BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はドミトレスク戦後のイーサン達。エヴリンは天国から地獄へ…?楽しんでいただけると幸いです。
第十六話‐Eveline In family【悪夢の所在】‐
『ところでイーサン?』
「なんだ?そんな改まって」
元の姿に戻った両手をグッパして調子を確かめていると、エヴリンがモジモジとしながらふよふよと近づいてきた。一体どうしたんだ?もしかしてアレか?
「ああ、お前のあの姿については特に怖いとも気持ち悪いとも思ってないから安心しろ」
『それ思っている人の言葉!そうじゃなくてね、えっと…私が家族だって言ってたの、本当?』
「…な、ナンノコトデショウカ」
思わず片言になってしまった。何故だ、確かにドミトレスクにそう啖呵を切ったが、あれは上空にいたエヴリンには聞こえてないと思ったからで…
『イーサン。忘れてると思うけど、私。イーサンに見える幻影、だからね?イーサン本体が言ってることは何処にいても聞こえているよ。私と離れて空中を飛び回っていた時もちゃんと私の声がはっきり聞こえていたでしょ?』
「頼む!忘れてくれ、頼む!……忘れろ。頼むから」
頭を抱えて叫び散らす。一周回って冷静になって懇願する。恥ずかしい、聞こえていたとか恥ずかしいがすぎる!
『へー、イーサンはやっぱり私を家族だと思ってるんだあ、へー……大丈夫?気付かないうちに私に洗脳されてたりしない?』
「お前、言ってて悲しくならないのか?」
俺を虐めようとしたのかと思えばすぐに心配そうに覗きこんでくるエヴリン。洗脳されてるならエヴリンの言うことは何でも聞いてるだろうから洗脳はされてないだろうよ。三年も一緒に過ごすうちに、心を許せる家族だと認識してしまっていたのは事実だが……だが、エヴリンは自分を殺した俺が恥も外聞もなく家族だと思っていることを嫌がらないだろうか。
『私を殺したからって家族になれないわけがないよ。そもそも私、生きてた頃は老化で死んだ方がマシな状態だったし。むしろ殺してくれてありがとう?的な。どうしてみんな私を嫌うの?って世界を恨んでたけどね』
「生きてた頃のお前は嫌われて当然だったよ。クソガキめ」
『ひどい。でも今はー?』
「…やったことはともかく、幻影として付き合ってきたお前個人としては好ましいと思ってるよ。ああそうだ、家族だと思っている。認めるよ。お前はローズの姉だ。ミアには内緒だぞ?」
『……んんん、やったー!イーサンの公認だー!ローズマリーを取り返したら死ぬほど可愛がるぞー!』
「ははは…そいつはやめてくれ」
心の底から喜んで空中をクルクル回るエヴリン。それを見て微笑ましく思いながら、周りを見渡すと、奥の台座に変な物を見つけた。紋章が模られた蓋の四角いガラス製のものだ。手に取ると外への出口が開いた謎仕様の仕掛けはともかく、これはなんだ?辛うじて【EVE №3】とラベルに書かれているのは分かるが…
「なんだ、これ?フラスク…?何か入ってるみたいだが汚れていて中は見えないな」
『私に任せて!見てみる!』
そう言って顔をフラスクに突っ込むエヴリン。すると10秒も経たないうちに酷く憔悴した顔でフラスクから顔を離し、気持ち悪そうにするとその場で黒い液体状のカビの様な物を吐瀉してしまう。幻影だからすぐ消えて行くが、一体どうしたんだ?
『ゲホッゴホッ…そんな……ひどい、なんで…?』
「どうしたんだ?」
『………ううん。なんでもない。何かの間違いだ。きっとそう。でもイーサンは見ない方がいい。見ないで、お願い…』
「お、おう…?」
さっきまでのご機嫌な様子とは打って変わって酷く憔悴しきった様子のエヴリンに首を傾げながら、俺達は城を後にすることにした。雪道を通り、道なりに進んだ先にあった洞穴を進むと、聞き覚えのある老婆の声が何かを唱えているのが聞こえてきた。
「この声は?」
『ダッシュババア!』
急いで奥まで進み、扉を開けるとそこには祭壇を囲って謎の儀式をやっている老婆がいた。祭壇には赤ん坊を抱えたシスターの様な女性の写真が花やら蝋燭やらが飾られている。マザー・ミランダか?壁にも何か紋章の様な物が描かれているが…ここはなんだ…?
「深夜の月が黒き翼で舞い上がり最後の灯りを待つのみ。生にも。死にも。マザー・ミランダに栄光を…」
『正直このダッシュババアが一番よくわからないよね』
「ああ、そうだな。おい、覚えているか?城じゃ危うく死にかけたぞダッシュババア。この村で一体何が起きてるんだ?」
「ついに完全に狂うてしもうたか、ダッシュババアとはなんじゃ…?まあよい。死にかけたということは生きてるということ。賢者と交わす問答じゃ」
そう言って手にしていた翼の装飾が入った鍵を祭壇の箱の中に大事にしまう老婆。エヴリンに釣られてダッシュババア言ってしまったのは間違いだったか?
『あーいえばこーいう!』
「まだローズが見つからない。あの子は何処へ連れて行かれた?」
「ふははははは!もう手遅れじゃ!いや正しくは手遅れに「なりかけている」か?あの子は生贄となる。命に捧ぐため」
『お前!やっぱりなんか知ってるな!言え!言わないと殺すぞ!』
「ま、待て!」
俺の右腕を強制的にブレード・モールデッド化させて老婆に刃を伸ばそうとするエヴリンに、左手で右腕を押さえながら制止する。老婆は襲われると思ったのか杖を手に構えていた。心なしか、杖を握る手が若返ったように見えるが気のせいだろう。どうしたんだエヴリン、一体何を見たんだ!?
『…ご、ごめん。イーサン、私、そんなつもりは…』
「はあ、気にするな。生贄だって?中世の話じゃあるまいし、ただの赤ん坊だ!」
「見たぞ、見ていたぞ。お主のその体から生まれた子がただの赤ん坊だと?まあよい。4つの家紋を捜せば道が開けるかも知れぬぞ」
『イーサン、この紋章…』
壁の紋章に杖を向ける老婆。暗い表情のエヴリンに言われて左上を見れば、あのフラスクや城のあちこちにあったドミトレスクのものと思われる紋章もあった。まさか、この紋章は四貴族のものか?だが中心の紋章、どこかで…?なんにしてもだ。
「謎かけしてる場合じゃない。捜してるのは娘だ」
「謎が解けた時、謎かけではなくなる」
「おい、待ってくれ!……頼む!」
そう言って俺達が入ってきた扉を閉めて去って行く老婆を呼び止めるが止まらず、俺はエヴリンに視線を向けると光を取り戻した目で強く頷いた。
『うん、今度は逃がさない!………って、はやっ!?』
「またダッシュで逃げられたか…」
扉を潜り抜けた瞬間、驚愕の声を漏らすエヴリンに溜め息を漏らす。一体あの老婆は何者だ?とりあえず、奥に進む扉が開きそうになかったので祭壇の箱にさっき老婆がいれていた双翼の鍵を手に取り、開けて洞窟の外に出ると、巨大な四つの石像に囲まれた中心にさっき見た壁の中央の紋章に似たものが描かれたよく分からない何かがある広場に出た。よくわからないものしかないなこの村は。
『ごめん、イーサン…』
「いや、気にするな。それよりさっきはどうしたんだ?」
『ダッシュババアを締め上げれば早いと思って、そしたら怒りの歯止めが効かなくなって…操ることはできないけど、変異した部位を伸ばすことはできるから…』
「気持ちは分かるが、もしなんの力もない一般人だったらどうするんだ」
『それはないと思う』
「それは、同感だ」
とりあえずこの広場ではなにもできそうになかったので先に進むことにする。道中の橋でライカンが三体ぐらい飛び出してきたが、さすがにあのクソデカオバ…失礼、故ドミトレスクの後だ。スナイパーライフルと二丁拳銃が火を噴いて片付ける。もうライカン程度なら数も多くなければ怖くないな。
「村に戻るルートなのか…?」
『空飛んで見てみたけどそうっぽいね』
橋を抜けて木造りの大扉を開けると、そこは祭壇の様な広場になっていて。もはや顔見知りになった巨漢の人物がいた。
「来ましたね。ここなら会えると思っていました」
『本当にどうやって移動してるんだろうこのデブ』
「デュークか。…無駄骨だった」
「そうですか?でも何か手に入れられたのでは?」
『待って!イーサン!駄目!』
「ああ。何かはわからないが…」
エヴリンが制止するのも聞かず、これがなにか知りたかったのでフラスクを見せると、デュークはとんでもないことを口にして。エヴリンが何故止めたのかその理由が、わかってしまった。
「おや。娘さんがその中にいるじゃないですか」
「……は?」
『……やっぱり、そうなんだ…』
冷たい風が広場に吹き荒び、最愛の娘の所在が明かされる。エヴリンの気落ちした声が、この悪夢が現実だと言っていた。
イーサン公認の家族になったりゲロインになったり属性過多になってきたエヴリン。なお、イーサンが止めなければ最速でラスボスが死んでいた模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ハイゼンベルクとはどうする?
-
共闘する
-
原作通り敵対する