BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はVSセルケト。楽しんでいただけたら幸いです。
プロトネメシス…またの名をセルケト。
右半身のみとはいえマグナム等の高威力の銃弾すら通じない強固な装甲、鋼鉄すら容易く切断する鋏を有する右手右足、麻痺効果を持つ針の弾丸を指の先から発射できる左手、伸縮自在でありレンガの壁をぶち抜く威力を誇る自在に動く尻尾、巨体だろうと軽やかに跳躍させる常人の30倍にもなる筋繊維密度による超人的身体能力といったスティンガー由来の戦闘力に加え、RTの不死身とすら言っていい再生能力まで有する。本来なら暴走して制御不能となるところに背部に接合した「制御」に性能を回して改良した兵器、ネメシスプロトタイプγで制御することが可能。ここまでくれば完璧だ。
問題は人間の遺伝子を素体にしたことで自我を持っていたことと、現状を理解し己が最も優秀な生物兵器であると確信した故の傲慢で自信家な性格だろう。現在セルゲイのクローンによりタイラントを作成しているが、この失敗を踏まえて自我を持たせない方向性に決まった。それが完成するまでは間違いなく最高傑作と呼んでいいB.O.W.だった。まだ他のB.O.W.は実験段階なのだからなおさらだろう。
そんな彼女に与えられた命令は、脱走したRTと彼女の逃亡を手助けした変異ヒルの追跡と確保、始末だった。RTは確保、変異ヒルは始末である。生まれてからここ数年、RTによく似た…なれど異形なところは見当たらない女を発見し、その周りを明らかに怪しい飛び回る少女の存在を確認してから、その女…アリサ・オータムスがRT本人だと当たりをつけて五年。
生みの親の一人とも言えるアルバート・ウェスカーが近々諜報部の任務としてラクーン警察署に所属するという話を聞いたセルケトは、もしRTが本物なら恨まれているウェスカーに危害が加えられると考え、確認のために強行策に打って出た。
麻痺針を撃って本物なら反撃するか効かない、違ったらそのまま痺れるだけ。天才では?とセルケトは上機嫌で作戦行動に出た。するとどうしたことかRT候補のアリサではなく、その相棒クイーン・サマーズが妙な力で針を弾いたではないか。身体能力は高いがアリサには及ばないため無視していた存在だった。追いかけてきたクイーンが少女と一体化して報告書で見た異形の姿に変身したことで、正体が変異ヒルと判明。己の先達とも言える失敗作を前に、妙な嗜虐心が出てしまったのは彼女の悪癖だった。
「…私はリサ・トレヴァーじゃない。残されたRTの腕の遺伝子と試作B.O.W.type-y139スティンガーの遺骸を掛け合わせて作られた傑作B.O.W.……コードネーム:セルケト。またの名をプロトネメシス。貴女の優秀な後輩よ、失敗作の大先輩さん」
本来なら秘匿すべき名称すら述べたセルケトは、己の力を見せつけるべくリーチ・モールデッドに襲いかかった。
『あっぶな!?』
まるでキックボクシングのような動きで右手と右足の鋏を開閉させながら繰り出してくるセルケトの攻撃を回避。こっちはクイーンと二人で統括意思をやってるけどこの形態だとヒルの集合体を無理矢理菌根で操っているのだ。ラグが大きい。避けるので精一杯だ。
「どうしたのかしら!さっきまでの威勢は!」
そう吠えたセルケトが鋏の足を軸に高速で横回転。勢いよく尻尾を叩きつけてきて、咄嗟に右腕に粘液を纏ってくっつけることで受け止めるも、そのまま持ち上げられて壁に勢いよく背中から叩きつけられてしまう。
「があっ!?」
『やばいやばいやばい!?』
そのままくっつけた部分から先端が伸びて私たちの胴体に突き刺さり、粘液の拘束を外してそのまま尻尾をしならせて私たちに衝撃を与えたセルケトは天高く持ち上げ、勢いよく私たちを建物屋上に叩きつけてきて小さなクレーターを作り上げた。傷口からボロボロと衝撃で気絶した変異ヒルたちが溢れる。
「く、そっ…同胞たちがやられた」
『なんて威力…傑作っていうだけあるね』
「そうよねそうよね!わかってるじゃない。…で、貴女は何者かしら。エヴリンと呼ばれていたのは知ってるけど、私の正気が疑われるからまだ報告してないの。正体を教えなさい」
『やなこった!』
「そいつは我々の数少ないアドバンテージということだな…!」
なんとか立ち上がる。勝たないと未来がない。こんな、クリスからも知らされてないよくわからんやつに負けて終わってたまるか。
「行くぞエヴリン」
『うん、クイーン!』
「いいわ、きなさい。格の差を教えてあげるわ!」
かかげた左手の五指の先から針を乱射するセルケトの攻撃を纏った粘液を固めた両腕で弾きながら突撃。右腕を伸ばして攻撃するも尻尾を巻き付けられて建物屋上に引摺り叩きつけられ、そこに右足鋏の斬撃が襲いかかり私たちの右半身が裂けたチーズみたいに切断されてしまう。
「『がああっ!?』」
「期待外れね。もう少し戦えると思ったのに」
「こ、の…!」
なんとか立ち上がり左手を掲げて溶解液を放出させるクイーン。しかしそれは右半身の甲殻で受けとめられダメージにはならない。なんて防御力だ。
「終わりよ。目的のRTじゃないけど変異ヒルの統率個体を連れていけばウェスカー様バーキン様に誉められるわ。エヴリンはどうしようかしら、触れないみたいだから放っといてもいいかもだけど」
なんとか右半身の傷を再生させるも、尻尾で巻き取られてリーチ・モールデッドへの変身が解けてクイーン・サマーズに戻ってしまい私も排出される。万事休すだ。…でもね、触れないからって私をなめるなよ。
『おりゃああ!』
「え、なに!?」
意を決してセルケトに飛び込む。体内の菌根に働きかけてクイーンの拘束を解いてやる!彼女の記憶が見える、元はウェスカーとバーキンを父と仰ぐが他の人間や生物兵器を見下していて、ネメシス・プロトタイプγを取り付けられて従順になったことがわかった。なら、それを外せば…!?
「私の中から出ていけ!」
『うわあああ!?』
すると無理矢理体内から追い出されて宙を舞う私。なんて強靭な精神力だ、ネメシスに操られてるとは思えない…いや、逆か?ネメシスに邪魔されたのか、今。なら第2プランだ。大きく息を吸い込む。
『アリサァアア!こっち!』
そして渾身の叫び声を上げると、視界の端でドゴンという轟音と共に土煙が上がる。あのドーナツ屋付近だ。何事かとクイーンを拘束を解いて投げ捨てて警戒するセルケト。そして、天高く跳んでそれはきた。
「私の友達二人に……なにをした!!!」
「なっ!?」
綺麗な放物線を描いて跳んできたリサが、着地と同時にセルケトの胴体に黒く染まった拳を突き刺していた。胴体を穿たれて目を白黒させるもののすぐ正気に戻ったセルケトが尻尾を背後から襲わせるも、右腕を突き刺したまま振り返り左手で尻尾を受け止め、もぎ取ってしまう。うわあ。
「くっ、そんな馬鹿なことが!」
屋上を蹴って後退し右腕を引き抜きながら、右足の鋏を振るってリサの腕を切断するセルケトだったが、瞬時に再生してくっついたリサの追撃の拳を受けて怯む。
「お前だけが再生できると思わないことね!」
そう言って胸の大穴と共に瞬時に再生させた尻尾を振るうも、ガシッと掴んだリサは巻き取るようにしてセルケトを引き寄せ、黒く染めた……おそらく菌根を操作してる……右拳を顔面に受けてセルケトを殴り飛ばす。リサ滅茶苦茶怒ってるな…。
「はは、ハハハハ!お前はやっぱり、RT…」
「記号で呼ばないで。私は、アリサ・オータムスだ」
笑うセルケトに、リサの拳が叩き込まれる…瞬間。その動きが止まる。
「危ないところだったわ…」
「あぐっ…」
見てみれば、針がリサの腹部に突き刺さっていた。もしかして麻痺毒!?どうせ再生するからってノーガード戦法をしてるリサの弱点を突かれた!?
「このまま連れていかせてもら…うわ?」
瞬間、力なく倒れるセルケト。その背中についていた寄生体を、クイーンが引きちぎったのだ。すると頭を抱えてよろめくセルケトは、尻尾を振り回して私たちを牽制する
「わた、わたし……来ないでっ!」
そして尻尾を床に突き刺して引き絞ることで跳躍、その場を去っていくセルケトを、私たちは見ていることしかできなかった。
普通に強いんだけどリサには敵わなかったセルケト。リサの立ち位置をわかりやすく説明すると、ハルクです。
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