BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今日の仕事中に気付いたんですけど、昨日である7月23日は2013年にハーメルンで初投稿した日でして、それから十周年となります放仮ごです。もう10年も書いてたことに驚きである。これからもどうぞよろしくお願いします。

と言うわけで今回はハッピーエンドルート、即ちローズ編最終話。文句なしの大団円を見せてみせようぞ。楽しんでいただけたら幸いです。


ダイブepilogue【大団円】

 数刻前。ローズと平行世界のエヴリン三人がゼウ・ヌーグルと戦っていた頃。菌根の内も内、いわゆる核と呼ばれる世界にて、追いかけっこが行われていた。

 

 

「いい加減諦めろ!お前も道連れだエヴリン!」

 

「しつこいな!自滅したんだから大人しくおっ()んでてよ!」

 

 

 ローズが浄化結晶を破壊したため力を取り戻して諦めずに幻影の時の様に空を飛び脱出を試みるエヴリンと、それを阻まんとするゼウ・ヌーグルに取り込まれ全てを諦めたマザー・ミランダだ。全速力で出口に向けて空を舞うエヴリンと、六枚の翼で空を飛びエヴリンの進行方向に立ちはだかり火球を飛ばしてくるミランダ。

 

 

「そうだ。エヴァは蘇らない。私も潰えた。なのにお前とローズだけハッピーエンド?認めぬ、認めぬぞ!」

 

「ローズには家族が必要なの!イーサンとマダオも蘇らせる方法を伝えなきゃ!なにより、私が死んでローズを置いて行くことだけは絶対にない!」

 

「あんなエヴァの器ぐらいしか価値が無い小娘のなにがいい?何がお前にそうまでさせる?奴の力を利用して蘇りたいのか?厚顔無恥なできそこないだな貴様は!」

 

 

 火球をひらりひらりと余裕で回避し自分の横をすり抜けるエヴリンを止めるためか煽りに煽ってくるミランダ。それを聞いて立ち止まり、振り返るエヴリン。髪に隠れて陰になっている顔は見えず、溢れ出る衝撃波でスカートがバサバサとはためき、足元で小規模な竜巻が発生する。端的に言えば、キレていた。

 

 

「私の事をなんと言おうとどうでもいい。そうだよ、私は死んでもなお恥知らずにもイーサンやローズに付きまとっている厚顔無恥なできそこないだ。でもね?」

 

 

 瞬間、エヴリンはミランダの目の前に衝撃波でぶっ飛び、衝撃波を集束させた拳をその顔面に叩き込んでいた。

 

 

「があっ…!?」

 

「お前程度が私の家族を侮辱するな…!」

 

 

 殴り飛ばされたミランダを空を飛んで追いかけ、追撃の衝撃波を纏った横蹴りを叩き込むエヴリン。咄嗟に防御のために挟んだ右腕をへし折られ胴体が寸断されると錯覚する勢いで蹴り飛ばされてミランダは地面に叩きつけられる。失言だったと気付いた時にはもう遅かった。なんとか立ち上がったところに肩にポンと手を置かれ、恐る恐る振り返ると憤怒の形相を浮かべたエヴリンがモールデッド化した右拳を振り上げているところだった。

 

 

「いいことを教えてあげる。私がエヴァ、らしいよ。貴女の娘の生まれ変わり」

 

「なっ…あっ…!?」

 

「だからミランダ、お前も家族だ。だけど今の家族を侮辱していい理由にはならないよね」

 

 

 そして胸部を拳で穿たれたミランダは、最後の砦である今の肉体すら白化して項垂れ、崩れ落ちて行く。完全に消滅するその刹那、かろうじて形が残った右手をエヴリンに伸ばして微笑むミランダ。

 

 

「…そうか、我が願いは既に……もっと早く気づいていれば……すまない、エ…ヴァ……」

 

「…子は親を選べないってひどい話だよね。急ごう、ローズが待ってる」

 

 

 完全に消滅したミランダを見届けたエヴリンは、天上の光へと急ぎ……最後の最後で間に合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後悔するようなことだけはしないで」

 

「どの世界でもローズは私の大事な妹だからね!」

 

「あとは任せたよ、エヴリン。ローズを頼んだ」

 

「ありがとう、平行世界の姉さんたち」

 

「任された!」

 

 

 三人の姉さんに別れを告げて元の世界線に戻し、私の姉さんと抱き合う。ああ、姉さんだ。姉さんだけは、帰って来てくれた。

 

 

「父さんとカールは…帰ってこないんだね」

 

「あ、それなんだけどね。菌根と繋がりの深い私やミランダはともかく、元はただの人間のイーサンとマダオはゼウ・ヌーグルを形作っていた数多の記憶と一体化してるみたいで……今のローズの、白き神の力?でサルベージすれば生き返ると思うよ」

 

「それほんと!?姉さん!」

 

 

 思わぬ言葉に肩を掴んで揺らして成否を確認するとぐわんぐわんと揺られながらも姉さんは頷いた。それを伝えるために戻って来たらしい。

 

 

「今のローズはゼウ・ヌーグルと一緒。だからどんな芸当でもできるはず。まあ時間がかかるだろうけど、このセカイならあっちと時間の流れはずれてるだろうし気楽に……」

 

「こう、かな!」

 

「できたの!?さすがローズ!私の妹!」

 

 

 両手をかざし、地面を構成している菌根で人型を二つ作り上げて行く。ゼウ・ヌーグルの記憶も同様に取り込んだから使い方はすぐに分かった。……でも沢山の人間の記憶が頭の中にあるって変な感じ……油断したら「私」が消えてしまう。飲み込まれない様に気を付けないと。

 

 

「…俺は、どうなって…ローズ!?アイツを、倒したのか!」

 

「ああん?なんでエヴリンが先に蘇ってやがる!」

 

「私がローズを置いて死ぬわけないじゃん!」

 

「父さん!カール!」

 

 

 思わず飛び出して、二人を纏めて腕で抱えて抱きしめる。ああ、よかった。本当によかった。

 

 

「…悪かったなローズ。お前に背負わせて」

 

「大人がしなきゃいけないことをやらせちまった。お前の力も…」

 

「ううん、いいの。…多分、浄化結晶を新しく作ればこの力を手放せると思う」

 

 

 菌根を支配する力。このセカイの神そのものの力。浄化結晶なら、手放して菌根の世界に封じ込めることができるはずだ。…だけど。

 

 

「でもそしたら父さんたちとお別れになってしまう。0か100かしか選択肢はないの。だから私は、この力と一緒に生きて行く」

 

「…いいの?」

 

「うん、姉さん。決めたの」

 

 

 この力は生まれた時から私と共にあった。これを捨てるのは、やっぱり違うと思う。父さんの子供で姉さんの妹って証なのだろうと思うから。これは繋がりで、責任だ。私にはこの力と一緒に生きて行く責任がある。

 

 

「それでね、提案があるの。父さんと姉さんはこれからも一緒にいてくれるとして、カールも…どうかなって」

 

「俺も?いや今のお前ならできるんだろうが…いいのか?俺はミランダもゼウ・ヌーグルも倒してお前が無事を確認すれば消えるつもりで…」

 

「お願い。現実でも、私を見守って、カール」

 

「マダオもおいでよ、レムナンツ!」

 

「お前なら歓迎するぞ?」

 

 

 私が上目づかいで長身のカールのサングラスをかけた顔を見上げ、姉さんと父さんが頷くと、カールは観念したように両手を上げる。

 

 

「わかった。わかったよ、降参だ。責任もってお前を見守ってやるぜ、いじめなんて論外だ」

 

「そいつは同感だ」

 

「三人でローズの心を守り抜こう!」

 

「やった!……じゃあ帰ろう、現実に」

 

 

 「力」を使い、浮上する。現実はこれからもこれまでだって辛いことの連続だろう。でも家族がいれば乗り越えられる、そう信じて私はこれからも生きて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリスも知らない「力」をアンタで試してやってもいいんだよ?」

 

「彼に似て来たな」

 

「…知ってる」

 

 

 

 数ヶ月後。菌根の世界から戻ってきたローズの周りにある変化が起きた。まずは背後霊が増えたことだ。一人だけではなかったが。

 

 

『なにアイツ、いま私の妹を私の名前で呼んだ?しかもめっちゃ悪意ある感じで!』

 

『そうねえ。呼ぶならこんなちんちくりんより私の名前よね、わかってないわ』

 

『なんで菌根の力を使えて俺に似てきたのか、抗議させろ』

 

『そりゃあイーサンは菌人間だからな。…待てよ、ローズ貶されてるってことか?おいローズ、早く体を作れ。ぶん殴らせろ』

 

「ああもう、うるさい!」

 

 

 クリスの部下に送られた自宅で、ローズは自らについてきた四人(・・)を睨みつけると怯む背後霊たち。エヴリン、ゼウ・ヌーグル、イーサン、ハイゼンベルク。そう、ゼウ・ヌーグル。白髪の女性の姿をしたそれは、ローズが取り込んだ己の力の残滓としてレムナンツに加わったのである。

 

 

「…もう。なんかやらかしたら即座に消すからね。特にゼウ!わかった!?」

 

 

 ポケットに入れた菌根の欠片に力を注ぎこみ、四人の肉体を作り上げるローズ。これがもう一つの変化。レムナンツ達が実体を持って現実に出てくることが可能になったのだ。これからミアも合わせて全員そろってファミリーレストランで食事だ。特に美食に五月蠅いゼウ・ヌーグルにとっては至福の時間だった。

 

 

「油断したらローズの身体をいただいて……ごめん、嘘よ。だから私だけお預けとかやめてくれない?」

 

 

 未だに衰えない悪意を見せたら容赦なく己の身体を消し始めたローズに慌てて謝るゼウ・ヌーグル。ローズから力を奪い返そうと目論んでいるものの現時点の力関係は完全にローズが上であった。というか胃袋を掴まれているも同然だった。その光景を見て笑うイーサン、エヴリン、ハイゼンベルク。

 

 

「ローズがこいつにまで身体を作るなんて最初は反対だったけど面白いね」

 

「まあなにがあっても俺達が守るから問題はないだろう。妹ができたみたいで嬉しそうだしな」

 

「腹黒妹だがな。まさかローズの力の底上げがいじめを解決するとは思わなかったが」

 

 

 最後の変化はローズの力の底上げにより、他人に一時的に菌根の影響を付与できるようになった点だ。操るとかはローズの性格上しないが、クリスなど本来見えない人間でもイーサンたちを見せることが可能になった。その力により、ルーシーやキャサリンといったいじめっ子たちをレムナンツで脅して撃退したのは良い思い出である。

 

 

「ほら、行こう!父さん、姉さん、カール、ゼウ!」

 

 

 この世界で最も恐ろしい四人を従えた少女の笑顔は、その実とても輝いていた。




実は真のラスボスはミランダでしたと言う話。エヴリンが決着をつけていました。ある意味ミランダ救済ルートでもあります。罪が多すぎてエヴァの現状を知る事しか救いはないと思うの。

神も同然になったローズの力で復活のイーサンとハイゼンベルク。そして現実へ。ハイゼンベルクとちゃっかりゼウ・ヌーグルもレムナンツ入り。本編のエンディングとは矛盾が生じてますがこれもまた平行世界の一つということで。

いじめっ子も過保護なレムナンツに撃退されて、満面の笑みのローズでラスト。ここまで行くために長いことかかりました。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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  • 16年後の本編エヴリン30代(ローズ編)
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