BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。0編の根幹ともいえる要素が出てくる回です。楽しんでいただけたら幸いです。

現在:1993年。アイアンズがアンブレラと癒着したり、アルフレッド・アシュフォードが出世したりした時期。


file0:11【今の家族】

 ラクーンシティの地下に建造されたアンブレラ社の極秘研究所で、ウィリアム・バーキンの研究拠点「NEST」の休憩室で、眠気覚ましのコーヒーを飲んでいたウィリアムは妻であるアネット・バーキンから不審な報告を受けていた。

 

 

「セルケトが戻ってこない?」

 

「ええ。定期報告の場に現れなかったわ。RTとよく似た人間を調べていたはずだけど……アルバートが近々ラクーン警察署に来ることを教えたから手柄を得ようと気が逸ったのかしら?中々の問題児よね、貴方達の愛娘は」

 

「冗談でもやめてくれ。アイツとの子供とかゾッとする。私の子供はシェリーだけだ。…まあいい、セルケトに取り付けている発信機を辿って掃除屋に探らせよう。傷付いて隠れているなら保護、脱走を試みていたなら文字通り掃除してもらう。タイラントがもうすぐ完成する以上、既に用済みだ。利用価値はあるが壊れたなら捨てるまでだよ」

 

「薄情なのね。貴方が手ずから生み出したB.O.W.なのに」

 

「G-ウイルスの温床として生み出したモノが想定以上の性能になっただけだ、愛してなどいない。マーカスみたいな悪趣味ではないさ。そうだ、私たちの可愛い愛娘はどうしてるかい?アイアンズにベビーシッターの選別を一任したと言っていたが」

 

「ええ。アイアンズのお気に入りに預けたらしいわ。クイーン・サマーズとアリサ・オータムスって言う年若い娘の警官コンビよ」

 

 

 アネットの言葉に眉を潜めるウィリアム。初めて聞く名前じゃなかったからだ。

 

 

「アリサ・オータムス……どこかで聞いた名前だな。どこだったか…」

 

「なんでも凶悪犯をいつも捕まえているラクーンシティでも有名なヒーローらしいからそれでじゃないかしら?」

 

「なるほど。ラクーンシティで過ごしているときに噂でも聞いたのかな。そんなに強い警官コンビならシェリーも安心だろう。特に女性と言うのがいい、間違いが起こらない」

 

「あなたってば。シェリーはまだ七歳よ?」

 

「七歳だからこそだ。憧れる男は私だけでいい」

 

 

 そのセルケトによく似た傲慢な言葉に、アネットは苦笑した。その手に握られた過去のセルケトの報告書に、アリサ・オータムスの名前が書かれていたことには気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如襲撃してきたアンブレラの刺客セルケトとの対決。何とか撃退後、リサが麻痺から回復し、私も回復。残されたというよりもぎとったネメシスと思われる肉塊をどうしたものかと見ていると、リサが手に取った。

 

 

「…どうするつもりだ?それはネメシスだぞ」

 

「…前のネメシスも取りこんだら強くなれたよねって」

 

『まさか食べる気?』

 

 

 エヴリンが『うげー』と舌を出しながら嫌がる。我等も好き好んでそれを食べようとは思わないな。するとリサは肯定の意も兼ねてか躊躇なく齧り付き咀嚼する。…見ていて気持ちのいい光景ではないな。

 

 

「…ふぅ。不味い!」

 

「いや見ればわかるだろ」

 

『なんで食べたの』

 

「…だって、クイーンがいなかったら負けてたもん。私が二人を守らないと、なのに」

 

 

 そうしょんぼりするリサ。ああ、相変わらず優しすぎるなお前は。自分が一番強いからと、事実ではあるがそれを理由に自らを盾にしようとしている。

 

 

「リサ。私達は助け合うんだ。お前だけが気負う必要はない」

 

『そうだよ。助けてくれてありがとう』

 

「どういたしまして。…ネメシスを分解できたよ」

 

「本当にどうなってるんだお前の身体」

 

『そういやセルケトって記憶を見た限りリサのクローンっぽいよ』

 

「それは早く言え」

 

 

 エヴリンといいリサといいマイペースが過ぎる。私が常識人だなんてよっぽどだぞ。何だお前らその視線は。何か言いたげだな、喧嘩なら買うぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、美味しい!」

 

『そりゃあんなもの食べた後じゃね』

 

「もう、二人ともどこに行ってたの?私を置き去りにして」

 

 

 プレンシュガーのドーナツを美味しそうに頬張るリサを見ながらオールドファッションのドーナツを頬張るシェリーが不服そうに口を尖らせる。リサだとぼろを出しそうだから私が説明するしかないか。

 

 

「シェリー。悪かったな、悪い奴がいたんだ」

 

「捕まえたの?」

 

「いいや、逃げられた」

 

「次見つけたらボコボコにしてやる」

 

『教育に悪いからリサはお口チャック』

 

「お詫びにどこにでも行こう」

 

 

エヴリンがリサの口を手で塞いでいるのを横目に、不機嫌なお姫様の機嫌を取るべくそんなことを言ってみる。バーキンは嫌いだがシェリーは別だ。素直で可愛らしい。ラクーン動物園程度なら自腹を切っても構わん、そう言う意図だったのだが、告げられたのは予想外の言葉だった。

 

 

「じゃあ、パパとママのところ!」

 

「…それは無理だ。すまん」

 

 

 父に会えない寂しさはわかっているつもりだが……その父親に我々が危害を加えようとしていることを知ったら、この私達に懐いてくれているシェリーは…どんな顔をするんだろうな。ああ、父よ。人間社会を学んでさらに恋しくなった我が父よ…貴方に会いたい。

 

 

「クイーン、どうしたの?」

 

「…いいや。死んだ父の事を思い出していただけさ」

 

「…私も、そうかな」

 

 

 リサまで思い出したらしくしんみりしてる。空中で黙っていたエヴリンは私、リサとキョロキョロと見渡してから両拳を頭上に掲げて『うがーっ!』と吠えて私とリサは思わず反応する。

 

 

『シェリーの前で親の話題は禁止!私達が今は家族でしょ!寂しいなんて言わせてやらないからね!』

 

「…ああ、そうだな」

 

「クイーン?アリサ?どうしたの?」

 

「ううん。今の私にとってはクイーンと…もう一人、大事な家族がいたなあって」

 

「お前にも会わせてやりたいよ。きっと仲良くなる。…会わない方が身のためだが」

 

 

 こいつが見えるってことは菌根を体内に取り込むってことだからな。エヴリン曰く私達だから問題はなかった常人だととんでもないことになるって言うし。…菌根を取りこむとしたらアンブレラの実験体としてだろう。さすがのバーキンも実の娘をそんなことに使うとは思わないし、エヴリンに会わない方がいいことかもしれん。

 

 

「もう一人…会ってみたいなあ。クイーンとアリサの家族ってことは、すっごくいい人ってことだもんね」

 

「…私はそんなに高尚な人間じゃないがな」

 

「そんなことないよ、クイーンはいい人だよ!」

 

「アリサお前、高尚の意味わかってないな?」

 

 

 高尚じゃないってのは、本当にそうじゃないのと人間じゃないってことの二つの意味でだが、リサはそれすらわかってないな。

 

 

『いやぁ、それほどでもないよー?』

 

 

 頭に手を置いてくねくねと揺れて照れてる馬鹿は放っておく。…こいつも、どんな人生があればあんな台詞を言えるんだろうな。…私も我が父からもっと学んでいれば、そう思わざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょうどその頃、ラクーンフォレスト。我々が父を安置し同胞たちの一部を守りに残した場所にて、何かが起き上がった。

 

 

「アンブレラに復讐を…地獄の炎をこの世全てに」

 

 

 それはフラフラとラクーンフォレストを彷徨い歩く。私は自身がそれを体現していてなお知らなかった。生物災害(バイオハザード)とは、想定外が当たり前なのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 預かるにあたり特に使い道のない給料で買ったアパートにシェリーを寝かせ、セルケトの様なこともあると考え護衛にリサを置いて、夜勤をするべくR.P.D.(ラクーン警察署)にやってきて署長の趣味で元々美術館だった場所を改装しているため入り組んでいる廊下をエヴリンと一緒に歩いていると、ちょうど扉を開けて入ってきたアイアンズ署長と対面する。

 

 

「やあ、こんばんは。夜勤かね?いいところで会ったなサマーズ」

 

「げっ。……どうしましたか、署長?」

 

『クイーン、声に出てる。それにしても夜勤かね?って…仮にも署長なら部下のシフトぐらい覚えててよね…』

 

 

 思わず声に出てしまったのは許せエヴリン。私はこの脂肪も面の皮も厚いこの男が大嫌いなんだ。いい加減その値踏みするような下卑た視線も我慢ならなくなってきたぞ。職を失うことにならなければ全力(粘液硬化)でぶん殴ってやるんだが。うん?後ろに二人連れている…?

 

 

「紹介しよう。明日からここに配属される新人二名だ。ほら、名乗りなさい」

 

 

 アイアンズ署長が促すと、敬礼する二人の男女。初々しいな、私達も最初はこんな感じだった。…うん?どうしたエヴリン、固まって。

 

 

「はっ!元アメリカ空軍パイロット、クリス・レッドフィールドといいます!」

 

「元陸軍デルタフォース所属、ジル・バレンタインです!」

 

「二人は近年結成する予定の、近年増加傾向にある都市型テロや多様化していく組織犯罪、緊急事態に対処する特殊班に所属してもらうべく招いた人間だ。その特殊班には君とオータムスも所属してもらうつもりだから同僚になる。拒否権はないぞ、私が決めた。先輩としてビシバシ鍛えてやってくれ。鞭とかいいと思うぞ」

 

『きもちわるっ!』

 

「は、はい…?」

 

 

 今度はこちらが困惑する羽目となる。…それは初耳なんだが?




セルケト行方不明。謎の存在誕生。クイーンとリサ、S.T.A.R.S.所属決定。この三つが0編における根幹となります。

クリスとジルがこの時期にR.P.D.に所属しているかは不明だけど、今作では研修期間って感じでいたことにしてます。と言ってもS.T.A.R.S.できるの三年後の1996年なんですが。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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