BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は何気に初の対戦カード、イーサンとエヴリンコンビVSゼウ・ヌーグル。楽しんでいただけると幸いです。
「邪魔者にはご退場願おうか。家族水入らずなんだから」
【っ、クソッ…】
「家族、だって?」
手の一振りでシャルルを消し去るゼウ・ヌーグルは、ショットガンを突きつけながらそう尋ねる父さんに、銃口が眼前にあるにも関わらずけらけら笑って胸に手を当て恍惚とした表情を浮かべる。
「イーサン、イーサン!イーサン!私達の父親!ありがとう、私を生んでくれて!」
「心底嬉しくない感謝の言葉だな!ローズを元に戻せ!」
手にしたショットガンを乱射。乱射。乱射。しかしゼウ・ヌーグルは大人の姉さんの顔で愉しげに嗤いながら消えては少し離れた場所に移動する瞬間移動を繰り返し、まるで当たらない。タイミングをずらして狙った父さんのファインプレーも、衝撃波で相殺されて意味がない。やっぱり、強い。
「アハハハハハ!この程度なの、イーサン・ウィンターズ!私の眷属たちを悉く倒した実力は!」
「ローズはここにいて。イーサンが諦めないなら、私も諦めないから!」
すると苦戦している父さんを見かねてか、姉さんは私を備え付けられていたベビーベッドに寝かせて駆け出し、右横に陣取って衝撃波を放つも、ゼウ・ヌーグルはそれを右手一本で受け止めて握って圧縮すると前方の父さんに投げつけ吹き飛ばしてしまった。
「ぐあっ!?」
「イーサン!?」
「余所見は駄目だよ。死んじゃうからね!」
そう言って両手をそれぞれ父さんと姉さんにかざし、衝撃波を放って包み込み拘束すると二人を高速でぶつけ合わせて圧迫。ギュムーッ!とそれぞれの身体でサンドイッチにされた二人は解放され、もみくちゃになって床に転がる。
「くそっ、今までの敵の比じゃないぐらいに強い…!」
「エスパーかよ…」
「むっ。エスパーじゃなくて、カミサマだよ」
「衝撃波で駄目なら…イーサン!」
「行くぞ、エヴリン!」
なんとか立ち上がった姉さんの伸ばした両手を両手で掴み、クルクルその場で回転して遠心力を加えて投擲。足から投げ飛ばされた姉さんは空中で飛び蹴りの体勢を作って一直線に飛び込んでいく。日本の特撮ヒーローの必殺技、ライダーキックだ。
「無駄だよ。私に攻撃は通じない」
「ぐう!?」
瞬間、ゼウ・ヌーグルの突き出した右手が黒いドロドロに包まれて鋭い爪の異形の腕に変貌すると、一直線に伸びて姉さんの首を掴んで持ち上げ、蹴りは届かなかった。
「ぐう…!?これって…」
「
「エヴリン!」
床に勢いよく叩きつけられた姉さんに駆け寄りながら持ち替えたハンドガンを乱射する父さん。面で駄目なら点だということだろう。しかし蛇の様にうねり渦を巻く伸縮自在の右腕に弾丸を全て防がれ、ゼウ・ヌーグルが振り回すと激流の様に勢いを増した右腕が父さんに炸裂、殴り飛ばしてしまう。
「今度はマーガレット…!」
「私の力だ、私が使ってもなにもおかしくない!」
ゼウ・ヌーグルがちょこんと裾をつまみ、ぶわっと膨らんだスカートの下から一斉に溢れだす蟲の大群が襲いかかる。姉さんと父さんだけじゃない、私にも…!?
「ローズ!」
慌てて飛び込んできた姉さんは私を抱きかかえてベビーベッドの上で蹲り、グサグサグサッ!と突き刺さる音が聞こえる。ぐらりと力なく倒れ伏す姉さんの傍でなんとか非力な身体で擦る。見れば、背中にいくつも穴が開いていた。
「
「エヴリン!くそっ…こいつならどうだ!」
そう言って父さんが取り出したのは手榴弾。ピンを抜いて投げつけ、その刹那に私達の元に駆けつけベビーベッドを横転させて盾にすると同時に、思わず耳を塞いでもなお響く衝撃と爆音が轟いた。
「エヴリン、しっかりしろ!」
そう言って回復薬を取り出して姉さんの背中にかける父さん。血の気を失っていた姉さんの顔に余裕が戻り、立ち上がる。よかった、本当に…!
「…目覚ましにしては物騒すぎない?イーサン」
「お前はこれぐらいしないと起きないだろ。だがこれであいつも吹っ飛んだだろ」
「あー、びっくりした」
「「「!」」」
爆煙が吹き飛ばされ、耳を押さえながら無傷の姿を現すゼウ・ヌーグル。顔をしかめながら異形の右手を振りかぶると、まるで西洋の竜の様な形状に変わった。
「ドミトレスクの…!?」
「耳がキーンとなったでしょ!」
「ぐああああああっ!?」
そして一薙ぎで父さんを吹き飛ばし、しゃがんで避けていた姉さんが腰を低くして突撃。拳を振りかぶってその腹部、横っ腹に叩きつける。
「うそっ、効いてない!?急所だよ!?」
「それは人の急所でしょ、カミサマには通じないよ」
そして円形に放たれる衝撃波。咄嗟に父さんが私のもとに跳躍し、私を抱きかかえた瞬間、姉さん共々空中に浮かばせられた私達。私達だけじゃない、部屋の家具が纏めて空中に打ち上げられて静止している。
「すべては一瞬の出来事。セカイを壊すも作り直すも私の思うがまま!」
瞬間、バキバキと音を立てて私達に集束するように家屋が倒壊。巨大な球状となった瓦礫に私達三人は閉じ込められ、爆発するかのように外側に吹き飛ばされたかと思えば急速に世界がパズルの如く組み立てられていき、巨大な工場の敷地の様な場所に投げ出された。
「
「ローズ、ローズ無事か…!?」
「今度は、ハイゼンベルクの…」
「狭くて戦いにくかったからね。次はそうだな……こういうのはどうかなあ!」
原っぱの中心に立つゼウ・ヌーグルの足元から黒いドロドロが溢れだしてその身体を包み込み、背中から六枚の巨大な翼を広げたその姿が膨れ上がって行く。
「オルチーナ、ドナ、モロー、カール、ミランダ……私の可愛い可愛い供物たち。その戦闘経験は私に蓄積され、際限なき力として我が身に宿る…!」
背中から伸びた尻尾の様な部位の先端には死神を彷彿とさせる鋭い鎌がついており、両腕は周囲の鉄屑を集束させた丸鋸とプロペラエンジンの様な者が先端に付いたメカアームを駆動させ、横から蜘蛛の様な節足を展開した巨大なドラゴンの身体に、顔はなく首の位置にあるアンコウの様な大口の中から両腕と指が異様に伸びたゼウ・ヌーグルの上半身を出した姿に変貌。カシャカシャと蜘蛛脚を動かしてこちらに向いて、両腕とメカアームを振り上げ、翼を六枚すべて広げて威圧してきた。
「あうあー!?」
「…嘘、一体だけでも苦戦したのに…」
「銃でどうこうなる相手じゃないぞ…」
「ローズ、無力だねえ。エヴリン、ちっぽけだねえ。イーサン、悔しいよねえ。ウィンターズ、お前たちは私に敵わない。潔く諦めて私に還れ!」
赤ん坊の体は正直で、泣き出してしまう。姉さんは私を抱えたまま呆然と見上げ、父さんは私達を守るように立ちながらも、臆してしまっている。回転する丸鋸とプロベラが迫る。ダメだ、こいつには敵わない。ここで、終わり……。
「そいつはどうかな。こいつらは俺が認めた共犯者と、その娘だぜ」
次の瞬間、クルクルクルと回転した鉄の大鎚がゼウ・ヌーグルの後頭部に激突、怯みもしなかったものの私達に向けていた悪意がそれが飛んで来た方向に向けられる。助かった…?
「家族水入らずの時間を邪魔するなんて、無粋だね」
「…その声!」
「……やっぱりお前か」
そこにいたのは一人の壮年の男。ウェーブのかかった灰色の長髪と、口周りに蓄えられた髭、丸いサングラスを掛けて、ペンダントやドッグタグを首にかけて、黒いソフトハットとオリーブ色のロングコートを着用、その手に戻ってきた大鎚を肩に担いで不敵な笑みを浮かべている。……まさか、もしかして。私達を助けてくれる存在を、私は一人しか知らない。
「
「シャルル、シャルルマーニュってのはカール大帝の別名。俺のファーストネームを知ってるならわかる寸法だ。その様子だと馬鹿どもはローズには話して無かったようだがな?勝手に俺の家と力を使うなよ、ミランダに与えられたものとはいえ所有権は俺の物だ」
「せっかく見逃してやったのに死にに来たの?」
「ありがたいお慈悲だがな、俺は神なんざ信じちゃいねえし菌根のカミサマだってならなおさら信仰する気もねえ。何よりローズにちゃんと挨拶もせずに死なれちゃ目覚めもわりぃ」
そう言って近づいてきて、サングラスを外して優しい視線を向けてくる。ああ、この人はシャルルだ。
「シャルル改めカール・ハイゼンベルクだ。待たせたな」
第三十二話‐End game【自由】‐にてミランダを巻き込んで自爆して散ったハイゼンベルクが【エンドゲーム】にて復活、という意味の題名でした。
エヴリンよりも精度が高い衝撃波(ほとんど念力の域)、絶対防御、己の力への擬態能力、世界の破壊&創造とぶっ壊れにも程があるゼウ・ヌーグル。間違いなく今作最強のカミサマになすすべもなく返り討ちにされたローズたちの元に現れたのは、最初の方でシャットダウンされていたシャルルことハイゼンベルク。ついに参戦です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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