた。
「よくもやってくれたな偽エヴリン」
「こんにちは。さっそくで悪いけど死んで?イーサン」
ゼウ・ヌーグルの振るった右手から放たれた衝撃波の砲弾と、父さんが引き金を引いたショットガンがぶつかり相殺。両者の鋭い視線がぶつかった。
無敵のカミサマ、ゼウ・ヌーグル。パワーアップエヴリンの能力全部持ってる上に支配者みたいな存在だからそりゃ最強である。現実で戦ったアナザーエヴリンと異なり、精神だけの存在みたいなもんだから菌根の世界では滅法強いです。
ローズ赤ん坊化、エヴリンも絶望という最大のピンチに、イーサン&シャルル参戦。彼等は彼等で頑張ってました。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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