BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
あれから三日後。マーカスの死体を何体かの変異ヒルに任せ、周囲を探索した私達はアークレイ山地にある洋館に潜入していた。クイーンは事故に遭い森を彷徨っていた少女と言う設定に文字通り擬態し、洋館の人間に取り入っている。恥ずかしいからやめてほしいがスパイに向いてるなと思った。その間に私が探索していると見覚えのある二人を見つけて追いかける。
「アルバート。RTというのはなんなんだ?」
「リサ・トレヴァー。アークレイ研究所の最高機密ではあるが、噂は聞いていた。1967年、洋館を設計したジョージ・トレヴァーの当時14歳だった娘が母親と共に幽閉されてウイルス実験の被験者にされて監禁されていると……通称RTとして研究員の間で噂されていたことをな」
「この趣味の悪い洋館の設計者の娘か。私の娘がそうなっていたらと思うとゾッとするよ」
カツカツと靴音を立てながら洋館の秘密の通路から地下に降りて行くウェスカーとバーキンをふよふよと浮いてついていく。ついていくだけで情報をもらえるのはありがたい。
「ウイルスに適応した様だが、やがて意味のある研究成果を得られなくなり、それ以後何度廃棄処分にしても死ななかったことから研究員達からは「生き続けるだけのデキソコナイ(出来損ない)」と侮蔑されているようだ。今は35歳だがまともな成長をしておらずまだ若さを保っているらしい。我々はそのデキソコナイに生きる意味を与えに来たと言う訳だ」
「それがこの「菌根」と「ネメシス・プロトタイプ」か」
そう言うバーキンの手の持つ二段のケージには、菌根…の一部と、よく分からない触手が蠢く肉塊が入れられていた。菌根もヤバいが、どう見てもヤバい代物である。
「ウィリアム、お前の作ったT‐ウイルスの傑作「タイラント」の研究が適性のある被験者の不足から行き詰まっていただろう?尋常でない生命力からリサ・トレヴァーが再び被験体に選ばれらしくてな。ヨーロッパの研究所より送られたその寄生生物「NE-α型」…通称「ネメシス」のプロトタイプを投与しようということらしい」
「なるほどね。タイラントが完成する礎となるんだ、光栄だろうな」
『こいつら嫌い』
思わずぼやきながらついていくと、研究所らしきところに出た。幹部養成所より設備がしっかりしてる印象だ。まああそこ、マーカスが研究できればそれでいい所あったしなあ。そして辿り着いたのはガラス張りの部屋が一望できる隣接した趣味の悪い部屋。二人が待っていると、ガラス張りの部屋の奥の壁が開いて武装した兵士数名に連れられて何かが入ってきた。
「…ママ?」
『…うわあ』
それは一見、見目麗しい少女だった。しかしよく見ればウイルスの影響か右目が肥大化して顔の半分を覆っており、虚ろな表情を浮かべているがこちらの気配を感じ取ったのか視線を向ける。灰色の病衣を着せられたその四肢と指は異様に細く長く、手錠を付けられた手を床について猫背で歩いている様はゴリラの様にも見える。その異様な姿を見たウェスカーとバーキンは絶句する。気持ちは分かる。こいつらにも人の心はあったか。
「異様にも程があるぞ。どう育てばこうなる?」
「まったくだ。だが被験体としてはちょうどいい。用意しろ、早速投与実験を開始する。生き延びることを祈ろう」
あれがリサ・トレヴァー……思い出した、クリスに教えられた…私とよく似た境遇だという少女の名だ。実年齢が35だということもなんか親近感がわく。…たしか、彼女から数多のウイルスが作られたという話があったはずだ。
『これだ。クイーンのアンブレラの復讐を遂げるためには、リサが必要だ』
そう思い至った私は天井を抜けて洋館に戻る。目指すは今もかまととぶっているであろうクイーンの元だ。
「私、父と逸れて途方に暮れて……」
『クイーン!クイーン!トイレに来て!』
「っ!…あの、ちょっとトイレに……」
「ああ、それならそこを曲がって左の突き当りだ」
「ありがとうございます!……チッ」
『似合わないの自覚してるのは分かるけど舌打ちはやめた方がいいよ』
警備員と対面して話していたクイーンに語りかけ、愛想よく振りまいていたものの去り際に舌打ちしたクイーンに注意しながら一緒にトイレに向かう。そこのダクトからなら地下の研究所までヒルに分離して行けるはずだ。
『ダクトに来て!』
〈なにかわかったのか?〉
トイレに入るなり躊躇なく素っ裸になり白衣を丁寧に畳んで、私の姿を崩して複数のヒルに分離。白衣を粘液で取り囲んで袋の様にして引っ張りながらダクトに入り込むクイーンの傍の地中を顔だけダクトに出しながら浮遊しつつ私はことのあらましを説明する。
〈あの二人がここに…そのリサとかいう人間を奪えば度肝を抜けるな〉
『うん、それだけじゃない。アンブレラの計画を遅らせることもできる。リサは救う価値ありだよ』
〈作戦はあるのか?〉
『ないね!』
〈お前に期待した私が馬鹿だったよ…〉
クイーンに呆れられながら、地下研究所のダクトまで来た私達は、
「んあ?なんだ?子供の研究者…?まあアレクシア・アシュフォードみたいなのがいるからおかしくもないか…ふああ、トイレトイレ…」
そう言ってトイレに向かう研究者。…どうやら寝ぼけ頭で白衣を着ているクイーンを見たからか勘違いしたらしい。アレクシアに感謝だ。よく見れば裸足とかおかしいところはいくらでもあるのにね。
『冷静になったらばれそう、急ごう』
「ならそろそろリーチ・モールデッドになっておくぞ。この顔を知られたら後から使えなくなるからな」
『使えなくなる方がいいんだけど…そうも言ってられないかっと』
クイーンの身体に飛び込む私。同時にモールデッド・ギガントの要領で変異ヒルたちの体内の菌根を繁殖させて擬態を解き、人型のヒルの集合体となり構成を固める。リーチ・モールデッドの完成だ。
「…体の主導権を奪われるのは慣れないな」
『今のうちに慣れといて!行くよ!』
ヒタヒタと足音を立てねばつく足音を残しながら歩いて行く。途中出くわす研究者は声を出す前に伸びる腕で拘束して口を塞いで粘液に閉じ込めて捨て置き、例のガラス張りの部屋の前までやってくる。
『うおりゃあああ!』
右腕にヒルを集めて肥大化させ、扉を殴りつけると、何やら背中にあのケージの中にいた肉塊を付けられてそこから黒い触手を伸ばした姿となってなお鎮静剤かなんかを打たれたのか大人しいリサがいて。そのリサから採血していたバーキンと、その背後に立つウェスカーが驚いた顔でこちらを見ていた。
「なに……変異ヒルのバケモノだと…!?」
「逃がしたと報告を受けていたがここまで来ていたとはな!」
『っ!』
バーキンは驚いて身動きが取れないでいたが、ウェスカーは躊躇なく頭部への攻撃をしてきたので咄嗟に右腕を粘液で固めて受け止めると、腰に前蹴りが叩き込まれて呻く。ダメージは私まで来るのか、なんて格闘能力だ…今まで戦った相手が能力特化ばかりだったから厄介過ぎる!
「どうした、その程度か?」
体勢が崩れたところをネリチャギの様な技で頭から踏み潰されるも、クイーンが粘液で囲ってなんとか防御。そのまま粘液でウェスカーの足を絡め取り、立ち上がって無理やり脚を持ち上げさせる。
「ぬっ…!?」
『隙あり!』
そこに、ヒルを集めて肥大化させた拳を叩き込んで壁までウェスカーを殴り飛ばす。そのままついでにバーキンも殴り飛ばし、ぐったりしているリサを肩に担いで持ち上げる。
「ま、待て!」
バーキンが持っていたらしいハンドガンで腹部を撃たれてやられたヒルが転がるも気にせず私達は研究所内を駆け抜けて、立ちはだかる研究員を千切っては投げ千切っては投げ…まではしないけど薙ぎ払い、洋館に脱出。裏庭に出て、使われてなさそうな建物にとりあえず入る。
『………ここまでくれば大丈夫かな?』
「これがリサか…本当に人間か?」
『どんな姿になろうと人の魂があれば人間だってクリスが言ってたよ』
「クリスとは誰だ」
『うーん…私の先生?』
さて、とりあえずリサを担いで森の中を逃げるのは無理があるし、リサが目覚めるのを待つとしようか。
というわけでリサ救出ルートでした。
・リサ・トレヴァー
バイオハザード リマスター版に登場するクリーチャー。母親を求めて女性職員の顔を剥いでコレクションにするなど危険な怪物。彼女からGウイルスが生まれたりなど、バイオシリーズを通してもかなりのキーパーソン。今回のはまだあの姿になる前の状態。実年齢35歳だが半分異形の美少女の様な顔をしていて、全てを諦めているからか大人しい。菌根とネメシスプロトタイプを埋め込まれたようだが…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
リサをどうしたい?
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異形の怪物のまま
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完治して不老不死の少女
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顔だけ戻るけど四肢は異形のまま
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四肢は戻るけど顔はそのまま、仮面で隠す
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ネメシスに乗っ取られる