BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「お前たちに勝ち目などないわ!」
父さんと姉さんとカールを失った私の前に現れたのはアナザーエヴリン、真エヴリン、エヴァ、と名乗った三人の平行世界の姉さん。対するは
「ウアアアアアアッ!」
花嫁の様な姿をした怪物…ブライドデッドがチェーンソーの様な左腕を振り回しながら突撃、してきたのを力を纏った右手で弾き返して破壊。右腕のブーケから放たれた白いカビで構成された茨の鞭を掴んで引きちぎり取り込む。こんなに種類がいるならむしろ入れ食いだ。私の、菌根の力を奪い取る力で…!
「はああああああっ!」
ブライドデッドをショットガンで吹き飛ばし、空から襲いかかるゾルダート・ジェットと、地上から高速で突進してくるクイック・モールデッド、ミアスパイダーを右手から精製した茨の鞭で薙ぎ払う。
「お願い…力を貸して、ベイラ!ダニエラ!カサンドラ!」
慟哭する様にそう叫んだアナザーエヴリンの姿が多数の蟲に変貌。次々とスワンプマンやフューマーや怪魚モローを貪り喰らっていく。うわあ、すごい。あんなことできるんだ。
「衝撃波の扱い方なら私の方が一日之長がある」
プロペラを回転させながら突撃してきたシュツルムを衝撃波で受け止め、空中に浮かべてスクラップの様に四角く加工してゾルダートの群れに叩きつけるエヴァ。背後から襲いかかってきた変異ルーカスも両腕をもぎ取った挙句に上空に持ち上げて内側から破裂させる。ゼウ・ヌーグルよりえぐい使い方してる…。
「へ~んしん!どりゃあ!」
まるでバイクに乗る飛蝗のヒーローの様なポーズを取って地面から湧き出してきた黒カビに飲まれるようにして顔以外の全身に纏わせて姿を変える真エヴリン。背中から生えてきた巨大なカビの翼が羽ばたかせて宙を舞い、黒いカビで目元を隠し、擦らせて金属音を鳴らす刃となった長い指と異様に長い腕、肢体を艶かしく包み込む漆黒の肩だしドレスに身を包んだ、魔女の様な姿となって空中からローズデッド、変異マーガレット、ママ・モールド、ローズガーディアンを切り刻んでいく。
「もらうよ!」
「たとえ私の知らない形で力を発展させたとしても、全てこの私から生まれた有象無象よ!」」
「有象無象なんかじゃない!」
姉さんたちが気に入らないのか、村の巨人を動かして右腕を大きく振るって配下の雑魚ごと薙ぎ払わんとするゼウ・ヌーグル。私はその間に割り込んで右手をかざして受け止める。
「ぐうううううっ!?」
「無駄よ!吸い込める質量じゃない!」
「いいや、受け止めてくれれば十分だ」
瞬間、衝撃波が村の巨人の腕を絡め取って天に打ち上げ、そこに翼を羽ばたかせた真エヴリンと蟲の群れと化したアナザーエヴリンが空に舞い上がり、その鋭い爪と人型に戻って右手に溢れさせた黒領域から顕現させたシュツルムのプロペラエンジンを構えながら急降下。
「行くよ、私!」
「私の身が焼けてでも…!」
真エヴリンがすれ違ったかと思えば斬撃で輪切りにされ、エヴァの衝撃波で浮かべられたそれにプロペラエンジンを高速回転させて熱暴走させて放った火炎放射で焼き払うアナザーエヴリン。私の目の前で巨人の腕が焼け落ちて、ゼウ・ヌーグルは驚愕する。
「炎!忌々しい炎!アナザーエヴリンの世界の私が滅びた原因…!」
「そこまで知ったんならちょうどいいや。私と一緒に焼け死ね!」
自分が炎に巻かれるのも気にせず火炎を放ちながら急降下し、パンチでもするかの様に振り下ろすアナザーエヴリン。止める間もないその一撃はゼウ・ヌーグルに炸裂。その巨体を炎上させる。
「ご愁傷様!」
「ぎ、ギャアアァアアアアアア!?」
炎上して悶え苦しみ暴れるゼウ・ヌーグル。アナザーエヴリンは背中から六枚の黒い翼を展開して飛びながら火炎放射を浴びせ続ける。やったの…?
「……なんてね?私に炎は効かないわ」
「え!?」
次の瞬間、ゼウ・ヌーグルを包み込んでいた炎が右手に吸い込まれるように集束。凝縮させた火炎弾を腹部に叩きつけられたアナザーエヴリンは爆炎に包まれて吹き飛ばされ、エヴァの衝撃波で受け止められる。そんな…!?
「その私は燃えやすい肉体があった上に依り代すらなかったからあっさり燃え死んだのよ。私を一緒にしてもらっては困るわ。希望は持てた?」
背中から広げた六枚の黒い翼の間から触手を伸ばして、針の弾丸を乱射してくるゼウ・ヌーグル。あれに当たったらえぐられるだけじゃなく、寄生されてなにもできなくなってしまう。エヴァと共に衝撃波で散らしていきながら突進、触手に右手を伸ばして引きちぎって奪い取るが、即座に変形した翼の一撃を受けて殴り飛ばされる。
「そんなもの細切れにしてやる!」
「できるものならしてみなさい!」
空から真エヴリンが飛来してその爪で翼や触手を引き裂きながらゼウ・ヌーグルに迫るが、衝撃波で捕らえられて地面に勢いよく叩きつけられる。さらに右腕を変形させて勢いよく叩きつけられた右腕を、咄嗟に間に立って両手で受け止める。
「無様な姉を庇って死んでいくなんて哀れね!ローズ!」
「ぐっ、ぬ……」
両手を斧に変形させて何度も何度も叩きつけてくるゼウ・ヌーグルに防戦一方。右腕だけじゃ止められない。…なら、両手なら!
「私は、死なない!」
「なっ…!?」
両手の斧を両手で受け止め、もぎとるようにして奪い取り吸収する。怯んだゼウ・ヌーグルの前で、奪い取った力を纏った両手を頭上で合わせて右腕に集束。地面で脈打つ菌根に突き刺した。
「支配権を私に!」
「ぐうっ、ああああああっ!?」
すると白く染まった菌根が地面から飛び出して太い槍としてゼウ・ヌーグルの胴体に突き刺さり片膝をつかせる。初めてこんなに効いた…!
「あなたの好きにはさせない!姉さんたち!」
「さっきはよくも…!」
「よくやった、ローズ!」
「喰らえ!」
ダウンしたゼウ・ヌーグルに、私の右腕を押し付けて力を奪い取って行きながら合図。蟲の群れと化して渦状になって突撃したアナザーエヴリンと、敵のモールデッドを持ち上げて丸めて砲弾の様に投げつけた真エヴリン、衝撃波を集束させた拳を叩き込むエヴァの連続攻撃を受け、弾かれるように大きく怯んでよろよろと後退するゼウ・ヌーグル。
「ありえない…!この私が、このセカイで傷つけられるなんて…!?」
「弱ってる…?」
「力の大部分がローズに移動したんだ!」
「このまま奪い続ければ勝てる!それにローズも強くなる筈!」
「いやそんなこと言われても…危ない!?」
翼を広げて空に舞い上がり突進してきたゼウ・ヌーグルを避けようとすると、青白い光に包まれたと思ったらいつの間にか離れたところに移動していた。あまりのできごとに呆ける私たち。
「何が起きたの?」
「瞬間移動した…!?」
「え、なになに!?」
「ローズ!その力で翻弄して隙を見てゼウ・ヌーグルから奪って!隙は私達が作る!」
「…よし。やってやる!」
「私の力を勝手に使うな、ローズ!」
もうなりふり構わず、六枚の翼を広げ触手を滅茶苦茶に伸ばし、両腕を菌核の様に変形させて針の弾丸をばら撒いてくるゼウ・ヌーグル。私はさっきの感覚を思い出して全部瞬間移動で避けていく。でも、隙が無い…!姉さんたちを信じて、隙を窺うしかない!
「内側からならどうだ!」
アナザーエヴリンが蟲の群れ化して弾丸を避けながら次々とゼウ・ヌーグルの巨体に突き刺さって行って体内を蠢いて飛び出していく。
「纏めて吹き飛ばしてやるわ…!」
「喰らえ、モールデッド爆撃!」
胴体を貫かれたのは効いたのか怯んだところに、二連撃で漆黒の砲弾が叩きつけられる。両手でモールデッドを丸めて投げつけた真エヴリンだ。
「力が弱くなったなら通じる…!」
「馬鹿な、こんなことが…!?」
さらにエヴァが衝撃波で固めて、さらにアナザーエヴリンと真エヴリンも加わり衝撃波を放って、ゼウ・ヌーグルを無理やり跪かせる。今なら、顔に…!肩を左手で掴む。右手で拳を握る。大きく振りかぶる。思い出すのは父さんと姉さんのあの動き。
「これで決める……ファミリーパンチ!」
「させるかあ!」
しかし胸部から飛び出したモールデッドの腕で右腕を握られ止められる。その間にも身を震わせ、衝撃波で衝撃波を相殺しようとしているのか不敵に笑むゼウ・ヌーグル。あと少しなのに…!
「悪あがきもここまで。逆に奪い取ってやるわ…!」
「っ…!」
そんなことされたらすべてが水の泡だ。姉さんたちは衝撃波を維持しているから手は貸せない。瞬間移動で逃げようにも右手を掴まれて逃げられない。どうしよう。助けて、姉さん……!思わず、助けを求める。もう絶対届かない最愛の姉に。
「しょうがないなあ。お姉ちゃん頑張るよ」
そんな声が聞こえた。同時に、ゼウ・ヌーグルの不敵な笑みに、私の右手から飛び出してきた拳が叩きつけられる。私の右手を拘束していた腕が外れ、空中に浮かび上がったのは周りの三人とよく似た、だけど一番見慣れた人。
「ぐああああああっ!?」
「姉さん…!?」
「話は後!やっちゃえローズ!」
「…うん!はああああああああああっ!」
姉さんの言葉に頷いてその手に掴まり跳躍し、急降下と共に叩きつけた一撃は。跪いていたゼウ・ヌーグルの頬を捉えて、力を奪い取って行きその巨体が足元から白化させていく。
「そ、そんな!?黒き神たる私が…!?こんな、こんな…私の器にしかなりえない小娘に…!?」
「私は器なんかじゃない。コピーでも身代わりでもないわ、私は私!イーサンの娘でエヴリンの妹!ローズマリー・ウィンターズよ!消えていなくなれ!お前は存在してはならない生き物だ!」
「おのれええええええ!?」
そんな断末魔と共に完全に力を奪い取られたゼウ・ヌーグルは純白の巨像となって固まり、ボロボロと崩れ落ちて塵となって、完全に消滅したのだった。
四人のエヴリンとローズの勝利。炎も効かないゼウ・ヌーグルに勝つには、力を全部奪い取る、それしか勝ち目はありませんでした。その隙を作るのにエヴリン達が必要だったわけですね。
次回はエピローグ。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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