BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。いつもより早い更新となります。仕事が休みで筆が乗ったからしょうがないね。リサが登場したのを見るのがまだと言う方は前回からどうぞ。

今回は洋館からの逃走。楽しんでいただけると幸いです。


file0:5【悪夢からの脱出】

 今日も夢を見る。幸せだったあの頃の夢。パパ、ママ、友達……みんなの顔が浮かんでは消える。消えて行く…もう20年近く前のできごとだ。覚えていることの方が少ない。だけど、あの日の事は鮮明に思い出せる。パパが設計したと言うアークレイ山地の洋館の完成記念パーティーにお呼ばれした私達トレヴァー家。パパは遅れてやってくるらしいのでママと二人で先に向かったところ、パーティーとは名ばかりで、秘密だらけの洋館を作ったパパとその家族を口封じするための口実でしかなかった。私とママは囚われ、そして……あの注射を打たれた。

 

 

「ママ!ママ!」

 

「リサ…ごめんね、ごめん…ね…」

 

 

 椅子に拘束されて向かい合った状態で同時に注射を打たれ、目の前でママが苦しみ悶えて痙攣し、最期まで謝りながら血の泡を口から噴き出して崩れ落ちてそれっきり動かなくなるのを目にした。目にしてしまった。

 

 

「ママ…ママ!うっ!?ぐっ……」

 

 

 あまりの出来事に呆然としていたが我に返りママに呼びかけていたところに、ママを襲ったであろう苦しみが私を襲ってきた。骨が砕け、肉がちぎれる音がして激痛が襲いかかる。右目が充血して視界が半分真っ赤に染まる。身体を作り変えられているんだ、とそう確信した。そんな苦しみが三日間続いた。私がなにをしたっていうの?私まだ14才なんだよ?スクールで、友達と一緒に笑っていたはずなのに。なんで、こんな目に。

 

 

「おお!始祖ウイルスが定着しているぞ!実験は成功だ!」

 

「げふっ!?…フゥウウ!」

 

 

 もう何度目になるか。口に溜まった血を吐きだして口の端から垂らしながら目の前の研究員らしき男を睨みつけ、咄嗟に縛られて動かない筈の手を動かしていた。すると縄がちぎれて自由になった右腕が男の顔を掴んで壁に叩きつけてトマトの様に潰した。見れば、私の右腕は異様に長く、細く、しかして強靭に変容。指も細長く鋭いものになっていて、血に塗れたそれを見た私は、私が人でなくなって、人を殺してしまったのだと察してしまった。

 

 

「ママ…ママ…!」

 

 

 全身を駆け巡る激痛。異様に広がった右の視界。人を殺してしまった罪悪感。床を引き摺る指が鉄筋コンクリートを引き裂く感覚。騙され、ママを殺された憎悪。人でなくなった嫌悪感。思考がぐちゃぐちゃでまとまらない、咄嗟にずっと放置されていたママ…だったものに手を伸ばす。同時に、異様に広がった右の視界が、私達を映すガラスの壁を見た。見てしまった。

 

 

「あ、あ……アァアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 そこにいたのは、白い病衣を着た、四肢が異様に細く長く伸びて、細長く鋭くなった指を引き摺っている、巨大な充血している右目が顔の右半分を覆い尽くしたバケモノだった。残る顔が、これは私なんだと嫌でも教えてくる。私は発狂し、ママの死体を置いてガラスの壁を殴りつけた。硬質ガラスなのかビクともしないが、何度も何度も殴りつけると罅が入ってきた。どうやらパワーも異常になっているらしい。

 

 

《「取り押さえろ。こいつは使える。コードネーム“RT”として最重要機密に設定する」》

 

 

 すると男の声が聞こえてきて私は壁と一体化していた自動ドアから入ってきた武装した兵士に撃たれ、直撃を受けながらも一人の首を掴んで長い腕で天井に頭から叩きつけてぶら下げる。

 

 

「アァアアアアアッ!」

 

 

 そのまま別の兵士を殴り飛ばして硬質ガラスの壁に叩き付け、怒りをぶつける様に何度も何度も拳を振り降ろして滅茶苦茶にする。しかし更に兵士が入って来て銃を私に連射。何発も受けた私は抵抗しようとするも、眠くなりそのまま崩れ落ちたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っママ!」

 

 

 飛び起きる。微睡みの中で最初の記憶を垣間見ていたらしい。辺りを見渡すと、どこかの応接室の様な部屋だった。立ち上がり、置いてあった鏡を見れば変わらぬ、いや変わり果てた姿の私がいた。手錠は何か強力な力でねじ切ったのか近くに転がっていた。

 

 

「ァア…」

 

 

 ろくに会話していないため掠れた声が漏れて落ち込んでいると、ぱたんと扉が閉まる音が聞こえて、振り返る。そこには双子?と思われる、裸の上から白衣を着ている様にしか見えない黒髪の険しい顔の少女と、その横でふよふよと浮かんでいる(?)、黒いワンピースを着た黒髪で柔らかい表情の少女がいた。

 

 

「ご、ごーすと…?」

 

『失礼な。私は幽霊じゃないよ。…あれ、残留思念だし幽霊みたいなもんか?ねえどうなんだろ、クイーン』

 

「知るか。…やはり菌根を埋め込まれたからかエヴリンが見えるようだな」

 

「えヴ、りん…?」

 

 

 思わず身構えると、白衣を着たクイーンと呼ばれた少女が手にした袋…に見える粘液の塊から水の入った瓶と梱包されたパンをいくつか取り出して私の前に置く。思わずお腹が「くう」と鳴った。

 

 

「必要だと思って調達してきた。食え」

 

『リサはそんな姿でも人間だもんね?思念体の私とヒルのクイーンと違ってちゃんとしたものが必要だと思ったんだ』

 

「う、うう……」

 

「そんなに心配しなくても毒は盛ってない。私達は、お前の味方だ」

 

『もうちょい優しく言えない?クイーン』

 

「これから一緒にいるんだぞ。嘘を吐いてどうする」

 

 

 そう仏頂面で言うクイーンと注意するエヴリンに、毒気を抜かれていた。私は涙を流しがら未だに慣れない長い手で水を飲み、パンを一心不乱に食べた。美味しかった。これまで出されていた必要最低限の濁った水と腐ったパンの何千倍もよかった。涙が溢れる。人間扱いされるのがこんなに嬉しいだなんて。何年振りだろう。

 

 

「さて。落ち着いたか?まず名乗ろう、私はクイーン…と呼ばれている。人間ではない。変異ヒルの集合体で私はその統率個体だ」

 

 

 一瞬、少女の姿をばらけさせてそう言うクイーンに度肝を抜く。人間じゃなかったんだ…。

 

 

『私はエヴリン。貴女に埋め込まれた菌根の……えっと、意識みたいなものかな?厳密には別にいるんだけど。菌根を取り込んだ者にしか見えない美少女だよ!』

 

「自分で美少女言うのか…」

 

『だってリサ、すごい美少女なんだもん!』

 

「わたし、は……うつくしくなんて、ない……みにくい、バケモノだ」

 

 

 鏡に映る我が身を見てそう自虐する。人じゃない二人よりも私の方が人間じゃないみたいなんだもの。笑えてくる。

 

 

『そんなことないよ!…見るからに異様に細胞が増長して眼球が大きくなった感じかな?』

 

「背中のそれも剥がせなかったからなんとかしないとな」

 

「せな、か…?」

 

 

 背中を鏡に映して右の視界に納めると、そこにはリュックサックの様に肉塊が病衣を破って背中に癒着していた。今までにない変化に、絶句する。

 

 

「なに、これ…はが、して……」

 

「そうしたいのはやまやまだが完全にくっ付いている。引き剥がすとしたら大けがになるぞ。そしたらここから逃げれなくなる」

 

『我慢してもらうしかないかな…』

 

「……にげ、る?」

 

 

 恐らくここは洋館のどこかなのだろうとはわかっていた。ここから逃げ出す?私を連れて、か?

 

 

『そうだけど…ここにいたい、とか言わないよね?』

 

「わたしに、いばしょは……ない。しにたくても、しねない、だからここに……」

 

「ふざけるな。お前は生きているんだろう?アンブレラのクソどもにいいように扱われて、それでも生きている!生きたくても生きられなかった私の父の様な存在もいる!なのに諦めるだと、ふざけるな!」

 

『落ち着いて、クイーン!』

 

 

 クイーンに病衣の胸ぐらを掴まれて少女とは思えない怪力で持ち上げられる。その顔は怒りに満ちていて、泣きそうだった。

 

 

「容姿なら私が何とかする。お前を乗っ取って支配下に置こうとしているそのネメシスとかいうのもエヴリンが何とかする。だから諦めるな!私もお前と同じ、アンブレラに恨みを抱く者だ。共にアンブレラをぶっ潰そう。そして幸せに生きてアイツらを見返してやるんだ!」

 

「くいーん……」

 

『私は特にアンブレラに恨みはないけど許せないのは同じだよ!一緒に行こう、リサ!』

 

「……わたし、は……いきたい、まだまだ、やりたいことが、いっぱい…ある。ママをころして、わたしをこんなすがたにした、あいつらゆるせない……やら、せて」

 

 

 私は決意を二人に伝える。やってやる…あいつら……アンブレラに復讐してやる。

 

 

「そう来なくちゃな。まずお前を脱出させる。お前さえいなくなれば奴等の研究は水の泡だ。エヴリン、脱出ルートは?」

 

『それなんだけど……ねえクイーン。リサを擬態させることってできる?』

 

「楽勝だ」

 

「あう…?」

 

 

 瞬間、私は大量のヒルに崩れたクイーンに襲いかかられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい…」

 

〈あんまり無駄口を立てるな、ばれるぞ〉

 

『でもこれなら美人な研究者にしか見えないね』

 

 

 やったことは簡単だ。クイーンたちがリサの表面に纏わりつき、異形の四肢を普通に見せ、顔も異形の右目を覆い隠して本来の美少女の顔に変えて、マーカスの白衣と途中で殴り倒した研究員から拝借した服を着て、堂々と外に出るのだ。黒髪をふんわりセミロングにした美女が歩いているのは目立つが、逆にこれなら逃亡中の実験体とは思われないだろう。

 

 

「おいお前。見ない顔だな。いや、見覚えがあるぞ…?」

 

 

 すると洋館のエントランスまで来たところで、遠巻きに見ていただけの研究者の一人がリサに呼びかけた。バーキンだ。焦りに焦る私たち。不味い、バーキンはリサの顔を半分だけど知っている…!こうなったら……!

 

 

『リサ、胸ポケットに拳銃がある!』

 

「! うご、くな」

 

 

 バーキンの胸ポケットに手を突っ込んでハンドガンを手に取り、頭部に突きつけて後ずさるリサ。いきなりの出来事に硬直していたバーキンだったが、すぐに気付いたのか驚きの表情を浮かべる。

 

 

「まさか。RTか!?どうやってもとに…」

 

『リサ、このまま逃げて!外!』

 

「ま、待て!」

 

 

 私の指示に従い、扉から外に出る私達。粘液で扉を固めて出られないようにしたうえで、リサは全力疾走する。

 

 

「これが、そと…!」

 

「そうだ。私も感動した」

 

「これが、じゆう…!」

 

『うん、そうだよ!自由!』

 

 

 擬態を解いて人型に戻ったクイーンと共にリサが意気揚々と夜の森を駆け抜ける。私達実験体にとって「外」と「自由」はかけがえのない物だ。リサとも仲良くなれそうだなと、そう思った。




リサの当時の描写を書いてみましたがこれは妄想なので原作がこうだったとは限りませんのであしからず。

現在はクイーンの擬態で人間態を取ることができるリサ。元に戻すにはまだパーツが足りません。口調もおぼつかず。現在のリサの状況は、始祖ウイルス投与→改良型始祖ウイルスを長年にわたり何度も投与→用済みとして排除されそうになり不死性獲得+菌根とネメシスプロトタイプ投与→今ここ。

ネメシスって生物に寄生し、延髄で肥大増殖して新たな脳を形成、宿主の身体を乗っ取るという能力を持つんですが、リサだけ例外なんだそう。この子のポテンシャルが高すぎる。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

リサをどうしたい?

  • 異形の怪物のまま
  • 完治して不老不死の少女
  • 顔だけ戻るけど四肢は異形のまま
  • 四肢は戻るけど顔はそのまま、仮面で隠す
  • ネメシスに乗っ取られる
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