BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ラクーンシティ。アメリカ合衆国中西部に位置する、自然豊かな山々や森林に囲まれた地方都市。元々は小さな田舎町であったが、アンブレラ社の工場が郊外に建設されたことで飛躍的に発展し、アメリカ有数の企業城下町となる。…らしい。らしいとは、ラクーン市庁でもらったパンフレットにそう書いてあったのだ。
「ここ、本当にラクーンシティ?ママと一緒に洋館に行くときに通った街と一緒とは思えない」
『はえー、この時代にしては発展してるねーアンブレラすごい』
「アンブレラのお膝元か、けっ」
以前も訪れたことがあるのか街の変化に驚くリサ、あまりの規模に圧倒されるしかない私、あからさまに機嫌が悪いクイーン。……ここがラクーンシティ。いずれ、大規模バイオハザードが起きて滅ぼされる街……こんなに栄えた街が滅ぶなんてT‐ウイルスやっぱりヤバい代物なんだなあ。
「…さっきから見られてる気がする。私、触手伸びてる?」
「いいや。どこからどう見ても普通の女だから気にするな」
『そりゃ明らかにだぼだぼの男物の服を着ている美少女と裸白衣の女の子が一緒にいたら目立つよ』
あ、やばい。通報されてる。私は周囲を見渡して路地裏への道を見つけると二人を手招きして誘導する。ダメだ、16歳の時から21年も幽閉されていたリサと、マーカスに大事に大事に育てられた箱入り娘のクイーンの二人には常識が無い。どうにかしないと。
「…なるほどな。この格好は目立つのか」
『よく気付いた。さすがクイーン頭いい』
「でもこれ以外の服を調達なんてどこで…お金もないし」
『そこだよねえ』
…うーん、金を稼ごうにも恰好が怪しすぎる上に戸籍もないからそれもできないし……。戸籍、戸籍かあ。……いや待て。そう言うのに潜伏するための生物兵器が私じゃないか。
『戸籍、作るかあ』
「…一応聞くがなにするつもりだ?」
『役所の人間を一時的に洗脳して戸籍を作るの。リサとクイーンの分。本名だとばれるからリサは名前を変えよう。アリサ・オータムス、クイーン・サマーズとかどうかな』
「何で季節なの?」
『私がエヴリン・ウィンターズだから?安直かなあ』
「いや、響きが気に入った。それでいいぞ」
「私も、文句ないよ」
咄嗟に考えた名前だったけど気に入ってくれたならなにより。リサが親が残してくれた名前を名乗れないのが不服そうだが我慢してもらうしかない。ここはアンブレラのお膝元なんだから。
とりあえず悪いとは思いつつ家屋にクイーンが分離を利用して侵入して、真新しい普通の服だけもらってきた。犯罪だけど許してほしい、こっちは追われてる身なのだ。そして今はラクーン市庁舎で担当の人にリサに触れてもらって菌根を侵食、身分証明書と履歴書を作らせている。
『えっと、ブルックリンの高校を卒業して、警察学校を程ほどに卒業…あとはそうだなあ。適当にやっといて、……モラレスくん』
「適当すぎないか?」
そう言うのは、子供だと不便だし不自然だからと大人の姿…やっぱりゼウにそっくりだけど表情が目つきの悪い男前なので別人みたい……になってYシャツとスラックス、男物の靴の上からマーカスの白衣を着た格好のクイーンだ。ボーイッシュなのが似合ってる。
『私も履歴書とか詳しくないからしょうがないじゃん』
「何で警察学校なの?普通に大学とかでも…」
そう言うのはゆったりとした服にカーキ色のプリーツスカートと茶色いブーツを合わせたリサ。美少女なのも相まってシンプルでかわいい。
『アンブレラの情報を得るなら警察かなあって思ったんだ。二人には警官になってほしい。私が潜入してもいいんだけど、それじゃできることに限りがあるからね』
「…警察ってなんだ?」
『そこからかあ』
リサはともかくクイーンは箱入り蛭だったの忘れてたよ……。リサと一緒に警察について教えて行くと、分かりやすく不機嫌になって行くクイーン。私の顔でそんな怒らないでほしいんだけど。
「するとなんだ?私にアンブレラのお膝元のこの街とその人間を守れというのか?」
『そういうことになるかな』
「リサはいいのか?」
「私は……私の力が、人助けに役立てるなら…?」
クイーンの問いかけに恥ずかしそうにはにかみながら答えるリサ。…ああ、私は全てに絶望して世界を恨んだけど……リサは、高潔な精神を持ち合わせているんだな。
「…お前はあんな目に遭ったのに人間を恨まないんだな。なら私がどうこう言う訳にはいかないか。いいぞ、やってやる。だが細かいことはお前が指示しろ、私は人間の常識を知らん」
『うん、任せて。それでモラレスくん、できた?』
「はい、できました」
『ありがとね』
クイーンとリサが用紙を受け取り、その内容を確認してからモラレスから菌根の影響を消して解放する。…うん、ローズとの冒険とゼウとの戦いのおかげでノウハウ掴めてきたな。クイーンとリサの身体を媒介にして軽い洗脳程度なら自由にできるようになったかもしれない。
「それで、これからどうするんだ?」
『そりゃラクーン警察に売り込みに?本当なら警察学校卒業したらそのまま入れるんだろうけどね』
「媚を売れってことか…気が滅入るな」
「クイーン、がんばろ?」
「…わかったよ」
こてっと首を傾げるリサに、負けたと言わんばかりに手を上げるクイーン。リサ、魔性の女だなあ。
「見つかったのはこの片腕と夥しい量の血、そしてスティンガーの死骸だけだったと?」
リサから採取した血液と、撃たれてクイーンから分離した変異ヒルの一匹を検査していたバーキンは、戻ってきたウェスカーの報告を受けて眉をひそめた。それはつまり、失敗だと言う事だからだ。
「ああ、バーキン。ラクーンシティ郊外の駅に停車していた黄道特急の車体を確認したが見つかったのはそれだけだ。恐らくラクーンシティに逃げたな。隻腕の異形だろうが潜伏されたら探すのは骨が折れる」
「いや待て。血のサンプルはあるか?」
「ああ。液体で残っていたから採取してある」
ウェスカーの取り出した細いガラス容器とリサの片腕の入ったケースを受け取ったバーキンは早速検査にかけると、数分間何かを確認する様に動き続けた後ににやりと笑う。あることに気付いたからだ。
「…アルバート。恐らくRTは五体満足だぞ」
「なに?」
「RTに投与されたネメシス・プロトタイプの反応が新たに採取された血液から消えている。恐らく複数回に渡って投与された始祖ウイルスの改良型ウイルスが更に変異した未知のウイルスによるものだ。そしてこの腕、じわじわとだが再生をし続けている。恐らくRTの本体は驚異的な再生能力を有している。元々傷の治りが遅い物の不死性を持ち合わせていたのがさらに強くなったわけだ!興味深い!取り込んだネメシスの影響か?プロトタイプでこれなら完成したら……素晴らしいよアルバート!」
「なるほどな。スティンガーはちゃんと仕事を果たしたと言う事か。奴の死体も使いようはあるな」
「…む?アルバート、これを見てくれ!」
さらに顕微鏡に向かっていたバーキンが促すので覗いてみるウェスカー。サングラスの下の目が見開かれる。
「これは……なんだ?」
「RTの不死性を与えていたと思われる体内で変異し続けた始祖ウイルスとネメシス・プロトタイプの特性が結合した…!この新たなウイルスは変異を繰り返している!これはとんでもないぞ…!T‐ウイルスなんか目じゃない!」
「…だが確実性が無い。今はT‐ウイルスの研究に没頭すべきだ」
「そうだな……だがこのウイルスの研究も進めるぞ。このウイルスは、人間を神に等しい存在へと押し上げる…!名付けるとしたら、そう!」
バーキンはリサの片腕の入ったケースを掲げ、狂気的な笑みを浮かべる。
「tyrantに対するGOD……G‐ウイルスだ!」
この世界ではGODが由来。本来はゴルゴダの丘らしい。
クイーン→クイーン・サマーズ&リサ→アリサ・オータムスとしての経歴を手に入れた!だいぶ昔なのでそこらへんがばいですが気にしないでください。目指すはラクーンシティの警察、RPD。
一方、スティンガーの残したリサの片腕と血液からG‐ウイルスを見つけ出すバーキン。このためのスティンガーでした(ハンターはまだできてないだろうから切断できそうなのが彼しかいなかった)。
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