BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。まだまだ準備期間。とりあえず現状把握です。楽しんでいただけたら幸いです。


file0:2【クイーン】

『1980年……えっと、2037年から数えて…………57年前!?』

 

 

 父が持って来て我等に学ばせようとしている新聞を見ながら頭を抱えてワチャワチャ動く謎の少女。どう考えても侵入者なのだが、父には見えてないらしい。私程賢いわけではない同胞には見えてるようだから、新しい餌とかいうのが原因なのだろうな、ともしゃもしゃ食べながら考える。

 

 

『半世紀以上前じゃん!イーサンまだ生まれてすらいないよ!?』

 

〈何を喚いている子供〉

 

『誰が子供じゃあ!こう見えても実年齢は三十路(みそじ)…じゃなくて大人だぞお!このチビ!』

 

〈誰がチビだ。これでも同族の中では最大だぞ、厚顔無恥め〉

 

『小難しい言葉を知ってたら偉いわけじゃないんだぞお!?』

 

 

 話しかけて見たらギャアギャアとヒステリックに喚く少女。なんだこいつ。この見た目でウェスカーとバーキンより年上だと?………いや、そんなわけがあるわけがないか。子供の戯言だろう。

 

 

『すっっっっっごく、失礼なこと考えてない?というかお前はなんなのさ。自我があるヒルってなに。どこに脳があるのさ』

 

〈我々は父曰く変異ヒルの群れ、そして私はその統率個体だ。お前こそ何者だ〉

 

『私はエヴリン。えっと……特異菌のB.O.W.……かな?』

 

〈なんで自分の事なのに疑問系なんだ。びーおーだぶりゅーとはなんだ〉

 

『え?バイオオーガニックウェポン………有機生命体兵器のことだけど……知らないんだー、おっくれてるー!』

 

〈なんだお前〉

 

 

 なんだこいつは。無知だと思えば私の知らない言葉を知っている。父の様な知性は感じられないがある程度賢いのは言動から分かる。2037年とかいう遥か未来のことを言ってたがそれはよくわからない。エヴリンを見てみれば、腕を組み脚で胡坐をかいてふわふわ浮きながら逆さまになって何か考えている様子だった。

 

 

〈どうでもいいが何を悩んでいるんだ?〉

 

『いやー、せっかく意思疎通できるし君の事なんて呼ぼうかと……』

 

〈変異ヒル統率個体だ。父がそう呼んでいるんだからそう呼べ〉

 

『長いしやだよ。そんな記号みたいな呼び方大嫌い。私の事をE型特異菌集合個体って言うようなものじゃん』

 

〈そう呼んでやろうか?〉

 

『やめて』

 

 

 真顔で応えるエヴリンから殺気の籠った目で睨みつけられてビクッと震える。同胞たちも怯えている。他の人間を実験体にする父の様な無慈悲な感情を感じ取った。こいつは、他の命を奪うことに何とも思わない奴だ。

 

 

『よし、決めた。ヒルの統率個体ならつまり女王だ。クイーンって呼ぶよ』

 

〈勝手に決めるな。父はそう名付けてはいない〉

 

『父、父ってファザコンなの?』

 

〈ふぁざこん?〉

 

『? さっきからなんか変だな……あ、そうか。B.O.W.とかファザコンとかそう言う言葉がまだないのか、納得。気にしないでねクイーン』

 

〈勝手に納得するな〉

 

 

 新聞を置いて部下の二人と共に出て行った父。エヴリンに気を取られて父の観察をするのを忘れてしまってた。全部こいつのせいだ、許さん。

 

 

『帰るのはもう諦めるとして、せっかく来たなら後に起こる悲劇を何とか止めたいな…なんか情報あるかな?』

 

 

 そう言いながら新聞に顔を突っ込むエヴリン。物に触れられないからだろうが、躊躇なく顔を突っ込むその姿に引いてしまう。なんだこいつ。

 

 

『ろくなニュースないなあ、当分は情報集めかな。これから話し相手よろしくね、クイーン』

 

〈ふざけるな、ごめんだ。勝手にしろ〉

 

『だが断る』

 

 

 私に手があればこいつを喰い殺してやりたいと率直に感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1981年7月。私がこの時代に飛んできてから一年がたった。正直言って最悪の一年だった。ここの所長らしいマーカスとかいうクイーンが父と呼ぶおじさんは部下を躊躇なくt-ウィルスの実験台にするし、その光景を嫌と言う程見てしまった。離れたかったが、話し相手のクイーンから離れるのは嫌だったし、アンブレラのウイルス研究の中枢のここを離れると悲劇を見過ごしてしまいそうでやめた。まあ私、物に触れないから止めるすべもないんだけど。……そう考えると菌根世界で大暴れしといてよかったな。20年分ぐらいの鬱憤は晴らせたと思う

 

 

『何々……【世紀の天才アレクシア・アシュフォード、10歳にして有名大学を首席で卒業】?…へー、私の方が天才だし?(震え)』

 

〈むしゃむしゃ。同じ10歳でも天地の差があるな〉

 

『何度も言うけど10歳じゃないから!あと食べながら喋るな行儀悪い!』

 

〈厳密には喋ってないぞ。お前が勝手に読み取ってるだけだ〉

 

 

 ぐうの音もでない。このヒル私より頭がいいんじゃなかろうか。クイーンは食事の合間にたまに話しかけてくれる。暇つぶしなんだろうが他に意思疎通の相手がいない私からしたらありがたい。この間菌根の一部で実験されてた人がいたけど間もなく死んだ。適性が無かったらしい。…意思疎通できる人間がいればだいぶ変わるんだけどなあ。

 

 

『にしてもマーカス、好き勝手してるなあ。絶対恨み買ってるよあれ』

 

〈父を悪く言うな〉

 

『そりゃあクイーンたちに見せる愛情は本物だけどさ、異常だよ』

 

 

 クイーンたちの父らしいジェームス・マーカスと言う人間はよくわからない。非常に優秀な科学者だし、人材育成の腕前は確かだ。このアンブレラ幹部養成所で優秀な人間を何人も出している。規律・忠誠・服従という決まりも細かく、従順な人間が多い。だが人間不信である様子で、一番弟子で今はアフリカで研究しているらしいブランドン・ベイリー以外信用せずに、変異ヒルに愛情を注いでいる辺り変人だ。ちなみに飾っている若い頃の写真はだいぶイケメンだった。…ブランドン・ベイリーってなんか聞いたことあるんだけどなんだったっけ。

 

 

 そう言えばどうでもいいけど研究員でマーカスの側近をしているサングラスじゃない方のウィリアム・バーキンがなんかアレクシア・アシュフォードにライバル意識を向けてたの笑った。どうやらアレクシアもアンブレラに就職するらしい。アレクシアと言えばクリスが戦ったというバイオハザード首謀者の一人の名前だ。この人たちも未来の悲劇に関わってくるんだろうな。どうしようもないけど。

 

 

 バーキンともうひとり、アルバート・ウェスカーは有望幹部候補として養成所に赴任してきたらしく、その才能にはさすがのマーカスも舌を巻いたらしく、研究室に篭り切りで人と会うことも稀だったのに直々に二人に指導・教育して、普段他人には絶対に触らせない自身の研究にもある程度参加させたりしているという話を研究員の噂話で聞いた。ある程度信用してるっぽいけど…………なーんか、信用できないんだよなあ。特にウェスカー。金髪グラサンとか信用できる要素が無い。

 

 

『というわけで警戒した方がいいよ、ウェスカーとバーキン』

 

〈どういうことでだ。そしてどう警戒しろと言うんだ。私は文字通り手も足も出ないんだぞ〉

 

『と言われても物に触れない私じゃ何もできないし……クイーンなら威嚇なりなんなりできるじゃん?これは友人としての忠告だよ』

 

〈友人?誰と誰がだ〉

 

『もうやだイーサンに会いたい』

 

 

 頭を抱える。クイーンが塩対応過ぎて辛い。一年会わないだけで滅茶苦茶恋しい。イーサン、ローズ、マダオ…ハイゼンベルク、ゼウ、ミア、ゾイ、ジョー、クリス……みんなに会いたいなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、1983年の年末にアレクシアが亡くなったと言うニュースがあったり、1986年にバーキンの娘のシェリーが生まれてマーカスが珍しく祝ったりと、色々なことあった後の1988年。事件は起きた。




女王ヒルくんちゃん(性別が無いため)にクイーンと名付けるエヴリン。実はこの頃クイーンは女王ヒルではないため不服な模様(まだ単なる統率個体でしかない)。

バイオハザードの80年代は重要人物が生まれたりかなり怒涛。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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