BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回は0本編の時系列に至るための繋ぎ回となります。楽しんでいただけると幸いです。


file0:8【蠢く世界】

 3年後。1991年4月。私が奮闘して無事ラクーン警察署に配属されたリサとクイーンは、アリサ・オータムスとクイーン・サマーズとして今日も今日とて奮闘していた。

 

 

「こら、待てお前!」

 

「待てと言われて待つ馬鹿がいるかよ!」

 

『次曲がる角を右に曲がったよ』

 

 

 クイーンが全力疾走して追いかけるのはひったくりである。リサと一緒に巡回していたところを出くわして見過ごすわけにもいかないので追跡中なのである。私が空から指示を出してるのでどこに隠れようと逃げられない。さらに私の声は、もう一人の警官にも届くのだ。

 

 

『リサ!行ったよ!』

 

「わかった!」

 

 

 トン!トン!トン!と、軽やかに眼下の建物の間を駆ける女性警官の姿が見える。足裏に菌根でストッパーを一時的に作って壁を駆け上ったリサだ。あんまり建物間を当たり前に跳ばないでほしい。スパイダーマンかなにか?まあ、今の二人の姿はまごう事なきヒーローだけど。身体能力の高さで誤魔化せているけど、ウェスカーとかいたら一目でばれそうだな。

 

 

「大人しく、お縄について!」

 

「があっ!?くそっ、どこから…」

 

 

 建物の上から先回りして飛び降りたリサに取り押さえられ、ひったくりは追い付いたクイーンに手錠をかけられて降参した。大捕り物劇に周囲から歓声が上がる。これで今月四件目のお手柄だ。昇進も早いかもなあ。

 

 

「アリサ。目立つのは避けろ。署長に目を付けられるのは避けたい。ただでさえ毎日あの下卑(げび)た視線に耐えてるんだ」

 

「でも、逃がすのはもっとダメだよ?それは私達が耐えればいいし。でしょ?クイーン」

 

「それはそうだけどな」

 

 

 クイーンが溜め息を吐くのはラクーン警察署の署長であるブライアン・アイアンズのことだろう。温厚で市民思いな人物で、部下からの信望も厚く、美術品の保護活動や動物愛護といった慈善活動家として市民に慕われている………というのは表の顔。本性は警察官とは思えない傲慢で短気な性格で、部下の前だと威張り散らすは機嫌が悪くなると当り散らすわ、女性警官の制服のスカートを規定より短くするように命令を出した挙句に下卑た視線を向けてにやにやと笑っているクソ野郎だ。美人であるリサとクイーンはお気に入りなのか目にかけているが下心ありありでなんとかのらりくらり躱しているけど…こんな奴でも署長になれるのだから世も末である。世紀末も近いけどさ。

 

 

「よお。今回も大活躍だな」

 

「ケンドさん」

 

 

 話しかけてきたのはロバート・ケンド。兄のジョウ・ケンドと一緒にガンショップ『ケンド鉄砲店』を経営している、口髭が似合う日系人のオーナーだ。警官になって最初の仕事が強盗に遭っていたケンド鉄砲店をリサとクイーンが助けた事件なのだ。それ以降二人を気に行って色々気にかけてくれている。

 

 

「アリサちゃん、相変わらずまるで人間とは思えないぐらい動きだな。かっこよかったぜ!コミックのヒーローみたいだ!」

 

「そ、そうかな?えへへ…」

 

 

 忌々しい自分の力をヒーローみたいと言われて喜び、頭を手をやるリサ。ほんわかする。

 

 

「昇進も近いだろうな。銃を選ぶなら俺たちの店を頼ってくれよな!いいもんを見繕ってやるからな!」

 

「ケンド。何度も言うが我々に銃は不要だ。私にとっては忌々しいぐらいだからな」

 

 

 クイーンがあからさまに不機嫌に応える。マーカスを銃撃で殺されたクイーン、銃で何度も処分されそうになったリサ。二人はそれぞれ銃がトラウマだ。普通警官は拳銃の携帯を義務付けられているが、二人はステゴロの強さを理由に拒否している。偉くなったらさすがに所持ぐらいはしないといけないかもだけどね。

 

 

「そいつぁ残念だなあ。気が変わったらいつでも頼ってくれよな!」

 

「気が向いたらな」

 

「じゃあ私達行きますので」

 

 

 ぶっきらぼうのクイーンと愛想がいいリサのコンビはラクーンシティでも密かに人気になってるっぽいな、と二人の周りに浮かびながら確認する。うんうん、いい感じにラクーンシティに溶け込めてるな。これなら異常があってもすぐ察知できそうだ。…ん?

 

 

『…視線?』

 

 

 どこからか視線を感じて見渡すが、それらしい人はいない。気のせいだろうか。いや、今の視線はクイーンとリサどちらでもなく私に向けられていた様な……。いやそんなわけないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、人ごみに紛れてその光景を見ていた。白いフードを被って顔を隠している、黒コートの人物だった。

 

 

 ―――――対象、RTと特徴がいくつか一致する人物を発見。しかし外見的特徴がまったく一致しないため一考の余地あり。監視を続ける。

 

 

 ――――周囲を自由に飛び回る謎の少女の存在を確認。正体不明。他の人間には見えてない模様。要調査。

 

 

 ――――ネメシス・プロトタイプγ正常機能確認。当躯体の動作に遅延あり。調整のため帰投する。

 

 

 裏路地に入り、コートの下から太い尻尾を出して地面に突き刺し棒高飛びの要領で跳躍して建物間に消えたその人物の右手の甲には「139」という数字が刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――1991年1月。アンブレラ・ヨーロッパ第六研究所において、「ネメシス計画」発動。プロトタイプとして、回収されたRTの遺伝子と、知能に問題がありRTに敗北した試作B.O.W.type-y139スティンガーの死骸をベースにウィリアム・バーキンとアルバート・ウェスカーが共同開発した試作生物兵器■■■にネメシス・プロトタイプを命令系統を重視して改良したネメシス・プロトタイプγを接合。――――プロトネメシスと仮称、RTの追跡に実験投入される。

 

 

――――バーキン博士が「G-ウィルス計画」を立案、スペンサー卿はこれを承認。程なく計画が始動、G‐ウイルスも合わせてT‐ウイルスを研究するためラクーンシティの地下に巨大地下研究施設の建造が開始する。

 

 

――――アルバート・ウェスカー、諜報部へと転属。限界を感じて研究職から手を引く。

 

 

――――同年2月、南米の麻薬カルテルの麻薬王、ハヴィエ・ヒダルゴがアンブレラからT-ウィルスを入手。風土病を患う妻ヒルダに治療と称して投与。体内のウィルスが暴走し怪物化が確認される。

 

 

――――同年12月。ソ連が崩壊、ソ連軍の大佐セルゲイ・ウラジミールがアンブレラに接触。T-ウィルスに完全適合し自らのクローンをアンブレラに提供し、この功績によりアンブレラ幹部に就任する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの知らないところで、世界(アンブレラ)は水面下で蠢いていた。




オリジナルクリーチャー、プロトネメシス誕生。1991年はバイオ的に絶対外せない時代です。クリスが18歳ぐらいの時代ですね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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